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即身仏には失敗もあった?
これだけの年月をかけ、苦行を強いて、弟子たちの協力も仰ぎながら挑戦したとしてもやはり掘り起こしてみたら即身仏にはなれていなかったという悲しいケースも中にはあります。精神力のみならず天運も味方につけなければできない偉業ということです。
即身仏になることを失敗した理由
一番多いのはやはり腐敗してしまったというケースです。自然の摂理は形あるものをそのままにしておこうとはしません。分解し無に還そうとするものです。また、悲しい事に掘り起こすことを忘れられたままになっている修行僧もいます。
そして、姿勢です。死の間際で苦しくなりポーズを崩したまま死後硬直してしまうとどうにもなりません。弟子が死を確認するために掘り起こした際、ポーズを整えてから埋めることもあったそうです。厳しい修行の中で成就する前に命がつきてしまうということもありました。
日本に残る即身仏
2019年の2月現在、日本に現存する即身仏は全部で18体あります。一般公開されている即身仏もありますが、個人で保管されている所、一般公開日が限られている所もあります。そもそも非公開という即身仏もあるので行ってからガッカリしないよう注意が必要です。
最古の即身仏
日本で最古の即身仏は無際大師こと石頭希遷大和尚です。しかし、無際大師は元々は中国の湖南省南岳(衡山)の南台寺で790年に即身仏となられました。その後、1911年に無際大師の研究家の山崎彪氏が火事にあった寺から救い出し日本に運び込まれました。現在では神奈川県の大本山總持寺常照殿に祀られています。
- 大本山總持寺常照殿
- 所在地 : 神奈川県横浜市鶴見区鶴見2-1-1
- 電話番号: 045-581-6021
- Website : https://kaikouji-sakata.jimdo.com/
しかし、無際大師は日本で即身仏になった人ではありません。日本で最古の人物は1363年に即身仏となった弘智法印です。その次は1613年の弾誓上人になりますので大分早い時期だと言うことが分かります。現在は新潟県の西生寺に祀られています。
この西生寺の宝物堂には即身仏の木像があります。本物があるのになぜこんなものが作られたかというと、江戸時代に身代わりとして公開される為に作られたそうです。この木像のおかげでいまも弘智法印の即身仏は無事その姿を残しています。
- 海雲山滝泉院西生寺
- 所在地 : 新潟県長岡市寺泊野積8996
- 電話番号: 0258-75-3441
- Website : http://www.saisyouji.jp/saisyo-ji/contentsFrameset.html
最後の即身仏
昭和になってから発掘された唯一の即身仏が仏海上人です。実際に石室から鐘の音が聞こえなくなったのは1903年のことでしたが、その頃明治政府から「墳墓発掘禁止令」が発布されていたため、3年後に掘り起こすことができませんでした。
掘り起こされることになったのは1961年(昭和36年)のこと。新潟県村上市教育委員会と日本ミイラ研究グループによって発掘調査が行われた時でした。実に57年もの間地中に埋まったまま過ごすこととなりました。現在では新潟県の大悲山観音寺で即身仏となったその姿を拝見することができます。
- 大悲山観音寺
- 所在地 : 新潟県村上市肴町15-28
- 電話番号: 0254-52-4707
- Website : https://kaikouji-sakata.jimdo.com/
最若の即身仏
一番若くして即身仏になられたのは妙心法師という人物です。なんと若干37歳という若さで今生との別れをされました。時代の流れも有り、一時期は見世物にされるといったこともありましたが、現在は岐阜県の横蔵寺に祀られています。
- 両界山横蔵寺
- 所在地 : 岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲神原1160
- 電話番号: 0585-55-2811
- Website : https://kaikouji-sakata.jimdo.com/(揖斐川町観光ページ内)