研究対象となっている死体は、全て本物の人間です。常に複数の死体を保持していて、さらに数日おきに追加されている死体ですが、一体どのようにして入手しているのでしょうか。死体の出どころについて、詳しく見ていきましょう。
有志の献体
一つ目は、生前から死体農場での研究に賛同する人々からの献体です。彼らは死後の肉体に何が起ころうと問題ではないと考え、誰かの役に立てるならばという意志の元で自ら献体を希望します。故人の遺志による献体は、遺族にとっても誇り高い行為と考える人が多いです。
遺族からの献体
一方で、故人の意思とは関係なく提供される死体も数多く存在します。そのほとんどは、金銭的な理由から故人の葬儀を行うことができないといった理由や、葬儀そのものが面倒であるといった理由によって、遺族から献体されています。
十分すぎる研究材料
本物の人間の死体を使用していることもあり、一見すると研究材料の入手が困難なように思えます。しかし実際には、故人や遺族の強い意志によって十分すぎるほど献体が存在しているという驚きの事実があるのです。
Contents
動物と死体の関係
人体の腐敗状況の過程を研究する上で、動物との関係は切っても切り離せません。単純に野ざらし状態で放置された場合と、動物が関与した場合とでは、腐敗状況に大きな差が生じてくるためです。動物と死体の関係について、ポイントを絞ってご説明します。
遺体処理に重要な役割のある肉食獣
腐敗した遺体を獣が食べることによって実際の死亡状況等が変わってしまうので、どのような動物が死体に群がるかといった研究のために、監視モニターを設置します。死体農場に姿を現す動物には、ヒメコンドルやキツネ、アライグマといった肉食獣が存在します。
研究施設で人肉を喰らうハゲタカ
監視モニターを使用した実験では、放置された死体に群がって食い散らかしていくハゲタカの姿も確認されています。この実験によって、ハゲタカが人体で眼球を最初に食べ始める習性や、1時間程あれば死体を骨にできるといった獰猛さが確認できました。
ハゲタカは生きた人間は食べない
死体を見極める為に数週間は死体に手を出さないハゲタカの様子がモニターに映されており、ハゲタカが遺体のみを食すことが明確となりました。これらの事実は、実際の犯罪や事故において腐肉食動物の存在が与える影響を考慮するきっかけとなりましたので、法医学における大きな進歩でした。
死体を食べるのは肉食獣だけではない!
監視モニターによって判明したのは、それだけではありません。先入観等から肉食獣だけが死体を食べると思われていましたが、実際の研究結果によって、死体を食べるのは肉食獣だけではないという驚きの事実が判明したのです。
オジロジカが草食でないという研究発表
普段は木の実や小枝を食べており草食だと考えられているオジロジカですが、驚くべきことに、人骨をかじるオジロジカの姿が確認されました。この事実によって、オジロジカは完全な草食ではないという研究結果が発表されたのです。
死体農場で分かったオジロジカの習性
以前から死んだウサギや魚を食べるという報告は存在していましたが、オジロジカが人骨を食べる事実が発覚したことによって、草木が減る冬などは骨を食べることによってミネラル不足を解消しているのではないかと考えられるようになりました。