元々は戦艦の消磁が目的だった実験は人名を奪うほどの大失敗に終わり、ステルス開発を目指すこの計画も終わりを迎えた様に見えました。しかし、この実験から超常現象を密かに研究するモントーク計画が発足しました。アメリカはこれを否定していましたが、多くの証言も残っています。
アメリカ政府はフィラデルフィア実験を全否定
戦艦が瞬間移動してしまったというフィラデルフィア実験はその話が公になるやセンセーショナルな話題となりましたが、アメリカ軍は必死に実験の存在を否定しました。もしその実験が本当だとしたら大変です。ものすごい技術を手に入れていることになりますし、死者も出ています。
これを認めれば技術的にも人道的にも収集がつかないほどのパニックになってしまいます。その隙をついて他国が干渉してくれば外交的な混乱も招いてしまいます。実験や瞬間移動の話は第二次世界大戦が終わってから世の中に出てきましたが、また大混乱をもたらす危険性をはらんでいたのです。
隠密に行われたモントーク計画
フィラデルフィア実験の存在そのものを否定する一方で、実はモントーク計画というものが進んでいました。モントーク計画とは偶然ながら発生した超常現象、”瞬間移動”を観測してしまったアメリカ軍が密かに進めた超常現象の実現を目指す計画です。
この計画の目的は電磁波によるマインドコントロール、思考の物質化、魂の移植、年齢遡行、テレポーテーション、タイムワープ等など多岐に渡ります。どれもオカルト的要素を含んでいますが、科学者ホイマンが引き続き責任者として実行しました。
タイムワープした男
このモントーク計画がなぜ知れ渡ったのか。それはこの実験でタイムワープしたことがあるという男が名乗り出たからです。その男の名前はアル・ビーレックとダンカン・キャメロンと言います。彼らはタイムワープを通して2173年と2749年にタイムワープしたと言います。
彼らの証言した内容では興味深いものが多々あります。2025年までに海岸線が変わり世界の地形は大変化を遂げている。アメリカの国家機能が失われインフラも崩壊している。ロシアと中国、アメリカとヨーロッパという2大勢力に分かれて衝突する第三次世界大戦が勃発している。などです。
また、各国政府は存在せず人工知能のコンピューターシステムが地球を運営し、社会主義になっていると証言しています。現代であればなんとなく想像も出来る未来ですが、彼らの証言は1960年代ですので、このような予想は困難になります。
Contents
科学とオカルトは紙一重
ニコラ・テスラは偉大な科学者ですが、晩年は霊界との交信などオカルト分野で研究を進めていました。これは彼が特別奇特な人間だったのではなくエジソンもまた、晩年は霊界の研究を進めていました。他にも、天国の証明をしようとした科学者、錬金術や聖書研究に没頭するニュートンなど多くの科学者がいます。
科学者の一生を見てみると晩年は目に見えないものに没頭する傾向があります。彼らは人類の誰も知らない・解らないから出発し、仮設を立て、それを証明するために実験器具を作って実証する、というのがライフワークですから一般人から見ればオカルト的なことでも彼らから見れば未知=研究対象なのです。
国家機密「フィラデルフィア実験」がなぜ漏洩したのか?
さて、話を戻しこのブロックではなぜ国家秘密だった消磁実験が漏洩してしまったのかを掘り下げていきます。本来であれば国家機密は漏洩しないように、厳重に周りを固めるはずです。しかし一通の手紙からこの情報が漏れてしまったのです。
「カルロス・マイケル・アレンデ」からの手紙
この実験の情報源をたどっていくとモーリス・ジェサップという天文学博士(兼小説家)のもとにカルロス・マイケル・アレンデと名乗る人物から手紙が届いた事が発端です。そこにはフィラデルフィアの実験についてもほぼ全てが暴露されていました。それを本として出版したのが初出です。
ジェサップ博士の謎の自殺
この実験の書物を出し、広く世に広めたジェサップ博士は自殺してしまいます。車のマフラーとホースを連結させ、密室にした車内に排気ガスを入れて一酸化炭素中毒死を起こしてしまいました。これは他殺であっても簡単に自殺に見せかけることが出来るため、多くの陰謀論者が殺されたのだと主張しました。
ムーアとフランクリン・リノ博士
フランクリン・リノ博士とはアレンデの告発の手紙に登場した人物で、アレンデの実の友人でもあります。リノ博士は今回の争点であるフィラデルフィアでの消磁実験に参加していました。そこで彼の大捜索が始まりましたが、一向に見つかりませんでした。
しかし一人だけ彼と会い、真実を聞いたと主張する人物がいます。それがウィリアム・ムーアです。ムーアによれば、フランクリン・リノとは偽名であって本名は絶対に明かせないというのです。リノ博士が見つからなかった理由がここで明白になりました。
ムーアはリノ博士と実の友人であったこと、また、消磁実験に参加していた科学者はその殆どが偽名も使いこなし手がかりは残さない人物たちばかりだ、と述べています。ムーアはその後書籍を出版しました。他にもアレンデと実際に合うなど消磁実験の情報公開に貢献しました。
アレンデは稀代の詐欺師か真実の告白者か?
また、手紙の差出人であるアレンデの周辺情報はコロコロと変わって矛盾が多いという調査があります。消磁(フィラデルフィア)実験の書物の中では、告発者であるアレンデは自身の手がかりを何も残さない謎の人物であり追跡や特定は困難とありました。しかも実際に差出人の住所を訪ねたが、全く手がかりがつかめなかったとさえ書いています。
しかし後の調査で判明したのですが、手紙の差出人の住所は実際に実在しており、そこにはアレンデの家族が住んでいました。そこでアレンデの弟に事の顛末を話すと、不思議そうに最近引っ越してきたわけでもなく、近所の人は自分の家を知っているので簡単にたどり着けたはずだ、と話しています。
フィラデルフィア実験はアレンデの告発の手紙から、それを書籍にしたことで漏洩しました。この書籍にするステップで作家がアレンデのことを脚色しているのが明らかになっています。よってこの書籍をどこまで信用して良いのか、という根本をゆるがす問題が発生してしまいました。
また、アレンデ自身も当時名の売れていたUFO研究団体に詳細情報を販売しようとしていました。そして別の人からインタビューを受けるのですが、話をごまかしたり、コロコロと発言内容を変えてしまっていました。その場にいた人がざわつけばやっと話に具体性を持たせるという感じでした。
しまいには、フィラデルフィア実験の事を否定してしまいます。その後数分で否定を否定。コロコロと変わる証言も彼の印象を悪くしてしまい、アレンデの信用は失墜しました。全てが嘘だったのでしょうか。世間を賑わせた実験とあって、しばらくして違う証言者も出てきます。それが次のブロックで取り上げるエドワード・ダッジョンです。
エルドリッチ乗組員「エドワード・ダッジョン」の告白
ここまで情報を整理してみて、単なる告発の手紙から書かれた初出の書籍を盲信してはいけないという状況まで説明しました。しかしながら、全てが嘘だったのかと言われればそうではないのです。実際にフィラデルフィア実験に参加したと証言する元海軍の乗組員が現れます。彼の名は「エドワード・ダッジョン」と言います。
彼は技術者であったため、話の具体性を検証するとすぐに信頼できる人物だということがわかりました。 瞬間移動があったとされる実験の告発では計器は全て故障したとあります。しかし軍の公式記録でも計器の故障などはなく実験のあった1943年の後も戦艦「エルドリッジ」は活躍しており、こういった事で彼の信憑性があがっていきます。
フィラデルフィア実験は「消磁実験」だった
ダッジョンによると、フィラデルフィア実験は消磁実験として実際に行われていたというのです。そこにはテレポーテーションは起こっておらず、人体の消失や自然発火などの怪奇現象も起きていいませんでした。この記事の話が二転三転しましたが、ここで「レインボープロジェクト」は実在した、という内容にに戻っきました。
少しだけまとめます。この実験の発端はレーダーに捕われないようにする研究「レインボープロジェクト」でした。その実験の一つで予想外の結果が起きてテレポーテーションが起きたというのがこの話の流れです。テレポーテーションや消失ではなくレーダーからの”見えない”だけがレインボープロジェクトの目的でした。
当時の話として、海軍の関係者の間では休憩時間さえあれば、この実験が成功すればレーダーや磁気機雷から見えなくなるという話題でもちきりでした。つまりレーダーや磁気機雷から認識できないという意味の”見えない”だったものに尾ひれが付き、話が広まって行ったのがこのテレポーテーションが起きたフィラデルフィア実験なのです。
ダッジョンの矛盾点
しかしダッジョンの話も100%信じられるものではありません。理由としてはダッジョンのいう実験の日付は1943年の6月または7月とのことだったのですが、戦艦「エルドリッジ」が進水式を行ったのは1943年の7月のことでした。つまり時系列が逆転しており、戦艦「エルドリッジ」はまだ工廠(海軍の工場)にあったはずです。
戦艦が完成しするまえにこの実験が行われたことになるので、あまりにも不自然です。また、海軍の公式記録によればフィラデルフィアの軍港に寄ったことは一度もなかったとなっています。この様にダッジョンの話も軍の公式記録と噛み合わない点が一部あり、謎が謎を呼んでいます。
彼の矛盾点を簡単に解決できる論法もあります。それはアメリカ軍が情報隠蔽、もしくは情報の機密性を上げるために現場にいた関係者にも一部嘘を伝えていたという事です。例えば戦艦はエルドリッジではなかった。または軍の公式記録でその後10年近く活躍したことになっているエルドリッジの方が替え玉で中身は別の戦艦だったなどなどです。
このようにすることで、現場にいた人間の証言が公式記録と違ってきます。また、立場が違うことで与えられていた情報も違っていたことも考えられます。かれらの証言が噛み合わず自然と信憑性が下がります。いともたやすく気密情報の信頼性を下げ、結果的に機密情報を守ることができます。次のブロックで情報かく乱について詳しく掘り下げます。
フィラデルフィア実験は情報かく乱作戦の一部!?
テレポーテーションを起こしたとされるフィラデルフィア実験について調べれば調べるほど情報が錯綜していきます。しかし意図的に情報かく乱されているとしたら、どうでしょうか。実際にそう主張する者もいます。意図的にかく乱して利益を得られるのは誰か、そういうことをする必要があったのはなぜかを深掘りしていきます。
隠密に実験が繰り返されたマンハッタン計画
レインボープロジェクトが秘密裏に進行していた1940年代は、その裏で同時にマンハッタン計画も進められていました。マンハッタン計画とは原子力爆弾の開発計画です。1939年に発足し、1945年に日本に原爆を落とし、1947年にアメリカ原子力委員会に引き継がれて軍事事業としての原爆開発は終わりました。
フィラデルフィア実験はカモフラージュだった
原子力を使った爆弾ということで当時最高機密でした。1939年の発足当時からウラン濃縮が必要だと言われていて、その工場が建設開始したのが1943年です。5年目にしてでやっとその突破口が見えるのです。奇妙にもこの1943年はテレポーテーションの実験が行われたとされる年です。
この年に、マンハッタン計画の肝であるウラン工場の話が漏れていたら大変です。産業スパイが紛れ込むのもどうしても割けたい。しかし工場の建設となると多くの人手と時間が必要になりスパイを紛れ込ませないことよりも、彼らの情報の信頼度を下げることに注力した可能性があります。
マンハッタン計画に参加する「ノイマン」
原子力爆弾を開発する「マンハッタン計画」、消磁実験を行う「フィラデルフィア実験」その両方に参加し、しかも中心人物となっていた科学者「ノイマン」がいます。ノイマンはマンハッタン計画でも中心人物として大活躍しました。情報かく乱をするならいっそノイマンの名前も出しておいた方がより混乱を招きます。
ノイマンは原子力爆弾の開発において多くの提案をし、その多くが採用されていますので、いくつか紹介します。「爆弾は地面で爆発するよりも、空中の無重力状態で爆発させたほうが破壊力が大きいのではないか」これは広島と長崎の原爆投下時に採用されました。
「日本の文化的な拠り所は京都だからそこに原爆を落とすべき」これも採用されましたが悪天候のため、結局京都には落とされませんでした。他にも爆縮レンズという爆弾のコアの部分に32面体を取り入れるなど、ノイマンの原子力爆弾の開発では、影響力も貢献度も計り知れなものでした。
このように重要なポジションにいたノイマンが、存在したかどうかも疑わしいテレポーテーションが起きた実験に加担していたのは疑わしくなってきます。世間がテレポーテーションや人体の消失などで騒げば騒ぐほど、実際には原子力爆弾の開発のマンハッタン計画も怪しくなっていきます。
情報かく乱をすることで、原子力爆弾の開発の存在感が薄れてしまいます。一言で言えばマンハッタン計画の隠蔽です。マンハッタン計画が早期に明白になれば、他国に開発内容を悟られて競走に負けるかもしれません。国際社会から非難されることも割けられません。これは当時のアメリカにとって手痛い不利益です。
ノイマンの最期
ノイマンは大きくアメリカ軍に貢献しましたが、(貢献しすぎた副作用と言うべきか)晩年は悲惨でした。アメリカ軍からは情報漏えいされると多大な被害が及ぶとマークされてしまい、監視病棟に入れられました。家族の面会も許されず外部との一切の交流が絶たれました。
最期は53歳という比較的若い年齢で亡くなってしまいます。膵臓がんに羅患してしまい、全身に転移。猛烈な痛みに耐えながら数人の軍人に看取られる形で亡くなりました。ノイマン博士は一体何を見て、何を感じたのか。そういった資料が少ないまま亡くなった今では推測の域をでません。
他にもあったアメリカの情報操作
今や世界を引っ張る大国アメリカですが、情報操作もその国策の一部です。冷戦時代にはスパイ合戦を行っていました。現代ではさらに高度化し、陸海空に次ぐ軍事空間と言われるサイバー軍も世界一を誇っています。そんなアメリカがこれまで行ってきた情報戦略についてあまり知られていないものを紹介します。
アポロ計画の予算を引き出す月に関するプロモーション
都市伝説好きな人にとってはもはや常識であるアポロ計画の月面着陸”捏造説”の事、ではありませんのでご注意ください。この節では捏造論は置いておきます。本題はの前提としてアメリカのアポロ計画には250億ドルという莫大な予算が必要でした。これを国民にどう納得してもらうかが当時の国策で議論されていました。
もちろんそのままでは国民が黙っているわけも無く、何らかの説明をする必要が有りました。そこでアメリカ政府は新聞、雑誌映画などのマスコミを使ってまず国民を洗脳しました。「2001年宇宙の旅」や大統領が”着陸を目標とする”と発表しキャッチー、とわかりやすさを織り交ぜて国民に意識付けを行っていきました。
実際のところは国民に夢を与えることはどうでもよく、国際社会的な意味でロシアに勝つことが目的でした。そんな事を国民は知るよしもなく、アメリカ国民の世論は宇宙に対するロマン、夢と希望で溢れていました。この月プロモーションが成功して250億ドルもの大金を投入することに成功したのです
フィラデルフィア実験は矛盾だらけだが…未だ出ない結論
この記事でまとめた様に、フィラデルフィア実験の情報をまとめると怪しい部分はあります。しかし人の記憶は曖昧なものです。それを考えた時に許容範囲の誤差であるとも言えます。消磁実験だけでなく多くの秘密実験への証言も出てきています。ここまで多くの証言が出ればその中には嘘から出た真というのもあるかもしれません。