ゴイアニア被曝事故の悲劇|廃病院で盗難されたセシウム137で放射線が拡散

レイデは唯一、セシウムによる内部被曝…内出血で心臓と肺が圧迫されて亡くなった被害者です。彼女の汚染度は他の被害者の誰よりも高い数値でした。もし、接触後しっかり手を洗っていたら彼女は亡くならずに済んだかも。手を洗うという日々の小さな心掛けが命運を左右することがあるかもと思うと、小さいからと馬鹿にしていられません。

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遂に発覚!ゴイアニア被曝事故

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デヴァーが懲りずに廃病院を漁りに行っている間に彼の妻、マリアが冴え渡る女の勘で事故の原因を突き止めます。彼女は放射線に蝕まれる体を引きずりながら別の従業員と共に売りに出されたセシウムを探し出し、疫病神として公衆健康局に突き出しました。

これが私達全員を殺そうとしている!セシウム137が保健当局に

マリアはこの粉の正体はわかっていませんでしたが、これが全ての災厄の源だと確信していました。彼女は回収したセシウムをパウロ医師に「これが私たちを殺そうとしている!」と鬼気迫る様子で渡しました。パウロ医師は衰弱したマリアの様子に只事ではないと思いつつもマリアの体調を優先し、マリア病院へ連れて行きます。

マリアはそのままヴァグナーも入院している風土病病院に搬送されました。そこはヴァグナーが来てから同じような症状を訴える患者が立て続けに現れるという異常な事態に直面していました。マリアも同じ診断を受けますが、その診断を疑い始めた医師がいました。

偶然か必然か

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アロンソ医師は、患者らは風土病ではなく放射線に汚染されたことが原因ではないかと思い至るが、確証が得られず、たまたまいた物理学者のヴァルター・フェレイラに相談することを決めました。そして、ヴァルターとアロンソはマリアの証言からマリアが持ち込んだあの部品が放射性物質なのではという危惧をいだきます。

ヴァルターは大急ぎで放射線測定器を借りてきて、部品が置き去りにされたゴイアニア公衆健康局に向かいました。ヴァルターは持ってきた測定器のスイッチを入れてみましたが、針は一気にメーターを振り切ってしまった。壊れたのを持って来たと思ったヴァルターは一旦測定器を交換しに引き返してしまいます。

故障していなかった!メーターを振り切る放射線量!

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測定器を交換し、今度はスイッチを入れたまま健康局に向かいました。健康局が近づくにつれてどんどん数値が上がっていくのを目の当たりにしヴァルター氏は前の測定器は正常で、メーターが振り切れてしまうレベルの大変な放射性物質があるという事を確証します。

ヴァルターはすぐさま健康局内の職員らやその周辺の住民を避難させました。そして、マリアが持ち込んだ部品を受け取った人物、パウロ医師から一連の経緯を聞いたヴァルターは、測定器と共にセシウム配布会場、デヴァーの家へと足を運んだ。

遅すぎた発覚

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デヴァー宅を訪れたヴァルター氏はとんでもない状態を目にすることになりました。デヴァーの解体工場、彼の自宅、その周辺…どこもかしこもメーターが振り切れるレベルの汚染度でした。ヴァルター氏は急いでこの事を保健局に報告しました。

この報告で初めて公的機関が汚染が起こった事実を認識します。廃病院から2人の盗人の手によって持ち出されてから16日。あまりにも遅すぎる発覚です。マリアが部品を持ち込んでいなければさらに発見が遅れた可能性もあります。もしそうなっていたら被害者数は今の比ではなかったでしょう。恐ろしいことです。

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