ポヴェーリア島とは?ただの島とは呼べないその歴史と事件
イタリアのヴェネツィア沖にある小さな島がポヴェーリア島です。この島は歴史が古いですが、19世紀ころから普通に島民が住む状況ではなくなりました。この島の歴史とこの島が恐れられるようになった事件を追ってみます。
9世紀ごろは人々が暮らしている島だった
この島はヴェネツィアの潟(ラグーナ)の中にあります。ヴェネツィア本島から見ると南方向のそう遠くない所にあります。面積は約17エーカーで東京ドームが2個ほどの広さです。421年にまとまった人が入った記録があります。その後、9世紀にはヴェネツィア共和国の管理下に入り、人口も多くなっていきました。
無人島からペスト患者の隔離収容施設用の島へ
ヴェネツィアの宿敵であるジェノヴァ共和国の艦隊の攻撃を受けたこの島に、要塞が建設されたのは1379年です。この時、住民は強制的に追い出され、その後無人島となりました。島は1776年にヴェネツィアの公衆衛生局の管理下になり、出入りする船の検査所となりました。
1793年になって、ここに立ち寄った2隻の船にペスト患者が発見されたことから、島は隔離収容施設になりました。折からのペストの流行により、島へは患者が隔離目的で次々に送り込まれるようになりました。
島の写真
島は3つのパートから成り立っています。南の島には病院や教会があります。水路をはさんで、北の島があります。ここには建物はなく、木立がありあとは野原になっています。二つの島は橋で行き来ができます。南の島の隣には要塞があり、ここには橋がかかっていないので、行けません。
ポヴェーリア島の土の半分は遺灰?見つかった人骨と死者の数
この小さな島には、驚く程の数の人骨が埋められているそうです。もちろんこの島までわざわざ人骨を運んで来て埋めたのではありません。この島に来るときは生きていた人間が、この島で亡くなったのです。
数世紀にわたり死者は16万人を超える
この島はペスト(黒死病)が14世紀に大流行していた頃には、ヴェネツィアの海上検疫所になっていました。当初30日だった留置が後に40日に延長されました。この間にも死に至る人の数はおびただしくなり、この島で命を落とした人は数世紀で16万人に上るといわれています。このため、足を踏み入れてはいけないとも言われてきました。
島中に遺体が埋まっていると言われている
この島は、ヴェネツィアに病気が広まらないようにするために、病気にかかった人々を隔離するために連れてきました。その当時は有効な治療法も無いために、一旦この島に足を踏み入れると、もう生きては帰れません。いや、この島に遺体が葬られることになります。数が膨大なために島中に遺体が埋まっている状態になりました。
ポヴェーリア島では心霊写真が撮れる!?実際の島の画像
想像を絶する人数の人々が、この島に来て病に苦しみながら亡くなっていきました。そのため、この島には亡霊が現れると言われています。それも一つや二つではなく、あちらこちらに止めどもなく出現するようです。
もしかして心霊写真?恐ろしい画像
今でも島の中には、霊が多数浮遊していると言われています。やはりこの島には今でも浮遊霊がたくさんいるのでしょう。死ぬ前に一度でいいから本土へ帰って、家族と会いたいと呻きながら死んでいった何万もの怨念がビリビリと伝わってきそうです。
背筋がぞわぞわするポヴェーリア島の廃墟画像
この写真は、島の病院です。今ではすっかり廃墟となってしまいましたが、1922年に開設されて1968年に閉鎖されるまでの40年余りは、ここにも沢山の患者さんがいたわけです。患者さんたちの声が今でも聞こえてきそうです。
もはや人体実験?ポヴェーリア島で行われていた恐ろしい手術
この島は長い間、ペスト等の伝染病患者を世間から隔離する施設としての役割がありましたが、20世紀に入って病院が開設されてからは、精神病患者も受け入れていました。そして治療法を試験するという目的で、さまざまな試みが行われていました。それはまさに、人体実験とも言えるものでした。
ポヴェーリア島には精神病患者隔離病棟もあった
この島の病院には精神病患者の隔離病棟がありました。精神病の患者はおとなしくしてくれている分にはよいのですが、自制がきかなくなって暴れ回ったり、暴力をふるったりする事もあり、病院関係者は拘束服などで患者を動けないようにして、精神が落ち着くのを待つのでした。しかしこれは一筋縄ではいきません。
患者に施されたロボトミー手術
この島では、ひっそりと患者にロボトミー手術を施していたと言われています。この手術は、精神疾患とくに凶暴癖のある患者にはよく効く処置として、アントニオ・エガス・モニス医師が1937年に発表してから1940年代には爆発的に広まりました。これは、患者の前頭葉を切り離してしまうという恐ろしい手術でした。
前頭葉を切り離された人間の恐ろしい末路
ロボトミー手術を受けた患者は、乱暴だった行動が劇的に安静化しましたが、その反面、悲劇的な副作用がありました。それは、人格を失い、やる気や集中力を失い、また創造力も失い、人生に対する興味も無くなっていくのでした。まるで、生きる屍のようになってしまったのです。
医者の自殺も幽霊のせい?幽霊に取りつかれるポヴェーリア島の闇
この島の病院の医者は人体実験のような手術を繰り返していました。それもおびただしい数です。残念ながら実験の最中に命を落とした患者もいたことでしょう。霊気うずまくこの島で、最初は正気を保っていた医者も次第に精神を冒されていきました。
精神病院の当時の医者は自殺
いろいろと怖い噂が立っていたこの島の病院ですが、精神病の医者はとうとう鐘楼から身を投げて、自殺してしまいました。これは、この島で死んだ患者たちの亡霊が夜ごと彼を悩まし続けたからではないかと言われています。最後にはまるで促されるように空中に舞ってしまったのです。
医者はロボトミー手術以外に人体実験を行っていた可能性も
自殺してしまった医者は、この島の病院で精神病の患者に対してロボトミー手術を施行していましたが、噂ではこれ以外にも薬物を使ったり、外科手術を施したり、強い電気をつないでみたりと、残酷な人体実験をしていたのではないかと言われています。
もともと狂人だったのか霊のせいなのか
自殺した医者は、ロボトミー手術やその他のいかがわしい人体実験を繰り返していたのですから、もともと正常な精神状態を保っていなかったのではないかと疑われます。一方、医者は亡くなった患者たちの怨念の力で気が触れてしまったのではないだろうかとも言われています。