太歳ってどんな生き物?
「太歳」と書いて「たいさい」と読みますが、この言葉には色々な意味が含まれています。ひとつめの意味は生き物の名前を意味しています。いったいどのような生き物なのか詳しく見てみましょう。
「肉例芝」とも呼ばれる動く肉塊
「大歳」は別名「肉霊芝」(にくれいし)とも呼ばれています。マンネンダケ科のキノコのことを別名「霊芝」ともいうことから、キノコの一種であることがわかります。この「大歳」は系統によって形が変わっていくため様々な形があり、見た目はスライムやクラゲのようにブヨブヨとして非常に奇妙な見た目をしています。色もクリーム色であったり、茶色であったり黒っぽいものもあります。
食べると不老長寿になる?
このように見た目が奇妙なため、本当にキノコの一種なのかと思うかもしれませんが、中国ではこの「太歳」を食べた者は不老不死になれるといわれています。
歴史をたどってみると、あの秦の始皇帝も不老不死としてこの「太歳」を探し求めていたと、「史記」という中国の歴史書にも記録されているのです。
あの徳川家康も遭遇していた!?
しかもこの「太歳」中国だけでなく日本でも「一宵話」という書物に似たような話が記録されているようです。
時は1609年4月4日、あの徳川家康が駿府城を訪れたときに庭園で「肉人」と呼ばれる妖怪に遭遇したという記録が残されているのです。内容によると、見た目は子供のようで、手はあるが指はない奇妙な姿をしたものに遭遇し、見たこともないその姿に、家康の家来たちは「いったい何者なのか?!」とうろたえます。
何とか捕まえようとしますが逃げられてしまい、家来たちは家康に事情を説明すると「人目のつかないところへ追い払ってしまえ」と指示します。
のちに薬師から「あれを食べれば滋養強壮になり、武勇も増すといわれているのに」といわれ、もったいないことをしてしまったというエピソードが記録されているのです。
そもそも「太歳」とは
「太歳」のもう一つの意味は木星から鏡に映しだされた仮想の惑星のことを意味します。ここからは仮想の惑星を意味する「太歳」について詳しくみてみましょう。
古代中国の天文暦学が発祥
元々の発祥は古代中国の天文暦学からとなります。
元々木星は宇宙空間にある物体の周りを12年かけ1周します。12周期といえば十二支があり、方角は北から西にかけて時計まわりに動きます。しかし木星は北から東へ左回りとなるため十二支と反対にまわります。この2つが鏡像に関係することから「太歳」ができて、その年の干支には太歳が宿ると中国では信じられていました。
古代中国での天文暦学の重要性
この「太歳」ですが秦から漢にかけては、太歳の方角は凶であると人々は恐れ太歳の方角を避けていました。後に元から明(1271年~1644年)にかけては国家で神をまつる儀式で、国民の平安を祈願するようになります。