世界最大級のイリエワニってどんなワニ?
まず最初に、イリエワニの生態と主な生息地を確認してみましょう。世界最大級と言われるイリエワニですが、一体どれほどの大きさなのでしょうか?また、私たちの身近にも存在しているのでしょうか?
イリエワニの生態
ワニは恐ろしい生き物であると想像するに難くはないですが、中でもイリエワニをご存知でしょうか。イリエワニは体長が平均4メートル前後、体重は400キロから500キロと大変大柄なクロコダイル科に属するワニです。イリエワニはその獰猛な性格で知られた存在であり、そのかみ砕く力はワニの中でも最大級です。
イリエワニの主な生息地
イリエワニの主な生息地としては名前で想像が出来るように入江など河口に生息するほか、上流の河川や湖などの淡水にも生息します。具体的な地域でみると、ベトナムなどのアジア、ニューギニア島やオーストラリア北部などの赤道付近のオセアニア地域、に主に生息します。日本では、奄美大島や西表島などでも発見事例の報告があります。
イリエワニの驚くべき身体能力のすべて
ここでは、イリエワニの驚くべき身体能力の高さを見ていきます。前項で大まかな身体的な大きさは分かりましたが、もう少し具体的な身体能力を知ると、その獰猛と言われる理由も分かるでしょう。
噛む力はおよそ1.7トン!
1.7トンの噛む力を想像するのは難しいですが、ライオンが450キログラム、成人男性が90キログラムですので、相対的にみてどれだけの大きな力であるかが分かります。噛む力に加えて、大きな口の中には鋭利な歯が獲物をしっかりかみ砕くために備わっており、口を大きく開けたその姿を見ただけで、生きた心地はしません。
水中から体が飛び出すほどのジャンプ力
ワニはゆっくりと動いているイメージを持ちやすいですが、実は物凄く俊敏な動きを見せます。水中では、その大きなしっぽをエンジン代わりに使用して、水中から大きくジャンプすることが可能なのです。そのジャンプ力は、後ろ足が水の中から飛び出してしまうほどです。
川だけでなく海も泳ぐ
基本的に河口域や湖などの淡水域に生息するイリエワニですが、驚くことに、その生息域は川だけではありません。塩分に強いことから、アジアなどの元々の生息域から海を渡り、様々な地域にその生息域を拡大させてきているのです。ただし、生息域を拡大させたイリエワニですが、乱獲が原因で個体数が激減した時期がありました。
イリエワニには天敵がいない?
これだけ身体能力の高いイリエワニなので、果たしてこのイリエワニに対抗できる生物が存在するのかどうかが大変不思議です。ここでは、イリエワニがどのような動物を捕食するのかを見ていきます。
サメさえも捕食する
ワニもサメも食物連鎖のピラミッドのかなり頂点にいる生き物であることには疑いがありません。しかし、ワニはサメさえも捕食してしまうと言われています。ワニは主に淡水域に生息し、サメは主に海水域に生息します。これだけ聞けば、両者はうまく住み分けが出来ていると言えますが、実はワニもサメも両方を行き来することが可能なのです。
他のワニを捕食してしまう
サメもさえも捕食してしまうワニですが、なんと共食いも観測されています。その旺盛な食欲にはただ驚くばかりですが、ワニは自分の口に収まるような獲物については、どんなものでも口に入れてしまう性向があると言われており、それが異種の生物だけではなく、自分と同類のワニでも対象外とはならないのです。
イリエワニによる人食い事件も起こっている
イリエワニに人間が襲われる事例はたくさん報告されていることはご存知でしょうか。実は、私たちが目にするようなニュースになるような事件以外にも、人間が襲われる事件はたくさん発生しています。
イリエワニが人を襲う事件
イリエワニが人を襲う事例は枚挙に暇はありません。日本人が遭遇した被害では、太平洋戦争時にラムリー島で数百人の日本兵がイリエワニの餌食になった事件があったと言われています。近年の事例では、オーストラリアのカカドゥ国立公園で泳いでいた12歳の少年が襲われたほか、川を渡ろうとしていた男性が犠牲になる事件が発生しています。
実は頻繁に人間を襲っている
イリエワニのようなワニが人間を襲うニュースは私たちが目にする頻度以上に、実は頻繁に発生してます。人間を襲う動物をランキングにしたデータによると、サメは14位にランキングされていますが、ワニは何と10位に位置しています。これは蚊などの虫や人間も対象に含むランキングなので、ワニは人間にとって天敵とも言える存在なのです。
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ギネスブックに認定された人食いイリエワニ”ロロン”
高い身体能力を持つイリエワニなので、ありとあらゆる世界ナンバーワンの記録を集めるギネスブックにも、その名前は登場します。一体、どのような記録がギネスブックに収められているのでしょうか。
恐ろしい人食いワニとして一躍有名に
現在までのところでは、世界最大のイリエワニはフィリピンで2012年に捕獲された”ロロン”です。体長が約6.2メートル、体重が1075キログラムと大きく、ギネスブックによる認定では世界最大のワニです。ロロンという名前ですが、同名のワニ取り名人の名前を用いて命名されました。フィリピンでは一時期は大変な人気を集めました。
イリエワニの祖先とは
現在の地球上では、このイリエワニに対抗できそうな生物をなかなか想像することは難しいですが、一体、現在のイリエワニはどのような歴史を経て、現在の姿となったのでしょうか。ここでは、そのイリエワニの祖先を見ていきます。
2億4000万年前にワニの祖先のクルロタルシ類が誕生
ワニの祖先は2億4000万年前に誕生したとされるクルロタルシ類です。恐竜が地上を席捲していた時期と重なりますが、恐竜が隆盛を極める前にはクルロタルシ類が恐竜よりも地上を支配していました。ただし、何らかの理由で恐竜に地上の支配権を譲り渡したあとは、恐竜の陰に隠れて生き延びました。
2億年前には湿地帯や淡水地帯に生息
6500万年前くらいには、小惑星の衝突により恐竜が地上から絶滅する事態になりますが、この時期もワニは生き延びます。恐竜から身を守るため、2億年前くらいから湿地帯や淡水地帯に生活圏を移し、体質を変温動物に変えることで、恐竜などの強敵や地球を襲った天変地異などから、その身を守ることに成功したのです。
大量絶滅の時代を何度も乗り越え今の姿に
このようにワニは様々な大量絶滅の危機を乗り越えて、今見られているような姿となって、現在までその種を生存させました。しかし、恐竜がいなくなった後にワニの前に立ちはだかったのは人間でした。様々な姿となったワニの祖先も、現在の姿のワニ以外は、その多くが絶滅してしまったのです。
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