ウワサになっているマンボウ死因一覧
- 寄生虫を落とすためにジャンプして水面にあたって死亡
- まっすぐにしか泳げないので、岩にぶつかって死亡
- 皮膚が弱すぎて触っただけで傷になってそれが原因で死亡
- 水が冷たすぎて死亡
- 鳥につつかれて死亡
- 食べた魚の骨がのどに詰まって死亡
- 寝ていたら陸に打ち上げられ死亡
- 朝日が強すぎて死亡
- 食べたエビなどが殻が内臓を傷つけて死亡
- ほかの生き物がぶつかりそうになってストレスで死亡
マンボウの死因のウワサを検証しよう
このように様々なウワサがありますが実際はどうなのでしょうか。ウワサの意味や本当のことを知るためには、まず生き物の生態や特徴を確認する必要があります。この生き物について知りながら、死因の謎を解き明かしていきましょう。
マンボウの基本的な情報をチェックしよう
この生き物のことをどれくらいご存知ですか?よくわからないという方のためにも、まずは基本的な情報からお伝えしていこうと思います。すでに知っているという方も振り返る気持ちで参考にしてください。
マンボウの分類
この生き物は、フグ科マンボウ科マンボウ属に分類される生き物です。地方により呼び名が様々で、ウキキやバンガなどと呼ばれている地域も存在します。同じ分類に分けられる生き物は現在3種類と言われており、ウシマンボウ、カクレマンボウが同分類です。
似ている生き物でヤリマンボウというものがいますが、実は分類的には別の生き物になります。見た目は本当にそっくりで勘違いする方も多いです。日本近海で見られる種類は、マンボウとウシマンボウの2種類です。
マンボウの生息地
全世界の熱帯、温帯の海に広範囲で生息しています。この生き物は、近年の研究により生息地を一定に保たず海上から水深800mまで行き来していることが分かっています。水温により生活する場所を変えているのではないかと考えられているようです。
マンボウの生態
この生き物は外洋に住むだけあって謎が多い生き物です。泳ぎにも謎が多く、海上近くで発見されたときは体を横に倒しプカプカと海面上を漂っていたそうです。繁殖方法や産卵方法なども現在では解明されていません。
マンボウはフグの仲間だった?
実は大きさは違いますが、フグとマンボウは仲間だったと言われています。その証拠に、似ている部分や特徴が多くあります。体の大きさの違いから驚く方も多いかと思いますが、次はこの2匹の共通点などをご紹介していきます。
マンボウとフグの共通点
共通点はいくつか存在します。そこで分かりやすいようにそれぞれの特徴を箇条書きにまとめました。同じ番号の特徴が共通しているのでぜひ見比べてみてください。共通点の多さに驚くと思います。
フグ
- 他の魚に食べられないように体を膨らませる習性があります。そのため、肋骨などの腹部周囲の骨がありません。
- 腹びれはなく、尾びれはありますが、使用することは殆どなく、泳ぐときは背びれと尻びれを使用します。
- 魚には珍しい瞼があります。
- 上記の画像のように特徴的な小さい口を持っている。
マンボウ
- 顔の周りには骨がありますが、腹部周囲には骨が存在しません。
- 腹びれ、尾びれがなく、泳ぐときは背びれと尻びれを左右に振りながら進みます。
- もちろんマンボウも瞼があります。
- 大きな体に合わない小さい口を持っている。
フグと同じ硬い口
2匹とも特徴的な口をしていますが、この口にも仲間だという証拠があります。それは、2匹とも硬い鳥のような口を持っていることです。マンボウは上下に1枚ずつ、フグは上下に2枚ずつ硬い歯がありくちばしのようになっています。
外洋に適応した体
この生き物は、フグが外洋に進出したときに適応するために進化した生き物だと言われています。広い海で生活していく中で自分の身を守るために進化したのでしょう。全世界の熱帯、温帯に生息していることが分かっています。
マンボウの死因を検証①マンボウは何を食べている?
続いて何を食べて生活しているのかをご紹介します。小さい硬い歯を持つ口で一体何を食べて生活しているのでしょうか。大きな体から他の魚を食べているように思えますが、事実を確認していきましょう。
実はマンボウはクラゲなどを食べている
一般的に、クラゲや動物性プランクトンが主食だと考えられいます。しかし、水揚げされた個体には胃の中にイカやオキアミなどが見つかったともいわれています。主食は、柔らかいものや小さいものが多いようです。
マンボウは魚を食べるのか?
体が大きいので魚を食べているのか思われがちですが、小さい口から考えて魚を食べている可能性は低いと考えられています。しかし、謎の多い生き物なのでまだまだ本当のことはわかりません。あくまで、今まで調べた個体やフグの仲間ということでそう言われています。
マンボウの食性から分かるウワサの真相
ここまでの説明でも分かるように、最初に説明したウワサの「食べた魚の骨がのどに詰まって死亡」、「食べたエビなどが殻が内臓を傷つけて死亡」の2つは嘘であることがわかります。現在では、他の生き物を食べて死んでしまう可能性は低いでしょう。
マンボウの死因を検証②マンボウは泳ぎが下手なのか?
有名なウワサに「まっすぐにしか泳げないので、岩にぶつかる」というものがありますが、実際はどうなのでしょうか。このウワサの真実を知るためにも次は、泳ぎ方についてご説明していきます。水族館などでよく見る個体は、海よりも狭いスペースで生活しているので本当の泳ぎは見えないと思いますのでぜひ参考にしてください。
マンボウの泳ぎ方を動画でチェック
まずはこの動画をご覧ください。巨大マンボウと出会った時の様子です。最初はゆったりと海を漂っていますが、徐々に泳ぎ始めます。泳ぎ方は、背びれと尻びれを左右同時に動かしながら前進します。
マンボウは意外に早く泳ぐ
この動画は、飼育している個体にエサをあげている様子を撮影したものです。飼育員さんもおっしゃっていますが、エサを食べる時、追いかける時の泳ぎのスピードが意外と速いそうです。実は、ゆっくりと漂いながら泳いでいるときは時速2㎞程度のスピードしか出ていません。
この速さは、鯉が泳ぐスピードよりもゆっくりなのです。しかし、獲物を追いかける時や逃げる時などの最高時速は12㎞と言われています。人間でも限界は時速9㎞と言われています。マンボウの泳ぐ速さが分かると思います。
マンボウの泳ぎ方から分かるウワサの真相
ここまでの泳ぎ方の説明で、「まっすぐにしか泳げないので、岩にぶつかって死亡」、「ほかの生き物がぶつかりそうになってストレスで死亡」というウワサは真実ではないことがわかります。2つ目の動画を見て頂ければ、意外と小回りが効くことがわかります。
たくさんの仲間がいる中で、お互いにぶつかることなくエサを食べています。なので、まっすぐしか泳げないわけではないということ、また、ほかの生き物とぶつかりそうになっても回避して生き続けているので噂が真実ではないということになります。
マンボウの死因を検証③マンボウにはウロコがあるのか?
普段見かける魚などは、ウロコが見てすぐにわかりますがこの生き物にもウロコはあるのでしょうか。画像や動画を見てみるとウロコに見えるものは見当たらないようにみえますが、実際のところはどうなのでしょうか。本当のことをお伝えしていこうと思います。
マンボウの体表について
この生き物の体表を近くでよく観察したことはないと思いますが、体表には粘液がついていてヌルヌルしているのが特徴です。この体液は人間が匂うと結構な悪臭に感じます。この粘液は、傷ついた他の生き物の薬にもなると考えられていて「海の救急車」などと呼ばれています。
マンボウのウロコについて
この生き物には見た目はウロコがないように感じますが、実は小さいトゲトゲしたウロコがあります。触るとザラザラした感触で、他の生き物たちはザラザラしたウロコに体を擦り付けて、自分の寄生虫を落とすこともあるようです。
マンボウのウロコから分かるウワサの真相
ここまでの説明で、ウワサの「皮膚が弱すぎて触っただけで傷になってそれが原因で死亡」、「鳥につつかれて死亡」という部分が真実ではないことがわかります。生活しているときに日常的に魚に体表を触られたりしているので、簡単には皮膚が傷つくことはありません。
また、他の生き物たちに寄生虫を食べてもらうときにつつかれているので、鳥につつかれたからといって簡単に死ぬこともないでしょう。このような理由から、このウワサが真実ではないことがわかります。