屋内に避難すれば大丈夫なのでは?と思う方もいるかと思います。残念ながら、火災旋風から逃れる為に屋内へ籠るのはお勧めできません。理由としてはまず、建物が炎に包まれているような状態なので、すぐに酸素が尽きて窒息死する可能性がある事。もう一つは、強い旋風により家屋自体が破壊されたり、飛来物が窓や壁を突き破ってくる可能性があるという事です。火災の原因が地震だった場合は、家屋が倒壊する可能性が特に高まります。
もし火災旋風に巻き込まれたら?
38000人の死者を出した本所被服廠跡の火災旋風で、その場に居ながらも生存した方が僅かではありますが存在しています。もし、火災旋風に遭遇し、逃げ切れなかったら…。そんな最悪の事態に備えて、生き延びた方々の取った行動を頭に入れておきましょう。
とにかく諦めない
最後の最後まで諦めず、走り続ける。生き延びる為に一番大切なのはこの一点です。走り回って逃げ切った人もいれば、逃げる人ごみに押されて結果的に助かった人もいますし、人がドミノ倒しになって下敷きになった為に、直接熱風に触れずに済み、生き残った例もあります。どれも偶然や奇跡のような確率ではありますが、諦めずに動き続けたからこそ起きた出来事でもあります。
水の中に飛び込む
これは最後の手段ですが、川や池に飛び込んで頭まで潜り、熱から身を護るという方法です。一見安全そうに見えますが、関東大震災の時は沢山の人が川に飛び込んだ為に、多くの人が下敷きになって溺死しています。また、火災旋風で巻き上げられた瓦礫や木材が落下してきて、直撃して死亡した方も多かったようです。しかし生き延びた例もあり、その方々は頭を保護しながら水中に潜り、頃合いを見計らって呼吸をしていたそうです。
もしもの時に備えて知っておく「火傷の応急手当」
火傷を負った際の応急手当はどうすれば良いか、ご存知でしょうか。料理等で火傷ができた時は流水で冷やす方が多いと思います。小さな火傷ならそれで正しいのですが、重症の場合は異なります。軽度、重度の判断方法から重度の際の手当の仕方まで、ここで紹介します。
熱傷の程度を調べる
まずは熱傷の深さを調べましょう。赤いなら1度、水疱が出来ていたり破れていたら2度、白っぽくなっていたら3度の熱傷です。次に熱傷の広さを調べます。傷病者の手のひらの面積の1%とし、火傷の面積が体表面積の何%かを測定します。
軽度の熱傷の場合
1度の熱傷もしくは狭い面積での2度の熱傷ならば、できるだけ早く冷水で冷やします。衣服を着ている場合は無理に脱がすと水疱が破れたり皮がめくれたりして危険ですので、衣服の上から冷やしましょう。火傷の範囲が広い場合は、身体を冷やし過ぎないように注意してください。冷やして痛みが引いたら、薬は塗らずにガーゼを当て、包帯等で覆いましょう。
重度の熱傷の場合
- 2度の熱傷で、体表面積の30%以上
- 3度の熱傷で、体表面積の10%以上
- 顔の熱傷で、鼻毛が焦げたり痰が黒色になっている熱傷(気道熱傷)
上記の場合は「重度の熱傷」と判断され、かなり危険な状態です。冷やす事に時間をかけるよりも、なるべく早く専門医に見てもらう努力をするべきです。直ちに救急車や救急隊を呼び、広範囲の熱傷の場合は綺麗なシーツ等で体を包みます。3度かつ狭い範囲の熱傷の場合は、きれいなガーゼやタオル等で被覆しましょう。もどかしいでしょうが、専門家以外に出来るのはこれが限界です。なるべく動かさない方が良いですが、救助の来れない場所や建物の倒壊の危険がある場所にいる場合は、抱えるか即席の担架を作って運び出しましょう。
日本国内で火災旋風の危険がある場所は?
火災旋風は起こりやすい場所とそうでない場所があります。起こりやすい場所に当てはまるのは適度な広さの公園や川がある区域で、日本にも多く存在しています。特に公園は火災や地震の時の避難場所に設定されている場合もあり、そんな場所で火災旋風が起これば本所被服廠跡と同じかそれ以上の被害が出る可能性もあります。過去に東京都で開かれた防災会議では、都内で火災旋風の危険性が高い場所の報告が上がっていました。
都内で火災旋風の危険がある場所① 世田谷区:羽根木公園一帯
世田谷区では北側に住宅密集地があり、かつ細い路地が多く消火活動が難航する事から大地震の際は火災が広がりやすいと言われています。その中で、羽根木公園は火災の可能性が特に高い地域に囲まれており、周囲から火が迫った際に火災旋風が発生して大きな被害が出る可能性があると言われています。