そもそも電車結びとは?
電車結びは、魚釣りに使う糸と糸を結ぶのにもっともベーシックな結び方です。PEラインとナイロンの先糸を使う海のルアーフィシングなどでは必要なの結び方ですので、ぜひマスターしましょう。
PEラインについてはこちらをご覧ください。
二つの結び目を利用する結びで、2本の糸が直線となりコブが小さく引っ掛かりにくいのが特徴です。電車の連結のように結び目がくっつくのが、この名前の由来です。魚釣りでの糸同士や様々なパ-ツ類とのあらゆる結節場面でいろいろな結び方の基本が「ユニノット」と言われますが、この電車結びはその応用形の一つと言えます。
電車結びの特徴をご紹介!
それでは、電車結びというものを理解するために、その特徴について、「強度」、「難易度とスピ-ド」、「結び目の大きさ」、「汎用性」のを4つの要素に分け、他の結び方との比較も交えながら、以下に紹介していきます。
電車結びの特徴① 強度
まずは、その特徴を結束強度面から紹介していきます。一口に結束強度と言っても、使用される釣り糸の素材や太さに結び方、あるいは結束される対象が、同種の糸同士か異種間か、または、糸と各種パ-ツ類の結節かにより異なってきます。ここでは、「同種、同太さの糸同士の結束強度を結束してない場合と比較する」という前提で説明します。
電車結びの強度は, 実用的なレベル
実際に電車結びを使った釣り糸同士の結び目の結束強度を実測したデ-タが存在します。テスト条件は、①結び目無い状態の強度が4kgのフロロカーボン糸を使用。②輪の中に5回糸を通し結ぶ。として測った結果が「強度約2.6kg。直線強度比で約70%」というものでありました。
この結果は、決して強いとは言えない数値ですが、弱いというわけでもない「ごく普通」の強さといえます。さらに難易度やスピードという点での利点も考慮すれば、「実用的なレベル」とも言えます。
最強クラスの強度が求められる釣りには不適合
従って、イカ釣りのエギングやメバリングなどなら大丈夫ですが、中型の青物や10キロを超える大型となると、相応の強度が必要となるため、この結び方では不十分となります。結び方が簡単ではあるが、結び目が大きくなりそこで切れ易い、あるいは巻きつけ回数が少ないとすっぽ抜けてしまうなどトラブルが多いと言えます。
その原因は、どんなに強い糸であっても、糸を曲げて結び目を作るとその中で糸の一部分に力が集中し変形して、糸自信の強さよりも小さな力で切れてしまうことがあります。従って、結び目で糸が急角度に曲がる箇所の少なく強度が落ちない結び方が好ましいのですが、電車結びはこの点で不向きと言えます。
特にPEラインでは、ナイロンやフロロカ-ボンラインなどと異なり、伸びの無い単糸を撚った構造のため、急角度で曲げて引っ張ると、撚糸全体に力を均等に分散できず、一部の単糸に力が集中して切れ、直線強力の半分以下で切れてしまいます。
電車結び改良版で強度UPを
前節まではいわゆる「普通の電車結び」の説明として、強度がやや弱いとお話しましたが、この弱点をリカバリ-する「電車結びのダブル版」というものがあります。後程、普通版電車結びの結び方手順の説明がありますが、ここで2本の糸のうち一方の糸の端を二つ折にして結んでいくとお考えください。
ナイロンあるいはフロロカ-ボンの糸同士の結束強度実験では、このダブルラインはシングルラインに比べて10%以上の強度アップになるとの結果が出ている。又、PEラインとリーダーの場合では、結束強度自体はほぼ変わらないものの巻きつけ回数が少なくても同じ強度が出せることがわかっている。
電車結びの特徴② 難易度やスピード
次に結び方の難易度やスピ-ドの観点からその特徴を紹介します。魚釣り初心者がエギングやメバリングなどのライトゲ-ムをする場合、特にトラブルが起きた時の対処法など考慮するとこの視点での選択は強度よりも大切になってきます。
ライン同士の結び方の中では, 最も簡単
糸同士の結び方には、電車結びの他にも、より強い結束強度が得られやすい摩擦系ノットと言われる、エイトノット、サ-ジャントノット、SFノットなどがありますが、電車結びが一番基本的で初心者にも構造がわかりやすい結び方です。
その場で手早く結べる点も魅力の一つ
魚釣りにおける数ある結び方の中でも、構造が簡単で事前に習得、練習がしやすい電車結びは、初心者が夜間等暗がりでの作業をする場合や予期せぬトラブルで糸が切れてしまった場合など緊急時にも、その場で素早く結べるのが魅力です。
電車結びの特徴③ 結び目の大きさ
糸同士の結び方において、結び目は小さいほどよいわけですが、あいにく電車結びでは、その結束強度がやや弱いというデメリットをカバ-するため、糸通しで作る輪の中に糸を通す回数を増やすことが必要になり、これが結び目を大きくすることになります。
電車結びの特徴④ 汎用性
電車結びは、釣りの様々なシチュエ-ションで簡単・便利さを発揮する汎用性の高い結び方です。
電車結びは結束の基本
電車結びは、釣り糸同士を結ぶ基本的な結束方法ですが、道糸のPEとリーダーを、また細いリーダーと太いリーダー結ぶ場合にも使え、汎用性が高い結び方と言えます。さらに異なる素材の糸同士の結束にも使えます。例えば、0.6号以下のPEとフロロカ-ボンのリーダーの結束にも使えるなど幅広く役立ちます。
災い転じて福となす
さらに80cm級の真鯛を釣ることも可能ですが、その場合、PE1号とリーダー4号を電車結びで結束するのが初心者向けに適切と言われており、 結束部分からスッポ抜けることもありません。初心者には、根掛り等トラブル勃発時にはある程度で糸が切れる方が大きなトラブルになりません。電車結びの強度面のデメリットがメリットになります。