マグロのあらとは?
マグロのあらが売っているのを見たことがありますか?スーパーでは棚の端や最上段にあることが多いので見たことがない人もいるかもしれません。しかしトレイ山盛りに入っていて大変お得で、しかも栄養もある食材なのです。
マグロのあらって何?
マグロのあらは、マグロを刺身やお寿司などのために切り分けて余った部分を集めたものです。骨に近いことなどで身の形がきれいでなかったり筋が多かったりする部分や、血合いの部分が含まれています。
栄養価が高いって本当?
マグロのあらは非常に安く売っていますが、実は高く売っているお刺身のマグロよりも栄養価は高いんです。マグロにはそもそも良質なたんぱく質が多く、ビタミンA・DやEPA・DHA、必須微量元素のセレンなども含んでいます。
特にマグロのあらに多く混ざっている血合いには代謝促進や肝臓強化によいタウリン、美肌や肩こりによいビタミンE、貧血を予防する鉄分が他の部位より多く、鉄分は赤身の2倍も含まれているのです。男性も女性も、小さな子どもからお年寄りまでぜひ摂取したい食材です。
マグロのあらは主婦の味方!
マグロというと少しお高いイメージがあるかもしれませんが、マグロのあらは大変お値打ち食材で、節約を心がけたい主婦やおなかいっぱい食べたい若者などにはぜひ使ってほしい食材です。しかもいろいろな方法で調理することができ、たくさん買ってしまったからといって飽きてしまうこともありません。
価格が安い
マグロのあらはお店にもよりますが、トレイに山盛り入って100円~300円程度、100gあたりにすると数十円~100円未満くらいが相場で、他の肉や魚と比べるととても安く売っています。しかし刺身を作ったときの余りものなので数量には限りがあり、見つけたらとてもラッキーです。
アレンジが効く
マグロというとお刺身やお寿司のイメージしかないかもしれません。しかしあらは煮る・焼く・炒める・揚げるなど様々なレシピで食べることができ、味付けも和風でも洋風でもなんでも合います。血合いの部分は魚というよりも牛肉にも似た味や食感があり、代用して節約レシピにも活用できます。
マグロのあらにはどこの部位が入っているの?
お店やタイミングにもよりますが、マグロのあらのパックには様々な部位が入っている可能性があります。ここではよく入っている部位を紹介します。マグロは捨てるところがないともいわれ、どの部分もおいしく食べることができるので宝探しのようなつもりで買ってもいいかもしれませんね。
よく入っている部位①血合い
血合いは最もよく入っている部分だと言ってもよいでしょう。血合いとはマグロの背身と腹身の間の部分、側面から見た時にちょうど背骨があるあたりのラインについている肉のことです。そこには血管などが集まっており、長時間泳ぎ続けるために重要な筋肉です。
そのため外洋を泳ぎ回る回遊魚は血合いが発達しているものが多いですが、マグロはエラを自分で動かせず、一生泳ぎ続けなければいけない魚であり、そのために特に発達していると言われています。
よく入っている部位②中骨付近の肉
お寿司やお刺身になっているマグロには骨がないですよね。そのため中骨付近はお寿司やお刺身用のサクには使用しないため、こちらもよくマグロのあらのパックに入ります。この部位が入っている場合太い針のような骨がついているので食べるときに注意が必要ですが、骨から出汁が出るので煮込み料理や汁物にお勧めです。
よく入っている部位③トロ部分の端
マグロのあらにはなんと大トロや中トロの部分も入っていることがあります。そもそもトロとは腹の部分の肉で、頭に近い側が大トロ、尾に近い側が中トロです。刺身にしづらい切れ端や、内臓との境の薄皮に近い部分がよくあらのパックに入ります。
入っていたらラッキーな部位:頭の周りの肉
なかなかマグロのあらのパックに入っていることはないかと思いますが、あらの中でも通の人に人気なのが頭の周りの肉です。エラの近くの「カマ」、頭の上の「脳天」、ほっぺにあたる「ほほ肉」、下あごの部分である「あご肉」などは特に美味といわれており、入手できたら大変ラッキーです。
マグロのあらの購入時の注意点
マグロのあらを購入する際はなるべく新鮮なものである方が生臭さが少なくおいしいです。ドリップと呼ばれる液体が出ているものはやや鮮度が悪く、うまみ成分も流れ出てしまっています。ただし、たくさん並んでいるわけではないのであまり選べない場合もあります。ドリップが出ていても食べられないわけではないので早めに調理しましょう。
加熱用か生食用かの確認を
マグロのあらには「加熱用」「生食用」と書いて販売されているものがあります。生食用はマグロをカット・パック詰めする際の道具の衛生管理や保管温度管理をより厳重にされたものですが、加熱用はやや甘い場合があります。
加熱用を生で食べたからといって直ちにおなかを壊すというわけではありませんが、万が一何かあっても自己責任だということは心にとめておきましょう。ちなみに特にどちらも記載がない場合もありますが、その時は加熱用だと思った方が無難です。
マグロのあらの下処理法
マグロのあらはそのままいきなり調理しても食べられないことはないですが、生臭さや血の味が残ることがあるので、しっかりと下処理をしてから調理するのがおすすめです。これから6つの方法をご紹介します。ひとつだけでもいいですが、臭みが苦手な人はいくつか組み合わせてやってみてください。
方法①きれいに水洗いをする
買ってきたらパックから取り出し、汚れをきれいに洗い流します。きれいになったらキッチンペーパーなどで水気をよく拭き取っておきます。これだけでも少し臭みが軽減されます。
方法②塩を振ってしばらくおき、洗い流す
マグロが含んでいる余分な水分や臭みを塩を使って出す方法です。少量の塩をまんべんなく振ったら10分ほど置いておくと、水分が出てきます。そうしたらそれをきれいに洗い流し、水気をよく拭き取ります。
方法③霜降りにする
鍋に湯を沸かしておき、マグロのあらを料理に合わせた大きさに切ったら、それを鍋に入れます。さっと混ぜて表面の色が白く変わったら冷水にとり、アクやぬめりを手でこすり落とします。この下処理法を霜降りといい、特に煮る料理の前におすすめです。生臭さが嫌な場合は若干長めに茹でると抜けますが、調理の際にやや出汁が出にくくなります。
方法④水に漬けておく
これは血合いが多い場合に血抜きという下処理も一緒にできる方法です。ボールの中に水を張りマグロを漬け、約15分ごとに水を取り替えて1時間ほどつけておきます。すると血と生臭みが抜けるので、水気をよく拭きとっておきましょう。長く漬けるとその分臭みが抜けますが、マグロのうまみも抜けてしまうので注意してください。
方法⑤水の中でもみ洗いする
血合いの血や臭みを抜きたいけど水に漬けておく時間がない場合は、水の中でもみ洗いすると時短で下処理ができます。最初は水が赤く濁りますが、水を換えながらやっていると数分できれいになってきます。力を入れすぎると身が崩れてしまうので気をつけましょう。
方法⑥調理時の工夫
下処理後の調理の際にも工夫すると臭みを気にならなくさせることができます。煮物や汁物の場合はショウガやネギ、大根、ゴボウなどを一緒に入れたり、焼き物や揚げ物の場合はハーブやレモンをかけたりするとよいでしょう。
マグロのあらのおすすめレシピ:煮物編
ここからはマグロのあらを使ったおいしいレシピをご紹介していきます。まずは煮物です。煮物は煮汁にマグロのうまみが溶け出し、他の材料を入れたり煮詰めたりすることでよりおいしさが増しますが、同時に臭みも溶け出してそのまま残りやすい調理法でもあります。しっかりと下処理をしてから調理しましょう。
レシピ①マグロのあら煮
マグロのあら料理の代表格、マグロのあら煮です。甘辛い味付けはご飯にもお酒にも合う味で、家族みんなで食べることができます。また、冷めてもおいしいのでお弁当の一品やおにぎりの具にもできます。
材料
- マグロのあら 1パック(500g程度)
- しょうゆ、酒、みりん 各大さじ4
- 砂糖 大さじ2
- しょうが 1かけ
- 水 100~200㏄程度
料理レシピ
下処理をしたマグロのあらを一口大に切り、しょうがはスライスまたは千切りにします。そして調味料としょうが、水を鍋に入れ火にかけます。沸騰したらマグロのあらを入れ、ひたひたになるよう必要であれば水を足して調整します。その後落し蓋をして煮て、煮汁がほとんどなくなったら完成です。
調理のポイント
しょうがはなくても大丈夫ですが、臭みが消えるので入れたほうが良いでしょう。チューブのしょうがでも大丈夫です。落し蓋をして煮込む際は焦がさないよう気を付けてください。たまに様子を見ながら、煮汁が減ってきたら徐々に弱火にするとうまくいきます。
レシピ②マグロのあらと大根の煮つけ
マグロのあら煮にレシピは煮ていますが、そこに大根を加えるとまたひと味違った煮物になります。大根がマグロの臭みを中和してくれるのでさっぱりとおいしくいただけます。冬に特に食べたい料理です。
材料
- マグロのあら 300g程度
- 大根 1/3~1/2本
- しょうゆ、酒、みりん 各大さじ4
- 砂糖 大さじ2
- しょうが 1かけ
- 水 100~200㏄程度
料理レシピ
大根は厚さ2cm程度の半月切りにし、米をひとつかみいれたお湯で竹串が通るまで下茹でしておきます。下処理したマグロのあらは一口大に切り、生姜は薄切りまたは千切りにします。調味料としょうが、水、大根、マグロのあらを鍋に入れて火にかけ、10~20分ほど落し蓋をして煮込みます。
調理のポイント
大根の下茹では少々面倒ですが味染みがよくなるのでぜひやっていただきたいです。もし時間があれば、完成後一度冷ましてからもう一度温め直して食べるとより味が染みておいしくなります。ゴボウやネギなども一緒に入れるとまた違った味わいになるので試してみてください。