そのため、本来1日で儀式を終了し分解されるはずの遺体が、数週間から時間を要するようになり、腐敗臭や衛生上の問題を引き起こすようになったのです。ゾロアスター教においては、鳥葬実施の立地的に住宅街の中で執り行う必要があるため、こういった問題はさらに深刻化しているのです。
肉の破片が撒き散らされる
遺体を食す猛禽類の問題には、こんな問題も関係しています。食べた肉片が飛び立つ鳥と一緒に舞い上がるので、周辺の土地に肉片がまき散らされるという懸念があるのです。これは、動物が食べるということによるものなのでどうしても対処しきれない問題になります。
さらに、食べきれない肉を現地から持ち帰ろうとする鳥もいるようです。加えて肉を移動した結果、移動中の土地で肉を落とし、近隣の人に肉片が当たるという問題も生じているようです。血や肉片が周囲にまき散らされると、そこからも衛生上の問題が発生するリスクがあるので深刻な問題のようです。
鳥葬は減少を止められないという声も
上記のような葬儀方法にちなんだ課題に対して、解決策を講じているところもあります。例えば、猛禽類の減少により遺体分解の時間が通常よりもかかるという事態に対しては、科学的な装置を用いて分解を早め、骨や肉をより早く自然に返せるようにと取り組まれています。
しかし、この葬儀方法を取る宗教上での考え方では、宗教上の理念からこうした科学的な手法は自然の摂理に沿った行為ではなく、伝統に反する行為でもあるため取り入れることはできないと反対の声もあります。こういった背景もあり、鳥葬減少や他の手法で代わりに行うことはできないと声も上がっているようです。
驚愕!本当にあった鳥葬見学ツアー
神聖な儀式として鳥葬がどのような内容で行われているのかわかったところで、実際に鳥葬の見学ツアーがあることを知っているでしょうか。日本ではけっして許されない方法として考えられてはいますが、世界には見学できるツアーがあるのです。
鳥葬見学ツアーとは?
どんな内容なものかというと、数少ない一部の地域で行われている鳥葬を見学できるツアーです。鳥葬以外にも観光を目的としたツアー内容になっているのですが、その計画の中にこの葬儀見学プランが組み込まれているのです。中止になっているところは多いですが、中国の一部などまだ見学できるところがあります。
人生観が変わる
ツアーに参加した人の感想を見ると、その多くが人生観が変わるという言葉を目にします。これまでは動物に食べさせるという残酷で衝撃的なイメージのみ先行する形で、確かに現地での匂いや鳥葬の最中のシーンには衝撃がありますが、自分の死後の体を、何か他の命のために役立てるという考え方は、実際に鳥葬を目にするととても尊い考え方だと感じる人は多いようです。
なくなりつつある見学ツアー
現状ツアーは減少の一途をたどっています。宗教の違いなどで受け入れられないという問題もあるようですが、衛生上や衝撃的なシーンといった色々な問題が絡み合って、見学ツアーを中止にしているところが多いようです。しかし、まだ一部の地域では神聖な儀式を残したいとの思いも込めて見学を行っているところもあります。
鳥葬見学の際の注意点
そもそも見学を行える機会が少ない鳥葬ですが、たとえ見学ができたとしても注意が必要です。それがはっきりと見える位置で見学ができないこと。宗教上のルールで関係者以外は近くでは見れない場合や見学できても鳥が遺体に群がっているシーンしか見れないことが考えられます。儀式の一部始終を見学は難しいでしょう。
また、もちろんそれなりに覚悟がないと見れるシーンではありません。切断や鳥が食す光景は、表情などが残っている遺体も相まってかなりの衝撃的なシーンとなります。神聖な儀式とはいえ、かなりの衝撃となるので見学には覚悟と意志を持って行いましょう。
日本で鳥葬は行えるのか?
限られた地域での鳥葬。それらの意味や見学までいろいろな観点から鳥葬について調べてきました。ところで、鳥葬を日本の視点に戻すと、聴き慣れない言葉で鳥葬はそもそも行われていないように感じるでしょう。日本でこの葬儀方式はとれるのか、焦点を日本に当てて紹介していきましょう。
墓地・埋葬等に関する法律
そもそも日本の法律で許可されている埋葬方法はというと、火葬が一般的であることは知っている人も多いでしょう。そして、土葬も可能とされています。しかし、墓地や埋葬に関する法律の埋墓法では、厳しく定められておりまし王の定義から定められています。
また、埋墓法によると火葬後の死体処理方法や、火葬せずに埋める際にも自治体のルールに則って行わなければならないなどの土葬に関する色々なルールが取り決められており、実質火葬が一般的な方法とされています。とはいえ、現日本ではこの二つの葬儀方法が許可されている方法となります。。
鳥葬を行えば刑法違反!
火葬や土葬は埋墓法に即して対応しなければならないことはわかりましたが、とはいえ神聖な意味を込めての鳥葬。実施してはダメなのかと思う人もいるでしょう。これに関して、日本の法律にあてると鳥葬は刑法違反になり処罰の対象になります。該当以外の葬儀方法は執り行えないのです。
まず、埋墓法により独自で判断のもと埋葬法や埋葬先を決めることは禁止となります。。この法律では、各方法について記されている以外に、埋葬時に市町村の許可が必要としているのです。そのため、独断で死体を埋葬することは不可能なのです。それに加えて鳥葬は刑法にも触れます。
刑法における、死体遺棄罪や死体損壊罪にあたる可能性があるのです。過去には日本でも野葬という考え方があり、動物に遺体を食べさせて埋葬する方法も行われていたようですが、現在は取り決められた法律により、自らの判断で埋葬は行えないようになっているのです。
自然葬という選択
鳥葬が不可能な日本ではありますが、近年注目が集まっている自然葬という選択肢があります。それが樹木葬と呼ばれる方法で、墓石の代わりに樹木を墓標として埋葬する方法です。お墓がないため、継承する心配もなく経済的な負担も軽く済むという点で注目を集めている方式になるのです。
しかし、自然葬とは言いますが、火葬で遺体を焼く手順は共通している部分です。遺体の埋葬先が樹木となるだけで、その前に火葬を行い遺体を埋める手順になりますので、違いは墓石があるかないかという点だけです。
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世界にある葬儀方法
日本での一般的な埋葬方法は把握できましたが、海外に再び目を向けると日本では言葉も聴いたことのないような埋葬方法があります。しっかりと神聖な意味が込められており儀式として扱われていながらもユニークな物が沢山あるので、それぞれの方式と特徴について焦点を当てて紹介しましょう。
火葬
一般的な火葬で、日本でも取り入れられている方法です。遺体焼却の可能な施設を使用して、肉を焼いて骨のみにして葬る手順を取るようになります。火葬後は一般的に墓石あるいは地中に埋めるかをして、お墓に埋葬する形式になります。最もなじみ深い方法でしょう。
土葬
二つ目のこちらも日本でも認可されている葬儀方法になります。遺体を焼却することなく土に埋め入れる方式を土葬と称します。しかし、実際のところは、土葬といっても一度火葬して土中に埋めることは知っている人も多いでしょう。色々と細かなルールはありますが、日本で定められた埋葬方法にあたるきちんと認められたものになります。
水葬
日本では馴染みのない埋葬方法になりますが、水葬があります。これは遺体を川へ流す埋葬方法で、インドやチベットなど一部の国で行われている埋葬方法にあたります。日本では、船行中で亡くなった場合という特定の条件下であれば許可の下りる埋葬方法になります。とはいえ、水葬に関する規定はこれよりももっと沢山ありますのでこれらの規定を守って初めてできる方法になります。
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洞窟葬
洞窟葬とは、遺体を洞窟に安置しおこなう埋葬方法のことです。細かいルールが地域によって異なっており、一部の地域では敵対する村に面するように遺体を杏資するといった決まりがったり、集落から離れた海岸ゾウの洞窟に遺体を置いたりといった決まりがあったりします。
日本でも古い歴史の中で洞窟葬が行われていた時代もあったようですが、洞窟住まいを行っていた時代で、当時の洞窟葬では死者をその洞窟に葬り、そこに住んでいた住人は他の洞窟に移住するといったルールがあったりもしたようです。
風葬
珍しい埋葬方法の中には、風葬と呼ばれるものもあります。想像がつく人もいるかもしれませんが、その名の通り遺体を放置し風化により自然に還る方法をさしていいます。埋葬する場所や火葬施設がないところでもおこなうことができるので広まったと考えられています。
現在は、オーストラリアや北アメリカの一部の地域などで行われており、引き継がれているところも多いようですが、火葬施設など増えたことでこちらも減少傾向にあるようです。
獣葬
最後に獣葬です。これは最も鳥葬に近い埋葬方法になりますが、ハイエナなどの動物に遺体を食べてもらって自然に還す方式になります。マサイ族などの一部の地域に伝わる伝統的な儀式のようで、鳥葬と同様の観念から用いられている埋葬方法です。
自然に帰り天に帰る「鳥葬」
一般的埋葬と聞くと想像もつかない鳥葬ですが、今回の情報をもとに考えると神聖な儀式で、今後ほかの命の役に立つという意味で崇高な儀式だと感じる人も多いでしょう。自分の体が自然の一部に還り、今後どこかの生命のために貢献できるという考え方はとても尊く、これからの生き方をも考えさせてくれるのではないでしょうか。
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