タコを締める理由
締めることによって鮮度が保たれる
タコを締める理由は鮮度を保つためです。釣った後にそのまま放置してしまうと死後硬直が始まり、タコの身が腐敗することによって鮮度が落ちてしまいます。しかし、タコを釣り上げて即座に締めることにより死後硬直を防ぎ、鮮度を保つことができるのです。またクーラーボックスに入れて生きたまま持って帰ってもよいですが、その場合タコが暴れることやストレスで自分の足を食べてしまうことなどにより身が傷ついてしまうことがあります。またわずかな隙間から脱出することができるのでクーラーボックスに入れても気づけば逃がしてしまうことも考えられます。これらの事態を防ぐためにもタコを締める必要があるのです。
タコの締め方
ピックやナイフで神経を切断する
タコを締める方法は主に二つあります。一つはタコの目と目の間、人間でいう眉間の部分にピックやナイフといった先端が尖ったものを突き刺す方法です。タコの目と目の間には急所となる神経が通っています。この神経をピックやナイフなどで切断すると、脳が体に死んだことを知らせる信号を送り、身の鮮度を保つことができます。このようにしてナイフやピックによってタコを締めることができるのです。うまく締まると体色が真っ白になるのですぐにわかります。
手でタコの内臓を取り出す
ピックやナイフなどの先端が尖ったものがない際に用いるもう一つの方法がタコの内臓を取り出す方法です。タコの頭の皮をひっくり返して白い身をむき出しにして内臓を取り出すと締まります。タコは地上でもうねうねと動き回ることができる生物ですが、頭の皮をひっくり返すと途端に大人しくなるのでここまでできれば内臓を取り出すのは容易でしょう。また内臓を取り出しておくと後の調理も楽です。
タコの締め方のコツ
目と目の間の5ミリほど下の部分を刺す
タコは目と目の間の5mmほど下の部分に急所となる神経があります。ナイフやピックでタコを締める場合、この部分にまっすぐナイフやピックを突き刺して締めるようにしましょう。また締める際にはタコが暴れて締まりにくい場合があります。この場合、頭部をしっかりと押さえつけて固定するようにしましょう。一回でしっかりと締めることは上級者でも難しいので、その場合は残酷なようですが、うまく締まるまで繰り返し目と目の間にナイフやピックを突き刺しましょう。
漏斗に指をかける
内臓を取り出して締める場合もタコが暴れ、締めにくい場合があります。この場合はタコの頭部に空いている穴に注目しましょう。タコの頭部には漏斗と呼ばれる墨や海水を吐き出す器官があります。これが頭部にある穴の正体です。この穴に指を引っ掛けるようにすると頭の皮をひっくり返しやすくなります。また、まな板のような平たいものに吸盤を吸着させるとタコが固定され、締めやすくすることもできます。
タコを締めるために必要な道具
フィッシングナイフ
目と目の間にある神経を切断して締める場合、通常のナイフやピックなどを用いても良いですがおすすめはフィッシングナイフです。フィッシングナイフは小型なものが多く、持ち運びに優れます。また締める際に用いるだけでなく、身を捌く、エサをカットするといった際にも活躍する万能アイテムです。購入の際は錆びにくいステンレス製を選ぶようにしましょう。またフィッシングナイフの中にも刃を収納することができるフォールディングナイフと刃が柄に固定されているシースナイフの2種類がありますが、身を捌く際などに力を入れる必要があるため刃が柄に固定されているシーフナイフを選ぶ人が多いようです。頭をひっくり返し、内臓を取り出して締める場合は手で行うため、道具は必要ありません。
タコの種類
マダコ
日本には東北以南に広く生息し、釣ることができる人気の種です。体長は60cmほど。体表に色素細胞が密集しているため、わずかな時間で体色を変えることができます。また外敵に襲われ、身の危険を感じると墨を吐いて逃げ出します。日本で最も多く消費され、一般的にタコと聞いてイメージされるのはこの種です。しかし、最近は漁獲量が減少し、国産のマダコは高価になっています。真水を嫌い、汽水域には生息しないため、釣りをする際にはこの習性を考えて釣る場所を選択する必要があります。
イイダコ
日本には北海道以南の全国に生息する種です。体長は10cmほどでタコの中では小型です。足の付け根に金色の斑紋が2つあることが特徴で、これによって他の小型のタコと見分けることができます。また白いものを好む習性があるため、らっきょうを用いてイイダコを釣りあげることができます。旬は卵を持つ春。卵は飯粒状でこれが名前の由来です。イイダコの卵は甘みが強く、食用として人気が高いです。この人気の高さゆえ、市場で売られる際はオスよりメスの方が高価です。
ミズダコ
東北地方以北の寒い地域に生息する種です。体長は4mほどにもなり、これはタコの中で最大の大きさです。記録された中で最大の個体はなんと体長9.1m。そのくちばしは非常に強力で、カニなどの甲殻類を噛み砕くだけでなく大きく育った個体はサメを死亡させるほどです。毒を持っている種ではありませんが、ダイビング中には遭遇したくないですね。このように恐ろしい一面をもつミズダコですが、食べることも可能です。身はマダコと比較すると水っぽく、刺身や酢ダコにしてよく食べられているようです。