この結果は、決して強いとは言えない数値ですが、弱いというわけでもない「ごく普通」の強さといえます。さらに難易度やスピードという点での利点も考慮すれば、「実用的なレベル」とも言えます。
最強クラスの強度が求められる釣りには不適合
従って、イカ釣りのエギングやメバリングなどなら大丈夫ですが、中型の青物や10キロを超える大型となると、相応の強度が必要となるため、この結び方では不十分となります。結び方が簡単ではあるが、結び目が大きくなりそこで切れ易い、あるいは巻きつけ回数が少ないとすっぽ抜けてしまうなどトラブルが多いと言えます。
その原因は、どんなに強い糸であっても、糸を曲げて結び目を作るとその中で糸の一部分に力が集中し変形して、糸自信の強さよりも小さな力で切れてしまうことがあります。従って、結び目で糸が急角度に曲がる箇所の少なく強度が落ちない結び方が好ましいのですが、電車結びはこの点で不向きと言えます。
特にPEラインでは、ナイロンやフロロカ-ボンラインなどと異なり、伸びの無い単糸を撚った構造のため、急角度で曲げて引っ張ると、撚糸全体に力を均等に分散できず、一部の単糸に力が集中して切れ、直線強力の半分以下で切れてしまいます。
電車結び改良版で強度UPを
前節まではいわゆる「普通の電車結び」の説明として、強度がやや弱いとお話しましたが、この弱点をリカバリ-する「電車結びのダブル版」というものがあります。後程、普通版電車結びの結び方手順の説明がありますが、ここで2本の糸のうち一方の糸の端を二つ折にして結んでいくとお考えください。
ナイロンあるいはフロロカ-ボンの糸同士の結束強度実験では、このダブルラインはシングルラインに比べて10%以上の強度アップになるとの結果が出ている。又、PEラインとリーダーの場合では、結束強度自体はほぼ変わらないものの巻きつけ回数が少なくても同じ強度が出せることがわかっている。
電車結びの特徴② 難易度やスピード
次に結び方の難易度やスピ-ドの観点からその特徴を紹介します。魚釣り初心者がエギングやメバリングなどのライトゲ-ムをする場合、特にトラブルが起きた時の対処法など考慮するとこの視点での選択は強度よりも大切になってきます。
ライン同士の結び方の中では, 最も簡単
糸同士の結び方には、電車結びの他にも、より強い結束強度が得られやすい摩擦系ノットと言われる、エイトノット、サ-ジャントノット、SFノットなどがありますが、電車結びが一番基本的で初心者にも構造がわかりやすい結び方です。