水中最速の魚「バショウカジキ」!
海には様々な生物が生息しており、泳ぎながら餌を捕食する魚も多いため泳ぐスピードがとても重要になります。カツオなどは時速約70kmで泳ぐと言われていますが、特にカジキ類の魚はとても速く泳ぐことで有名です。なかでもバショウカジキは水中最速と言われるほどです。ここからは、そんな魚の泳ぎについて説明していきます。
バショウカジキは水中最速時速110㎞!
水中最高時速は110km。どうやって速度を測ったかというと、針にかかったカジキが約3秒で100ヤードのラインを出したことから計算されています。時速110kmはどれくらいの速度なのか、例えば高速道路を走っている車やチーターの走る最高速度も時速約110kmといわれています。
バショウカジキはハンター
食性は肉食性でカツオ、イワシ、アジなどの魚やイカ類を食べます。単独で狩りを行うときもあれば、群れで行動する場合もあります。自慢のスピードで魚を追いかけながら、長い吻を魚にぶつけ、弱ったところをすぐに捕食する狩の仕方が知られています。
バショウカジキのブレーキの仕方
素早く動き狩りをする魚ですが、止まるときはどうやってブレーキをかけているのでしょうか?実は特徴的な背ビレを大きく拡げてブレーキをかけています。魚の捕食方法もブレーキを使うことも知られており、素早い泳ぎで魚の群れに近づき、追いついたところで背ビレを拡げて急ブレーキをかけます。魚がびっくりしたところを吻で叩き捕食します。
バショウカジキの泳ぎを動画で見てみよう!
驚くべき速さと遊泳力で水中を自由自在に泳ぐ魚であることをこれまで説明しました。では実際にどのように泳いでいるのかを分かりやすい動画で詳しく紹介していきたいと思います。ぜひ一度ご覧ください。
バショウカジキとはどんな魚?
驚異のスピードで泳ぐことができる魚ですが、どんな魚でどんな場所に生息しているのでしょうか。ここからは生態や生息場所、漢字由来や英語ではどう呼ぶのかなどの基本的情報を説明していきたいと思います。
バショウカジキの生態・特徴
カジキの仲間であるため外海を回遊する回遊魚です。ただその中でも最も沿岸近くに近づく魚のと知られています。立派な背ビレは普段は折りたたまれて目立たないが、獲物を追う時や水面上を泳ぐ時に水面から出して泳ぐことがあります。体の大きさは約3mとカジキ類の中では比較的小さな種類となります。
バショウカジキの生息域
世界の熱帯・亜熱帯海域に広く生息しており、日本では東北地方から南の海域に生息していることが確認されています。非常に稀ですが北海道南部でも発見されることがあります。主に外洋の表層近くを泳いでいる魚です。
バショウカジキの英語名
英語では「 sailfish」といい、「sail」は日本語で帆という意味です。海面から出ている背ビレが船の帆のように見えるためそう呼ばれています。ちなみに漢字では「芭蕉梶木」と書き、これも同じく大きな背ビレが芭蕉の葉に見えることが由来です。日本の地方ではアキタロウ(鹿児島)、ハウオ(長崎)などと呼ばれているようです。
バショウカジキの幼魚はまるでミニチュア
魚は成長するにつれて姿形が変わっていくものがほとんどですが、この魚は幼魚の頃から成魚の姿をしており、特徴的な背ビレや長い吻も小さい頃からあります。幼魚を見たことがある人からはキーホルダー、ルアー、フィギュアみたいだとの声も挙がっています。
バショウカジキはなぜ速い?
水中最速の魚と言われていますが、他の魚となにが違い、なぜそんなに速く泳げるのでしょうか。それは体の形や体の構造に、ある特徴があるからだと言われています。ここでは、なぜ速く泳げるのかを解説していきたいと思います。
バショウカジキの体には線がある
体が紡錘形をしており水の抵抗を受けにくく、より速く泳ぐことが可能な体になっています。また吻の付け根に線があり、この線から油が頭部全体を覆い撥水加工されることで、速く泳ぐことができているようです。
バショウカジキの筋肉には「奇網」が
「奇網」という熱交換器官を筋肉に備えていて、周りの海水よりも体温を高く保つことができます。魚は人間などとは違い、変温動物なので水温が低いと体温も低くなり、筋肉の動きが鈍くなります。しかしバショウカジキには奇網があるので体温を高く保ち、体を速く動かし続けられる構造になっています。
バショウカジキは釣りで人気のターゲット
釣りで人気の魚ということは言うまでもなく、強い引きだけでなくハリにかかると水中に潜ったと思えば跳ねたり、テールウォークをしたりと華やかな釣りが楽しめます。ここからはバショウカジキの釣りに関する基本的なことを説明していきたいと思います。同じく釣りで人気のあるマグロの記事もありますので参考にされて下さい。
バショウカジキはトローリングで
釣り方はトローリングという方法でつることができ、なかでも人気となる魚です。トローリングとは釣竿にルアーなどの漁具をつけ、船やクルーザーを走らせながらルアーを泳がし釣る方法です。日本だけでなく、台湾やフィリピン、マレーシアなどでも釣ることが可能です。
バショウカジキはルアーで狙える
船を走らせながら行うトローリングでは、実際の餌ではなくルアーで魚を狙っていきます。ではどのようなルアーをつかえばいいのでしょうか?基本は15cm程度ポッパーやペンシルを使い、船で引っ張りながら魚が食いつくのを待ちます。ルアーの色は青銀系や白銀系が基本カラーとなります。
バショウカジキが接岸する時がチャンス
大きな魚ですので岸から遠い沖合に生息していると思いがちですが、黒潮が接岸する夏頃には岸近くまで接岸し、磯からでも狙うことが可能となります。最初は沖縄から接岸し、九州、四国と徐々に北上していきます。船がなくてもカジキを狙うことができますので、夏になったら釣果情報を調べて、ぜひ釣りに行かれてみてはいかがでしょうか!
バショウカジキは夢のターゲット
ハリにフックすると引きがとても強く、様々な動きで私たちを楽しませてくれる魚です。数ある魚の中でもこれほど華やかな釣りを楽しませてくれる魚はそうはいません。釣り人にとってバショウカジキは夢の魚です。ぜひ機会があれば一度釣りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか!
バショウカジキは危険?
釣りで人気がある魚ですが、釣りに行く時には注意も必要です。実際に釣り人や漁師がカジキの長い吻に足などを刺されるケースもあるようです。釣りの最中や船に引き上げる際には充分に注意しながら、釣りを楽しみましょう。
バショウカジキは長期飼育が難しい
外洋の広い海に生息し、高速で泳いでいる魚なので捕獲するのも困難で、輸送も難しく、生きた状態で水槽に入れることも難しい魚です。水槽に入れることができたとしてもガラスにぶつかってしまったりと、飼育が非常に難しいです。
アクアマリンふくしまの挑戦
アクアマリンふくしまは福島県いわき市にある東北地方最大級の水族館です。ここでは飼育が難しいと言われているバショウカジキを2009年9月14日に世界で初めて展示しました。ただ、やはり長期間飼育することは難しく、長い間展示はされていないようです。
葛西臨海水族園の挑戦
東京都が運営する水族館で、東京都江戸川区にあります。この水族館はバショウカジキを飼育するため、2017年に鹿児島まで捕獲に向かいました。3匹を捕獲しましたが、1匹は吻が折れて死んでしまい、残り2匹も港に着く前に死んでしまいました。それほど輸送や飼育が難しいと魚です。