死体を見極める為に数週間は死体に手を出さないハゲタカの様子がモニターに映されており、ハゲタカが遺体のみを食すことが明確となりました。これらの事実は、実際の犯罪や事故において腐肉食動物の存在が与える影響を考慮するきっかけとなりましたので、法医学における大きな進歩でした。
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死体を食べるのは肉食獣だけではない!
監視モニターによって判明したのは、それだけではありません。先入観等から肉食獣だけが死体を食べると思われていましたが、実際の研究結果によって、死体を食べるのは肉食獣だけではないという驚きの事実が判明したのです。
オジロジカが草食でないという研究発表
普段は木の実や小枝を食べており草食だと考えられているオジロジカですが、驚くべきことに、人骨をかじるオジロジカの姿が確認されました。この事実によって、オジロジカは完全な草食ではないという研究結果が発表されたのです。
死体農場で分かったオジロジカの習性
以前から死んだウサギや魚を食べるという報告は存在していましたが、オジロジカが人骨を食べる事実が発覚したことによって、草木が減る冬などは骨を食べることによってミネラル不足を解消しているのではないかと考えられるようになりました。
死体に残る歯型が肉食獣以外の可能性と刑事犯罪
これまでの刑事犯罪では、遺棄された死体についてある歯型は肉食獣のものだと考えられていました。しかし、死体農場でのオジロジカの研究結果によって、肉食獣だけが関与しているとは限らず別の可能性が考えられるようになったのです。
オジロジカの思いがけない一面によって、法医学のみならず人類学や考古学といった研究においても新たな手掛かりになるのではと期待が寄せられています。更なる研究が進んでオジロジカの歯型に関する特徴等が分かれば、これまでの常識を打ち破って刑事や凶悪犯罪の解決に大きく貢献することでしょう。
テネシー大学以外の施設
世界初の死体農場であるテネシー大学は、その研究結果が凶悪犯罪の解明に大きく貢献しており、法医学会において重要な役割を担っています。死体農場の存在意義は大きく、現在ではアメリカ全土に渡り6つの研究施設が存在しています。
アメリカに存在する6つの研究施設
テネシー大学の他、ウェスタン・カロライナ大学、テキサス州立大学、サム・ヒューストン州立大学、南イリノイ大学、コロラド・メサ大学に研究施設が設けられています。あらゆる環境下における腐敗状況を研究する必要があるため、同じ州内であっても土壌や気候が異なる場所に存在しています。
オーストラリアの研究施設
研究施設はアメリカだけではなく、オーストラリアにも存在します。2016年にシドニー工科大学によって、ニューサウスウェールズ州のヤラマンディ近郊に設立されました。この研究施設は、アメリカを除いて初めて作られた死体農場です。
イギリスで研究施設を作る動き
凶悪犯罪の解決や法医学において大きく貢献している死体農場ですが、同じ国だったとしても気候等の環境が違うと研究結果を使い回すことが困難ですので、現在はイギリスや別国でも設立の声が高まっています。全世界に研究施設ができる日も遠くないでしょう。
日本に死体農場ができる日
現在はアメリカを中心として作られており世界的にも設立の声が高まっている死体農場ですが、果たして日本国内に作られる日はくるのでしょうか。法医学や刑事捜査において死体農場がもたらす恩恵は大きいですが、果たしてそんな日がくるのか考えてみましょう。
アメリカの研究成果に頼る日本
現在の日本に研究施設は存在していませんので、日本における遺体の腐敗状況等の明確なデータも存在していません。日本は凶悪犯罪の捜査や刑事事件では、アメリカ・テネシー大学の研究成果に頼りきっている状況なのです。
気候・湿度の違いが死体に及ぼす影響
気候や湿度の差が激しい日本とアメリカとでは、遺体の腐敗状況にも大きな差が生じます。アメリカと同じデータを参考にして明確な情報を得ることは難しいでしょう。各地に死体農場を設けて独自の環境下で研究することが理想であり、そうすることでより明確な情報を得ることができるのです。
日本に死体農場は必要か?
たとえ同じアメリカ州内であっても、わずかな環境の差によって研究結果に大きな差が生じていますので、特に四季の存在する日本では研究結果が当てはまらない場合も多いです。凶悪犯罪の解明や結果の誤認を防ぐためにも、日本にも死体農場が必要だと言えるでしょう。
立ちはだかる倫理と世論の壁
刑事捜査や法医学の進歩のために研究施設の存在が必要とは言え、実際に人の死体を使った研究ですから、倫理や世論といった立ちはだかる壁は厚く高いです。また、アメリカのように広大な土地も少ない日本では、現状死体農場を作るのは難しいのではないでしょうか。
日本の法医学レベルは先進国でも最低水準
数ある先進国の中でも、日本の法医学レベルが最低水準であることをご存知でしょうか。変死体に対する解剖率がアメリカでは50%、スウェーデンでは90%もあるに比べて、日本はたったの11%程度と非常に低い数値なのです。
日本には法医学研究所が存在しない
他の国々には、変死体に対して解剖や薬物検査などを行う医師や身元を判明するために実施する歯科検査師など、あらゆる法医学者を育てると共に実務を行う機関として法医学研究所が存在します。しかし、日本にはそのような組織や機関は存在していません。
日本の法医学者は少数しかいない
日本では、死因を判定する解剖医師が200人程しか存在していません。さらにこの中でも所属する機関から正式に認められたうえで解剖を実施する人は、たったの10人程しか存在していないという驚きの事実があります。
そのほとんどは大学にある法医学教室に属する法医学者ですが、研究教育という本職の合間をぬって、ボランティアとして解剖や検査を行っています。近年は変死体の数が増えており、ボランティアで解剖を実施することが難しい現状が、日本の低い解剖率に繋がっているのです。
法医学レベルが低いことによる弊害
他の国では死因が明らかでない場合は法医学者による解剖や検査によって正確な死因が判定しますが、日本では犯罪性が疑われる死体のみ実施されている現状です。そのため、実際には青酸カリが入った烏龍茶を飲んで死亡したにも関わらず心不全として判定された等、たくさんの犯罪が見逃されてきました。
日本でも制度の見直しが進んでいる
これまでの日本では法医学に対する重要性が低く、法医学者の数も少数でした。しかし警察庁の調査によって40件以上もの犯罪の見逃しがあったことが明らかとなり、日本政府でも制度の見直しが進められています。社会の安全や凶悪な犯罪を解決へ導くためにも、日本にも法医学研究所が必要でしょう。
【閲覧注意!】気になる死体農場の動画
ここからは、実際の死体農場の様子を動画でご紹介します。日常生活において、実際に腐敗した遺体や白骨化した人骨を目にする機会はほぼありません。研究施設とはいえ至るところに死体の転がっている様子は、とても恐ろしく衝撃的な光景です。
死体農場の実態①
https://www.youtube.com/watch?v=8wDJINtov6U
実際に死体農場で作業する学生たちによって、死体を運び込まれるところから観察をしているところまで研究に関する状況が具体的に映し出されています。腐敗状況の異なる死体がゲージに入れられていたりと、恐ろしいですが興味深い内容です。
死体農場の実態②
https://www.youtube.com/watch?v=KkNdCSW1n_g
こちらも死体農場で日々死体を観察する様子が、説明と共に映像で詳しく紹介されています。森の中に野ざらしにされた無数の死体の中には、腐敗してウジがわいているものや水を吸って大きく膨らんだもの等、思わず目を逸らしたくなる映像が映されています。
死体農場の実態③
https://www.youtube.com/watch?v=OFJrow7yaec
こちらの動画には、非常に衝撃的な死体農場の様子が映されています。特に腐敗した死体にウジがわいて白骨化するまでの過程が細かく説明されていて、研究施設とはいえ映像を見ているだけでも寒気を覚えるような光景です。
強烈なインパクトを残す死体農場
実際に人間の死体を使用していることもあり、死体農場の存在を知ってしまうと二度と忘れられないほど強烈なインパクトを残すことでしょう。一見非人道的な行為が行われているかに思えますが、実際には法医学や凶悪犯罪の解明に大きく貢献するほど、非常に真面目で重要な研究施設なのです。