フィールドスコープとはどんなアイテム?
一見すると望遠鏡のような形をしているこのアイテム。地上望遠鏡とかスポッティングスコープとも呼ばれてたりしていますがいったいどんなアイテムなのでしょうか?その特徴について見てきましょう。
フィールドスコープは自然観察用の望遠鏡
このアイテムはいわゆる望遠鏡の種類の一つになります。地上望遠鏡と呼ばれたりしているように、観る対象物は主に遠くにある地上のもので自然観察などによく使われています。接眼レンズを組み合わて三脚に固定して使用するのが基本です。
バードウォッチングから天体観測まで多用途に!
高い倍率で遠くのものをしっかりと観察することができるので、自然観察の中ではバードウォッチングなどによく使用されます。それ以外にも明るいレンズを使用しているモデルなどでは天体観測に使われることもあります。
フィールドスコープと双眼鏡や天体望遠鏡との違いは?
遠くにあるものを拡大して観察できるアイテムとしては双眼鏡や天体望遠鏡などがよく知られています。ではそれらとこのアイテムとは何が違うのでしょうか?2つのアイテムとの違いや向いている用途について解説します。
双眼鏡との違い
外観上での大きな違いは両目で観察する双眼鏡に対し、片方の目だけで見る単眼であるところです。そのため対象のものを立体的に見ることはできませんが、焦点距離が長く倍率が高いので三脚に固定してより遠くにあるものを観察するような使い方に向いています。
天体望遠鏡との違い
どちらも単眼で見た目は同じような感じですが、星を見る性能に特化した天体望遠鏡に比べると、対物レンズの口径が小さいなど暗い星空を見る時の明るさや分解能という点では敵いません。しかしその分本体のサイズが小さいので持ち運びやすさは上になり、より気軽に天体観測を楽しむことができます。
フィールドスコープの2つの種類
望遠鏡の一種ではあるものの、双眼鏡や天体望遠鏡とは違った特徴があることはご理解いただけたと思います。ただこのアイテムも接眼部の形状の違いからさらに2つのタイプに分類することができるため、それぞれの特徴について解説したいと思います。
接眼部の形状①直視型
名前の通り直接対象物を見れるように直線的な形をしています。対象物側の対物レンズと覗く側の接眼レンズが一直線または平行になっているため、自然な感覚で見たいものに方向を合わせやすいのが特徴です。地上のものを自然な姿勢で見ることができますが、高い位置にあるものを見ようとすると無理な姿勢になり三脚の調整などが必要になります。
接眼部の形状②傾斜型
接眼レンズの取り付け部分に角度が付いており上方向に傾斜した形をしています。そのため高い木の上に止まっている鳥や星空など高い位置にあるものを、三脚の調整なしに楽な姿勢で見れるのが特徴です。ただし覗き込む方向と対象物の方向が異なるため対象物を捉えるのには慣れが必要になります。
知っていると便利なフィールドスコープのスペックの意味
アイテムの種類やそれぞれの特徴についてご理解いただけたところで、いくつかのスペックの意味について解説したいと思います。実際にフィールドスコープを選ぶ際には非常に重要になってきますのでぜひ覚えておいてください。またこれらのスペックは双眼鏡を選ぶ時も同じように使うことができます。
そもそも倍率とは?
10倍とか20倍といったように表し対象の物をどのくらい大きく見れるかその割合のことをいいます。この数字が大きくなるほど対象物を大きく見ることができます。ただし数字が大きければいいというものではなく、それに伴って見ることのできる範囲いわゆる視野は狭くなっていきます。
対物レンズ有効径とは?
見たい対象物側にあるレンズの内径のことをいいます。この径が大きいものほど取り込める光の量が増え解像度も上がるため、より明るく細部まではっきりと見ることができるようになります。ただしレンズの径が大きくなると本体も大きくまた重くなるので持ち運びには不利になります。
1000m視野(視界)とは?
望遠鏡を動かさないで見た時に1000m先の景色の見える範囲をメートルで表したものです。この数字が大きくなるほど見える範囲が広くなります。主に海外のメーカーの商品によく見られる表記方法です。
フィールドスコープの選び方
主なスペックの示す意味が分かったところで具体的な選び方の説明に入りたいと思います。選ぶ際のポイントは大きく3つあります。「倍率」と「アイレリーフ」そして「防水機能」になりますが詳細は下で解説いたします。
多用途に使うなら倍率がズームできるものが便利
倍率は高いほどいいというものではないということは前の章でご説明した通りですが、使いやすい倍率は用途によって異なります。いろいろな用途で使いたいのであれば、ズームができるタイプの接眼レンズを使用するといった選択肢もあります。
自然観察・バードウォッチングに適した倍率
視野が狭いモデルだと動き回る鳥を追うのが難しくなるため、あまり高倍率でない20〜40倍くらいのものがいいでしょう。同じ理由で接眼部の形状は直視型にした方が対象に合わせやすいのでおすすめです。
天体観測に適した倍率
この場合10〜30倍くらいのものを目安に選ぶことをおすすめします。あまり倍率の高いものは視野が狭くなると同時に見れる像も暗くなるので天体観測には向きません。対物レンズも大きな口径のものを選んだ方が明るく見れるので有利です。もし星空を観察するのがメインなのであれば天体望遠鏡を選択するのがいいでしょう。
メガネ使用者はアイレリーフの長いものを
覗いた時に全ての視野を見ることのできる、接眼レンズから目までの距離をアイレリーフといいます。この距離が長いほど多少目を離しても対象がハッキリ見えるため目への負担は軽くなります。特にメガネを使用している方はこの距離の長いものを選ぶと見やすくていいでしょう。
環境の変化に左右されない防水機能もチェック
屋外で使用するものなので防水機能もしっかり確認しましょう。本体は精密機器でもあるため気密性が悪いと突然の雨などで内部に水気が入り込み、故障やレンズの曇りの原因になりますし最悪カビが生えてしまう可能性もあります。内部に窒素ガスを充填したモデルだとレンズの曇りを防いでくれるので安心です。
フィールドスコープの人気ブランド&アイテム3選
アイテムを選ぶ際のポイントについて分かったところで、フィールドスコープの人気ブランドとその代表的な商品をご紹介したいと思います。特に初心者の方などにはとりあえずはここを選んでおけば間違いない、というメーカーとその商品ですのでぜひ参考にしてください。
ニコン|FSED50ACG
入門機にも最適
ニコンは日本の大手光学機器メーカーです。カメラや顕微鏡などに加え天文台向けの大型望遠鏡を受注生産しているなど、光学機器においては信頼のブランドです。このモデルは基本性能がしっかりしているので入門機としても最適で安心して購入できます。
接眼レンズは別売になっているため別途購入する必要があるので注意が必要です。しかしながら自然観察では対象物は明るくハッキリ見え、天体観測も月のように明るめの対象であれば十分使用することが可能なモデルです。
スペック
- 本体サイズ:71x207x98mm
- 本体重量:455g
- 倍率:(接眼レンズ別売り)
- 対物レンズ有効径:50mm
- 接眼部形状:傾斜型
- その他:防水、窒素ガス充填、EDガラス
コーワ|スポッティングスコープ TSN-501
ズームレンズで多用途に使える
コーワ(興和光学)は愛知県名古屋市に本社のある光学機器や医療機器の専門メーカーです。グループ会社では医療品の製造販売も行っており「コルゲンコーワ・キャベジンコーワ」などで有名な老舗企業になります。
このモデルは20〜40倍の接眼レンズが付いておりいろいろな用途に使えるため、入門者が最初の1台として購入するのにも最適です。アイレリーフが14mmと若干短いのでメガネを使用していない方に向いています。
スペック
- 本体サイズ:72x239x125mm
- 本体重量:400g
- 倍率:20〜40倍ズーム式
- 対物レンズ有効径:50mm
- 接眼部形状:傾斜型(45度)
- その他:完全防水
ビクセン|アロマ52-A(SG)
買ってすぐに使える
ビクセンは埼玉県に本社があり天体望遠鏡や双眼鏡・顕微鏡など製造販売する光学機器の専門メーカーです。今から50年以上も前から天体望遠鏡の製造販売を手がけるなど望遠鏡では信頼のブランドです。
このモデルは25倍の接眼レンズが付いているので、購入してすぐにフィールドに出て自然観察を楽しむことができます。本体にはレンズポケットが付いており別の接眼レンズを入れておけるので素早く交換することが可能です。
スペック
- 本体サイズ:72x102x177〜217mm
- 本体重量:460g
- 倍率:25倍
- 対物レンズ有効径:52mm
- 接眼部形状:傾斜型
- その他:ハンドフォールディングケース付属
フィールドスコープ10選①自然観察・バードウォッチングにおすすめ5選
人気の3ブランドとその定番モデルをご紹介しましたが、ここからはバードウォッチングなどに使用するのに最適なモデル5点を厳選してご紹介したいと思います。屋外での自然観察を思いっきり楽しみたい方はぜひ参考にしてください。
コーワ TSN-664M PROMINAR
幅広いユーザーに対応
66mmの大きなレンズを使っているためとても明るく鮮明に見られます。本体の大きさは1リットルの牛乳パックくらいなのでリュックに入れての持ち運びも簡単です。本格的な自然観察をしたいベテランユーザの基本装備としても、またバードウォッチング入門者にもおすすめの1台です。
スペック
- 本体サイズ:全長312mm
- 本体重量:1020g
- 倍率:接眼レンズ別売
- 対物レンズ有効径:66mm
- 接眼部形状:直視型
- その他:完全防水、窒素ガス充填
ビクセン ジオマⅡED 52-Sセット
軽量で持ち歩きに便利
とても軽く付属のケースをつけるとベルトに吊り下げることも可能なため、山道を歩きながら野鳥観察をするのに便利です。価格も手頃で接眼レンズも付いており買ってすぐに使用することができるので初心者にもおすすめです。
スペック
- 本体サイズ:102x72x177-217mm
- 本体重量:486g
- 倍率:14倍
- 対物レンズ有効径:52mm
- アイレリーフ:18mm
- 接眼部形状:直視型
- 1000m先視界:58m
- その他:EDレンズ
コーワ TSN-774 PROMINAR
ベテランユーザーも納得の性能
77mmの大きなレンズにもかかわらず、マグネシウム合金製の本体はノートパソコン程度の重さに抑えられています。解像度は素晴らしくフォーカスもデュアル方式のため野鳥観察には最適です。価格は10万円を超えてきますがベテランユーザーも満足させるモデルになっています。
スペック
- 本体サイズ:全長304mm
- 本体重量:1330g
- 倍率:接眼レンズ別売
- 対物レンズ有効径:77mm
- 接眼部形状:直視型
- その他:完全防水、窒素ガス充填
ニコン FSED50CG
入門者におすすめ
本体は小さく455gととても軽いため持ち運びがしやすいモデルです。直視型で初心者にも扱いやすくなっている上、購入しやすい価格なのでバードウォッチング入門者が最初の1台として選ぶのにも最適です。
スペック
- 本体サイズ:209x94x71mm
- 本体重量:455g
- 倍率:別売
- 対物レンズ有効径:50mm
- 接眼部形状:直視型
- その他:防水、窒素ガス充填
SVBONY SV17
コスパの高いモデル
70mmの対物レンズと25〜75倍のズーム式接眼レンズがついて、価格が1万円を大きく切るという驚きの高コスパモデルです。大きなサイズのレンズなので月のクレーターの観察も可能です。このままですぐに持ち出して使用できるため初めての方が試しに購入するのもありでしょう。
スペック
- 本体サイズ:378x100x93mm
- 本体重量:約1044g
- 倍率:25〜75倍
- 対物レンズ有効径:70mm
- アイレリーフ:16〜14mm
- 接眼部形状:直視型
- その他:防水