ポイント・注意点
活き締め・血抜き・神経締めという工程の場合、即殺してから時間が経過しているため、神経にワイヤーなどを通しても魚が痙攣を起こさず、違う場所にワイヤーを刺してしまうことがあります。そっと探りながらワイヤーを入れていきましょう。また、活き締めと同様に魚が暴れるので注意が必要です。
ワイヤーの太さ
神経締めをするために使用する、ワイヤーの太さにも注意が必要です。細すぎるワイヤーを使用すると不十分な神経抜きしかできず、逆に太すぎるワイヤーを使用すると神経へ入っていきません。魚に合わせてワイヤーの太さも使い分けることが大切です。
Contents
保冷方法
水気と空気を遮断
保冷の際は水気が少なく空気を遮断することが大切です。魚を新聞紙などに包み水気を切ると魚の旨みが水に溶け出てしまったり、身が水っぽくなるのを防げます。また、ラップなどのビニール素材で包み空気を遮断すると、魚の体色を綺麗に保つことができます。
7〜10度が適温
締めた後の魚は時間の経過とともに旨み成分が出てきますが、冷やしすぎるとうまく熟成されません。7〜10度が適温で、冷やし過ぎには注意です。冷えすぎると魚の眼が白く濁ります。温度管理は魚の眼の色に注目しておきましょう。そして、死後硬直が始まってからはきちんと冷やします。
ポイント・注意点
クーラーボックスに氷を敷き詰めて、その上に魚を入れるだけという持ち帰り方は要注意です。冷気は上に行くことはありませんので、必ず上からも氷を入れるか、砕いた氷に魚を埋めるように入れるのがよいです。
番外編
氷締め
これはとても簡単な締め方で、おもに20㎝以下の小型の魚に適しています。クーラーボックスなどに板氷と海水を入れ、そこに魚を入れます。氷でキンキンに冷えた海水に魚を入れることで締める方法です。
サバ折り
サバは、“サバの生き腐れ”と言われるほど、とても痛みやすく腐敗が進みやすい魚です。そのため釣り上げてすぐにサバの首を折って引きちぎり、さらに血を抜くことで鮮度を保ちます。サバのエラの両面から指を入れ、一気に首をへし折るのがポイントです。
イカの締め方
イカは、ピックなどで眉間のあたりを胴体に向かって突き刺します。この時、ピックを45度ほど傾け刺します。すると胴体部分が一瞬にして白く変色します。次に同じ箇所を、今度は頭・足側に向かって突き刺します。胴体同様に白く変色するときちんと締められた合図です。
タコの締め方
タコの締め方は2つあり、1つ目はイカと同様に眉間のあたりをピックで刺す締め方です。2つ目は、胴体をめくり胴と足を繋ぐ筋を切り、裏返し内臓を取り出す方法です。この時、墨袋が破れないように注意しましょう。イカ同様にタコも体色が白く変化すると、きちんと締められています。
釣った魚を美味しく食す
熟成と旨み
魚は、締める(死ぬ)→死後硬直→緩解(死後硬直が解ける)→熟成→腐敗と変化していきます。血抜きをしてすぐは食感がよいですが、旨みはまだ多く出て来ていません。熟成のタイミングでイノシン酸(IMP)という旨み成分が作られ、身も柔らかくなります。食感のよさと旨みのどちらを優先させるかは、それぞれの好みや食べ方によります。
熟成度の見定めよう
魚の旨みの山は、適切に処理・熟成が行われていれば、締めてから2・3日〜長ければ1週間ほど持続します。魚の身をよく観察し熟成の度合いを確かめましょう。
例えば白身魚の場合、未熟成では身は透き通り、透明感があります。熟成が進むにつれ、透明感は残しつつ黄色がかり、熟成のピーク時にはアメ色がかります。熟成が進みすぎると色が濁り透明感もなくなってしまいます。その後、腐敗していくのでよく身の色を見ることが大切です。
まとめ
魚により締め方を使い分け、美味しく食しましょう。
魚の鮮度保ち美味しく食すには、とにかく早めに“締める”ということが大切です。ご紹介したとおり方法はさまざまあり、おもに魚の種類・大きさを見極め、使い分けることをおすすめします。
さまざまな締め方一覧 | |||||
締め方 | 氷締め | 活き締め | 神経締め | さば折り | (血抜き) |
適した魚 | 小型の魚 | 中型の魚 | 大型の魚 | サバなどの青物 | 全ての魚 |
主に使うもの | 氷 | 刃物 | ワイヤー | なし | 刃物 |
中には少しグロいと感じるものもあるかもしれませんが、躊躇しているとそれだけ魚にストレスがかかり、美味しく食すことができません。魚の命を頂いているからこそ、釣り上げた後は適切な処理を施し、魚への感謝を忘れず美味しく頂きましょう。