黄泉戸喫(よもつへぐい)ってどういう意味?その由来や対処法などを徹底解説

イザナミは、「黄泉の神と相談している間は、私の姿を見に来てはいけません」とイザナキに伝えます。しかし、あまりにも長い時間であったため、痺れを切らしたイザナキは覗いてしまうのです。そこに居たイザナミの姿は、現世で目にしていたものとはかけ離れ、身体からは蛆虫が湧いていました。

その姿を見たことで、イザナキは恐ろしくなり逃げだします。イザナミの姿を目にしてしまったことで、イザナミが「黄泉国の住人」になってしまったのだ、と視覚的に認識してしまったため、現世に連れ戻すことは不可能だと理解したのです。

「黄泉比良坂(よもつひらさか)」にまつわる話

黄泉と現世の境であり、帰路であった「黄泉比良坂(よもつひらさか)」。今もなお残っています。さきほどの『古事記』のお話の中ではどのように描かれたのでしょうか。また、現在の「黄泉比良坂」についてもご紹介します。

「黄泉比良坂」とは

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イザナキが、現世に戻る際に通った場所です。「黄泉比良坂」は、黄泉国の出口の役割を担っています。イザナキは、黄泉国からの最後の追手であったイザナミから逃れるために、黄泉国の出口にあたる場所を、巨大な岩で塞いだのでした。

國學院大學古事記学センターの解説によれば、「ヒラ」は崖状の地形や傾斜地をあらわし、「サカ」は境界を意味するとのことです。しかしこれは『日本書紀』における語句の解釈であり、『古事記』における「サカ」は、現代とさほど意味が変わらない、という説もあります。

観光名所「黄泉比良坂」

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『古事記』の地として愛され、パワースポットとしても注目の観光名所です。この「黄泉比良坂」には、「天国へ手紙を送るポスト」が設置されているのです。便箋に筆記用具、書くスペースまで充実しています。もしもあの世へと旅立った人、もしくはペットに言葉を届けたいなら、ここで手紙をしたためるのも良いかもしれません。

また、現在では、心霊スポットとしても注目を集めるようになっています。この世とあの世との境界とされている場所ですし、不気味な雰囲気が漂うこともあるのかもしれません。これ以上足を踏み入れてはいけないという注意喚起の看板も実際に存在します。

ゲームの中の「黄泉比良坂」

スマホ向けのオンラインRPGに、「ひねもす式姫」というゲームがあります。「ひねもす式姫」に登場するステージのひとつに、「黄泉比良坂」があります。このステージでのルールは特殊で、戦闘が終わっても、体力と魔力は回復しません。「黄泉比良坂」という場所の特徴を捉えた興味深いシステムです。

ギリシャ神話における「黄泉戸喫(よもつへぐい)」

ギリシャ神話においても、「黄泉戸喫」に類似したお話が存在します。ここで紹介するのは、「ペルセポネの冥界下り」、もしくは「ペルセポネの略奪」と呼ばれる神話です。ギリシャ神話ではどのように描かれているのか読み解きます。

「ペルセポネの冥界下り」が似ている

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女神・ベルセポネは、野原で水仙の花を摘もうとしたとき、冥府の神・バーデ―スに連れ去られてしまいます。何日も冥界で過ごさざるを得なくなっていたペルセポネは空腹に耐えかね、バーデ―スからもらったザクロの12粒のうち、4粒を口にしてしまいます。補足すると、食したのは6粒だったという説もあります。

冥府のものを食べてしまったら、冥界に属さなければならないといった決まりがありました。ですが、ペルセポネは様々なことが考慮された交渉の末、食べてしまった粒の分だけ、つまり1年のうちの三分の一の期間だけ、冥府で過ごすことになったのでした。

ザクロという果実について

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ペルセポネが受け取ったのはザクロでしたが、ザクロという果実はギリシャ神話において「豊穣のシンボル」とされていました。ペルセポネもまた、「豊穣の女神」であったので、とてもゆかりのある果実でありました。ここでは、ザクロについて少し掘り下げてお話します。

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