ベルメスの顔とは?
これは私たちが無意識のうちによく目にしているものに纏わる事件です。あなたの住んでいる建物にも、探してみれば一体いつからあるのかよくわからないような黄色や茶色のシミが見つかると思います。それ自体は怪奇現象ではなく、よくある話です。しかしそれが何度消しても同じ場所に現れるとしたら、おそらく誰もが変だと思うでしょう。
これは、そういいった類いの話です。実際に起こり今もなお原因不明のまま議論が続けられているこの事件について、まずはそのあらましをご説明していきます。
ベルメスの顔はスペインの田舎町に現れた消えない顔
2019年現在から49年前の、1971年8月の出来事でした。アンダルシア州ハエン県のとある山中の田舎町である朝、マリアという女性が台所の床におかしなシミが浮かび上がっているのをが発見しました。
それはぼんやりとしたものではなく、等身大の大きさをした男性の上半身であることがはっきりとわかるような形をしていました。それがあまりにも気持ちの悪いものだったため、マリアはすぐさま夫や息子を呼び、そのシミを見せました。
消しても消しても浮かび上がる顔
それはどうしてもただの汚れだと片付けられない存在感を放っていました。一家はすぐに問題があった部分の床を剥がして新しい床にはりかえました。しかし、しばらくすると同じ位置にそれは現れました。
何度床を剥がして新しいものに替えても無駄でした。しかも繰り返すごとに輪郭ははっきりとしていきました。
様々な方法で消すことを試みるも消えない顔
いくら床を剥がしても無駄であるとわかった為、今度は床を雑巾で擦ったり、タイルだけを剥がしてみたり、最後には床をセメントで埋めたりと様々な方法でシミを消そうと試みました。
しかし何をやっても顔は一家の努力を嘲笑うかのようにシミは何度も何度も浮き上がってきました。
ベルメスの顔は変化し続けた
最初の状態でも気味が悪かったにもかかわらず、浮かんでくるものの形状は毎回同じというわけではありませんでした。現われるたびに表情が変わったり、男性ではなく女性の顔になったり、顔は時には大きな顔の周りに複数の小さな顔が出現したりと変化を続けました。多い時にはその総数18個もの顔が同時に浮き出てきたこともあったといいます。
そして現れたかと思えば時にはすっかり消え失せることもありました。不可解な現象に振り回された一家の心情は察するにあまりあります。
ベルメスの顔は超常現象?幽霊の仕業?
ここからはさらに歴史を追いかけ、様々な可能性について考えてみましょう。この事件はとても不思議な話ですが、当時も様々な人達が悪戯なのではないかと疑い調査をしていました。
ベルメスの顔調査団が結成された
顔が現れてから1年ほど経った頃、事件を報道していたプエブロ新聞社は独自に調査機関をつくり、この謎について、科学的な視点から詳細な調査を開始しました。
地下から大量の人骨が発見された
調査のために家の地下を掘り返したところ、地下から大量の人骨が発見されました。
調査団がさらに古い文献などを調べると、なんと家のある位置が昔はお墓だったことがわかりました。発見された骨は損傷が激しく、一説には当時から約40年前のスペイン内戦で大量虐殺され埋められた人たちの骨だとも言われています。
ベルメスの顔は霊体によるもの説
当時その事件を調査した超心理学研究会からはシミは霊体という人の思念によるものだという説が主張されていました。
家の住人かその土地自体に強い感情を持つ何者か、またはスペイン内線で無残に殺された人たちの怨念によって出現した霊体が出現しなにかを伝えようとしているのかもしれません。
スペイン内戦の恐ろしい事実
この内戦では、カタルーニャ州の独立宣言が引き金となり、他国の介入や革命が各地で起こったことにより泥沼化し、1936年から内戦終結までの2年半もの間、国内では混沌の中でたくさんの人が理不尽に殺されました。
内戦の中ではなんと一晩のうちに1000人以上もの人たちが虐殺されたこともあります。激しい戦乱の中で蓄積された人々の強い恨みの感情がこのような形で現れたとしてもおかしくはないと思われるほどに、それは恐ろしい事実です。
混乱とともに広がり続けた悲劇
民族・経済・宗教・政治など様々な問題が複雑に絡み合い、国内は混沌の渦巻きそんな中で被害を受けるのはやはり武器を待たない一般の市民です。他国の介入もあり、農民ばかりが住むような町に爆弾が落とされ、無実の人が銃殺という無残な方法で処刑されました。
無差別に町を爆撃するような自体は、この戦いが世界で初めてだったといいます。
ベルメスの顔はデマ!?そのトリックは?
ここからは事件が人為的に引き起こされたものという視点で見ていきます。
起こったことのすべてを科学的に説明できるのか?誰かが人為的に仕組んだものなのか?当時調査された中で生まれた様々な説をご紹介します。
ベルメスの顔は硝酸銀で描いたという説
こちらは先ほど紹介した新聞社から発表された説です。硝酸銀とはデジタルカメラが主流である現代人には馴染みが薄いかと思いますが、昔のカメラで写真を撮る為に必要だった、カメラで捉えた像を写し込むためのフィルムの原料に使用されています。
光に当たることで黒く変化する性質を持っており、この性質を利用して日光の当たる位置に顔を描きシミを浮かび上がらせたという推理をしたようです。
ベルメスの顔は酢酸とススで描いたという説
こちらは当時の超心理学研究会が主張したもので、家の台所の床材の採取し成分を調査したところ、この成分が検出されたことがこの主張がされた理由です。可能性は確かにありますが、ススなどは台所から発見されても不自然ではないように考えられます。
コンクリートのシミ消し材によるもの
こちらも成分分析によって判明しました。ドイツ生産のものと同じ種類の成分がも検出されています。この発見により模様が消えるという現象は単に洗い落としてはまた描いてを繰り返していたからという疑惑が生まれました。
ベルメスの顔は徐々に有名になり観光客も来るほどに
1900年代は世界はオカルトブームの最中でヨーロッパでも様々な怪事件が確認されており、今回の事件も大々的に広まった為、多くの観光客が町へ訪れるようになりした。
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