実は美味しいシイラの刺身!気になる味やさばき方、おすすめレシピまで

鮮度低下のスピードが大変早いので水揚げされた地域でのみ出回ることが多い食材です。また食中毒になる可能性も他の魚に比べて高いので扱いには非常に神経を使います。これらを理由にスーパーや飲食店でも扱うのを避ける傾向があるため、さらに扱う店が限られているのが現状です。

シイラを食べると下痢になる?

腸炎の元となる菌、「腸炎ビブリオ菌」が体表面に付着している可能性が高く、感染すると24時間以内に腹痛や下痢、発熱、吐き気などを起こします。しかしこの菌はシイラ特有ではなく他の魚介類でも付着している可能性のあるものです。しっかり管理と処理を守れば防ぐことは十分に可能です。

腸炎ビブリオ菌とは?

海水中に潜伏している菌で海水温15度を超えると活動・増殖が活発化します。よって菌の多い海水域、かつ温度条件の良い環境で獲れた魚介類には菌が多く付着しているケースがあり処理を怠ると食中毒の原因になります。夏場の発生が多いのが特徴です。温暖な海を生息場所とするシイラにも関わりがある菌なのです。

対処法

真水で増殖することはありません。よって調理前に水道水で入念に菌を洗うことが大切です。加えて、使用したまな板、包丁をそのまま生食用の食材を切ることに用いないこと、使用後は洗浄、消毒が求められます。さらに夏場は少しの時間でも冷蔵保存を心がけましょう。また釣った際は他の魚と長時間一緒に保管するのは避けたほうがベストです。

シイラの皮には要注意!

魚には食中毒を始め、刺し毒、そして粘液毒と大きく分類して3種類の毒が存在します。シイラの皮には粘液毒の一種である表皮粘着毒というものがあり、人にも影響を及ぼすものです。他に同じような毒を持つ魚として、フグ科のキタマクラが有名です。

粘着毒ってなんだ?

魚の皮膚はベトベトした粘液で覆われています。これには抗体などの防御因子が含まれていて、病原菌から身を守る重要な機能を担っています。さらに、外敵から身を守るため粘液に毒素を含ませていることもありシイラの場合はそれに該当します。下痢や嘔吐、また付着した手で目を擦ったりすると炎症を引き起こします。

対処法

先ほどの腸炎ビブリオ菌の時の対処法と変わりありません。とにかく体表面を洗いヌメリを落としましょう。また刺身で食べる際は皮引きまで処理したまな板と、サクを刺身用に切るためのまな板は分けると安心です。同じまな板を使用する場合は一度洗浄と消毒をしてから使うようにしましょう。

シイラは寄生虫がいることも!

多くの魚介類に寄生虫が存在します。もちろんシイラも例外ではありません。加熱処理をして食べる際は心配ないですが、刺身で食べるときは細心の注意が必要です。美味しく食べた後に大惨事を迎えないようにきっちり対処することが肝心です。

シイラにはアニサキスがいることも!

青魚に多く潜んでいることで知られています。近年、魚屋でも注意書きが見られるほど有名で一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。普段は内蔵にいるのですが魚が死ぬと身の方へも這い出てくるので刺身への付着も十分に考えられます。人体に入り込むと猛烈な腹痛や下痢、嘔吐を発症させます。

対処法

どうしても生食をする場合は十分に咀嚼するようにします。あまり深く想像したくないですがアニサキスをも噛み切ってしまう、そんなイメージです。その他、マイナス20度で2、3日冷凍するか、60度以上で加熱し死滅させる手段もあります。仮に発症してしまった場合は直ちに医療機関を受診しましょう。

シイラの締め方

釣り上げたらすぐに締めて少しでも高い鮮度を保つように心がけましょう。締め方には様々なものがありますが今回は生で食すことを想定し、より安全に食べることができることを第一に考えた方法を解説していきます。

シイラの締め方:手順①頭を落とす

多くの場合、締め段階で頭を落とすことはありません。がしかし今回は内臓を取り出してしまうので最初に頭を落としてしまいます。胸と腹のヒレを残すことを意識して落とします。頭部はとても硬いので力任せになりがちです。怪我に注意しながらやりましょう。

シイラの締め方:手順②内臓を取り出す

この締め方のもっとも肝となる部分です。アニサキスが潜伏している可能性が高い内臓を取り出します。こうすることで宿主の死後、活発に動いて身へ侵入しようとするアニサキスの行動をシャットアウトすることができるのです。

シイラの締め方:手順③綺麗に洗う

内臓を取り出したら腹の中をきれいに洗います。奥の血合いの部分もしっかり洗い流しましょう。指を使って掻き出すようにしてもいいですが、意外にも歯ブラシが活躍します。1本、専用に持っていくと便利です。

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