はじめに
フィレオフィッシュに使われている魚の正体とは?
マグドナルドのフィレオフィッシュや白身フライ定食。これらに共通するのは白身魚を使ったメニューであることです。どちらも一度と言わず何度か口にしたことがあると思いますが、これらのメニューに使われている白身魚がホキという名前であることはご存知でしたでしょうか。おそらく大半の方にとって耳慣れない魚であろうホキ。果たして一体どのような見た目をしているのでしょうか?またどんな場所に生息するのでしょう?今回は私達の生活に身近でありながらあまり知られていないホキの正体に迫ります。
ホキの生態
どんな見た目をしている?
ホキはタラ目マクルロヌス科の魚です。成魚の体長は60~120cmほどで300m~600mの深海に生息します。かつてメルルーサと呼ばれる同じタラ目の魚と同じ科に属していましたが近年では独立した科とみなされるようになりました。上の写真を見てもらえればお分かりになると思いますが、深海魚特有の恐ろしい見た目をしています。
体の特徴は?
ホキの口には鋭い歯が生えています。この鋭い歯でイワシや甲殻類などを捕食するという特徴があります。また身はつやつやとした銀白色で背中側が青みがかっています。銀白色は下から見た際に敵に見つかりにくくするための役割を果たしていると考えられています。
寿命や産卵期は?
寿命は12年~14年と比較的長生き。産卵期は6月~7月です。ホキは群れを形成して暮らしますが、産卵期は特に大きな群れを形成することが知られています。
ホキの名前の由来
その長い尾が由来となっている
ホキの学名は「Macruronus novaezelandiae」といいます。これは「ニュージーランドの尾」という意味。体長の半分ほどもある特徴的な尾が学名の由来になっています。またニュージーランドやオーストラリアでは俗称として「Hoki」という呼び方をされます。ちなみにこの「Hoki」というのは現地語であるマオリ語からきているそうです。この俗称がそのまま日本で「ホキ」として用いられ、この魚の呼称になっているのです。
ホキの分布は?
日本には生息しない
ホキは主にニュージーランド・オーストラリア、アルゼンチン・チリ、南アフリカに生息します。生息地によって学名が異なり、それぞれ「Macruronus novaezelandiae」、「Macruronus magellanicus」、「Macruronus capensis」という学名になります。私たちにとって非常に身近な魚であるホキですが、なんと日本には生息しないのです。つまり口にするものは全て輸入したものであるということですね。
日本でよく輸入される原産地はどこ?
3つの地域の中でも日本に輸入されるものはニュージーランド・オーストラリア原産のものが多く、ほっともっとの白身フライに使用されているホキは全てニュージーランド原産のようです。また、前述したようにこの魚の日本での呼ばれ方はニュージーランド・オーストラリアの俗称の「Hoki」に由来する「ホキ」です。このことからも日本で流通しているホキがニュージーランド・オーストラリア原産のものが多いことが推察できます。
ホキの漁獲量
乱獲により絶滅の危機
ホキの年間漁獲量は700万kgにも達し、需要よりも多くのホキが揚げられてしまっており絶滅の危機に瀕しています。この影響を受け、デニーズやマクドナルドなどは現在使用を制限しています。マクドナルドはホキだけでなく、ホキより高価なタラやスケトウダラを使用し、デニーズはニュージーランド原産のホキのみを使用することを明言しています。
世界的に絶滅を防ぐ取り組みがなされている
そのほかにも持続可能な漁業を認証する機関である海洋管理協議会にホキ漁業が管理下におかれるなど様々な対策が施されています。このようにホキの乱獲というのは世界的に問題視されています。しかし、2016年にBBC Newsによってホキに関する衝撃的が報道がなされました。その報道によるとニュージーランド政府の内部文書がリークされ、実情としてホキを水揚げしてから半分近くを投棄する違法漁業が行われていることが判明しました。様々な対策が施されているにも関わらず、主要原産地の一つであるニュージーランドでこのようなことが行われていたとあってはホキが絶滅の危機を脱するのはまだまだ先の話なのかもしれません。
ホキの釣り方
深海用釣竿を用意しよう
絶滅の危機に瀕しているホキですが、現地ではフィッシングツアーが組まれていることもあります。その際はホキが体長60cm~120cmと大型種であるホキのパワフルな引きを楽しむことができますよ。先述したようにホキは肉食ですので、イカや甲殻類を餌に使いましょう。また深海魚でもあるので釣竿は深海用のものを用意する必要があります。深海は潮流が速く、釣り糸がたるむ「糸ふけ」という現象が発生する可能性があるため、ホキが生息する深さ300m~600mの倍ほどの長さが巻けるリールの釣竿を用意するのが最適です。
ホキはスケトウダラの代用魚?
味が近い安価な魚のことを指す
代用魚という言葉をご存知でしょうか。代替魚とも呼ばれることもありますが、古くから大衆に食されてきた魚が大量消費によって生息数が減ってしまうことを防ぐために味が近く安価な魚がその代わりとして市場に出回ることがあります。この魚のことを代用魚、もしくは代替魚と呼びます。そしてホキは同じ白身魚であるスケトウダラの代用魚です。