オニダルマオコゼの生息地・分布
温かな海を好むオニダルマオコゼは、インド洋や太平洋西部の熱帯域に分布します。日本の近海では、沖縄や小笠原諸島・奄美大島などにも分布することが解っており、サンゴ礁や岩礁などの海の底部を生息地としています。もともとの個体数も少なく、底部に身を潜め姿を見せることが珍しい魚でもあるので、水族館でしか実物を見たことがないという方も多いのではないでしょうか。
オニダルマオコゼの生態・特徴
カサゴ目フサカサゴ科に分類される魚類です。見た目にはかなり特徴があり、別名でストーンフィッシュとも呼ばれています。その名の通り、全身がデコボコとしていて見るからに硬そうな皮膚をしています。これは、岩に擬態する為であり、実際に海底に潜んでいる姿は岩と全く見分けがつかないこともあります。体長は平均40cm程にもなる魚で、甲殻類や小魚を食べる肉食です。海の底部で砂や泥の中に身を埋もらせ岩に擬態したままじっと獲物が来るのを待ち伏せします。他にも、顎が上向きに上がっていて鬼のような形相をしている魚でもあり、名前のオニ部分はここからつけられたと言われています。
オニダルマオコゼの毒は猛毒!
オコゼ類は毒を持つことで知られていますが、オニダルマオコゼの持つ有毒成分ストナストキシンは特に猛毒と言われています。その背ビレ部分には12~14本程の強い毒性を持った棘があり、その毒の強さは1つの個体で大人4人を死亡させることができるほどの強さです。実際に国内国外共にこの毒による死亡例があります。また、刺された時の痛みは異常なもので、発狂し意識を失ってしまうほどの激痛が走ります。毒が原因での死亡例だけでなく、刺された時の激痛によって水中で気を失い溺死してしまうケースや激痛によるショック死なども多いほどです。
オニダルマオコゼに刺されない為の対策方法
棘に刺される状況で一番多いのは、オニダルマオコゼが海底に身を潜めているのに気がつかず、上から踏みつけてしまうことです。棘は太くとても強力なので、ビーチサンダルやダイビングシューズは貫通してしまいます。沖縄県では、ダイビング中のダイバーがオニダルマオコゼに足の裏側を刺されてしまい死亡する事故が発生しています。このことからもわかるように、ダイビングシューズは刺されないための予防にはつながりません。しかし、素足で刺されるよりはダイビングシューズを通して刺された場合の方が明らかに毒量は減ります。完全な予防にはなりませんが、ダイビングシューズを履くに越したことはないといことです。
フェルト靴を着用する
ダイビングシューズのような所謂マリンブーツよりも、フェルト靴の方がオニダルマオコゼの棘には有効だという説もあります。この場合、手持ちの靴やブーツに張り替え用のフエルトを貼るという対策も可能なので、オニダルマオコゼが生息していそうな場所に行く時にはこのような対策をしましょう。
用心することが大切
対策をとっておいても安全という訳では決してありません。一番大切なのは、用心することです。オニダルマオコゼが生息していそうな場所では、不用意に海底に足をつかないように心がけてください。一見岩や珊瑚に見えても、擬態しているオニダルマオコゼの可能性もありますので、注意が必要です。
オニダルマオコゼにもし刺されたら
それでももし刺されてしまったら、早急に対応処置をしましょう。ここでは刺されてしまった場合の対応処置について説明していきますので、万が一に備えて頭の片隅に入れておいてください。
海からあがる
まずは、速やかに海からあがってください。前述したように、オニダルマオコゼに刺された時の痛みは激痛と言われ、激痛で意識を失い溺れて死亡するケースもあります。刺された状態で海の中に留まるのはとても危険なので、速やかに海からあがるようにし、周囲に助けを求めてください。
毒には熱い湯が有効
その場ですぐにできる処置としては、刺された箇所を真水で洗います。もし棘が残っているようであれば棘も取り除きます。そして、オニダルマオコゼの毒に一番有効なのが熱いお湯です。刺された箇所に50度ほどのお湯をビニール袋に入れるなどして当ててください。この際に火傷には充分気をつけてください。お湯を当てることで痛みは和らいできますが、毒が失効するまでには時間がかかるので、1時間以上は当て続けるようにしましょう。
医療機関を受診する
オニダルマオコゼの毒は猛毒です。刺されてしまった場合には必ず医療機関を受診するようにしましょう。痛みが和らいだからといって、自己判断で受診せずに終わらせてしまうのはとても危険です。
オニダルマオコゼの旬・時間帯
旬の時期は2月から3月にかけてになります。この時期に沖縄県・鹿児島県・宮崎県付近の海でよく釣れる傾向にあります。ただし、オニダルマオコゼは夜行性のため、日中に釣りをしていて釣れる確率は低いといえます。