せっかく塩に漬けたのに、どうして塩を出してしまうのか、それは浸透圧が影響しているためです。塩漬けで浸透した塩は中心と外側で塩分濃度が違っています。そこで塩抜きをすることで塩分が真子全体にバランスよく行き渡り、味が整うだけでなく防腐効果を高めることもできます。
塩出しの手順
塩出しは真水ではなく薄めた塩水で行います。被るぐらいの薄い塩水を入れて2~3時間おきに1回くらいの目安で塩水を取り替えてください。塩出しの工程は1日です。だんだん塩が抜けて柔らかくなっていき芯がなくなったら塩出しの完了です。
からすみの作り方④酒漬け
からすみの塩出しの仕上げと、独特の風味と香りをつける工程です。この工程は焼酎を使うことで有名ですが、お好みで酒の種類を変えてしまっても問題ありません。こだわりがなければ安い料理酒でも充分です。
酒漬けはお好みで
この工程は塩抜きとからすみに香りをつけるためにありますが、お酒が苦手な方や、素材そのままの味を楽しみたい場合はこの過程は飛ばしてもかまいません。その場合は塩出しの段階で塩抜きをしっかり行ってください。
お酒の選び方
漬けるお酒は焼酎か日本酒が主流です。防腐効果を強めたい方や香りを楽しみたい方は焼酎を、食べやすくクセのない風味にしたい場合は日本酒がおすすめです。他には、白ワインで漬けたり、日本酒と焼酎を2:1の割合で混ぜる作り方もあります。
酒漬けの手順
塩抜きを終えた真子の水気をしっかり拭き取って、トレイやタッパーに並べます。真子が被るぐらいのお酒を注ぎ入れ、キッチンペーパーを覆うようにかけて冷蔵庫で保存します。浸す日数は1週間ほどです。4日目あたりで一度裏表をひっくり返すと全体にお酒がよく染み込みます。
からすみの作り方⑤干し
いよいよ最後の工程です。ここで手を抜いてしまうとカビが生えたり、腐ってしまうので注意してください。確実に作りたい方は、脱水シートを用意したり、虫やカラスなどの動物除けネットに真子を入れ乾燥させるといいでしょう。
まずは脱水
初日から数日の間は水分をたくさん含んでいるので、網に上げて下にキッチンペーパーなどを敷いて水をよく切ります。重石を置いて脱水させると乾きが早くなりますが、形を崩したくない方は自然に乾燥させてください。
干しの手順
日中は風通しのいい場所に干し、夕方になったら冷蔵庫に入れて寝かせましょう。カビや防腐対策に3時間に1度、表面に焼酎を塗ってください。真子の付け根は乾きにくいのでカビに要注意です。水分と油分を拭き取って2~3週間干し、くすんだオレンジ色になったら完成です。
からすみの食べ方は色々!
からすみはそれ自体が珍味で高級食材なので、口にする機会は多くはありません。そのため、どんな風に食べたらいいか分からない方も多いのではないでしょうか。からすみのチーズとウニを混ぜたような独特の味は、お酒のお供にも、料理のちょっとしたアレンジにも役立ちます。
そのままお酒といただく
そのまま贅沢にお酒のおつまみとしていただきます。薄く切ってそのままお皿に並べましょう。合うお酒は一ノ蔵の特別純米酒辛口など、辛口の日本酒です。ワインだと海辺で作られた、潮気のある辛口の白ワインを選びましょう。サルデーニャのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノなどが最適です。
料理の仕上げにすりおろし
少し日にちが経って硬くなったからすみは、おろし金でのすりおろしに最適です。写真のようにオイル系やクリーム系のパスタの仕上げにかけると深みのある味わいになります。他には野菜のソテーに振りかけたり、お好きなソースやドレッシングに隠し味として加えてもいいでしょう。
添えてもOK
薄く小さく切ったからすみを添えると普段の食卓のおしゃれなアクセントになります。お肉のたたきや、薄切りの大根の上に添えると塩気と旨みが効いて美味しくいただけます。大人数でいただく時は、クラッカーの上にクリームチーズと乗せてオードブルにするのもおすすめの食べ方です。
からすみの簡単で美味しいレシピ
からすみは作る工程に手間がかかっている分、そのままいただいても充分美味しいので、風味をそのまま味わえるようなシンプルなレシピが最適です。晩酌のおつまみが物足りない時に、誰でもすぐに作れてしまう簡単レシピをご紹介していきたいと思います。
からすみのお茶漬け
ご飯に薄く切ったからすみと刻み海苔を乗せて、昆布茶の出汁をかけていただく豪華なお茶漬けです。お好みで小口切りのねぎ、あられ、わさびを添えてもいいでしょう。シンプルですが、晩酌の締めくくりにぴったりです。
贅沢からすみそば
少なめのざるそばの上におろしたからすみをそばが隠れるぐらいたっぷりかけていただきます。手間暇かけて作ったからすみの味わいを純粋に楽しめる食べ方です。からすみそばは敷居の高い小料理屋や料亭でしか食べられない贅沢な料理なので、ぜひ自家製からすみを活用して堪能してみてください。
からすみのペペロンチーノ
からすみはパスタとも相性抜群です。ペペロンチーノに入れると塩辛さが効いて絶品、クリームソースに入れるとさらに濃厚なパスタになります。粉チーズのように惜しまずどっさりかけてしまいましょう。具材がなくても充分美味しくいただけますが、イカやアサリ、野菜ならキャベツや菜の花がよく合います。
からすみの賞味期限は?
からすみの賞味期限は常温だと1週間程度になります。硬くならないようにビニールやラップに包んで保存しましょう。冷蔵庫で保存する場合は1ヶ月、冷凍庫では1年ほど日持ちします。食べずに置いていると白っぽい粉が出てきますが、からすみから蒸発した塩なので問題ありません。気になる場合は包丁でそぎ落としてください。
自家製からすみで晩酌を!
自家製のからすみは手間とお金をかけた分だけ美味しくいただけます。丁寧に工程を進めていけば、日持ちのする美味しいからすみが出来上がります。塩と漬け込むお酒はじっくり吟味して選びましょう。晩酌のお楽しみにも、料理の贅沢なトッピングにもぜひ活用してみてくださいね。
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