塩分の入ったスープは、「生命のスープ」と呼ばれることがあります。「生命のスープ」とは、生命が誕生する直前の海のことを示しています。海底から噴き出した高温の水が、大気中の物質と化学反応を起こした結果、アミノ酸に変化し、複雑なタンパク質や遺伝子が創り出されたのです。
生命活動に必要な、最低限の物質が取り込まれているという点で「生命のスープ」であるといえます。食欲が失せているものの、何か食べなければ衰弱してしまいます。そんなときにもせめて、塩分多めのスープを口にして、身体の状態を保ちましょう。
野菜
スープがだいぶ喉を通るようになってきたら、消化の面で負担を軽減するために、野菜を摂取した方が良いとされます。風邪をひいて回復しだしたときと同じ要領です。野菜は必ず火を通したもの、温野菜が良いとされています。現世の火でしっかり調理したものを口にして、肉体を現世に留まらせるということです。
肉以外のタンパク質
だいぶ食事を摂れるようになってきたら、徐々にタンパク質を摂取していきましょう。弱っているときには胃に負担がかかりますが、この時点で白米を口にしても問題ないでしょう。また、大豆や卵もおすすめです。
身体が不調を訴えていても、食事を摂らなくてもお腹が減らなくなったとしても、何かを口にしなければ体力は衰える一方です。生きてこの世で生活している以上、食事を摂らなければ、どんどんあの世へと取り込まれていってしまいます。食欲がなくても、定期的に栄養は摂るようにしましょう。
Contents
現代版「黄泉戸喫(よもつへぐい)」の怖い話
ネットの掲示板には、よく「異世界へ行ったかもしれない」という体験談を語る書き込みが存在します。ネット上に書かれた、あるお話をいくつかピックアップして、軽くご紹介します。興味のある方は『おれが異次元世界(?)に行った話』、『山盛りのどんぶり飯』、『黄泉比良坂』、各ページを参照してください。
「黄泉戸喫(よもつへぐい)」と似ている怖い話
スレッド主の男性は、ゴールデンウィーク中に家でダラダラ過ごしていたところ、昼寝を試みるのですが、目が覚めるとそこは自分の部屋ではなく、高層ビル街でした。人が全くおらず不気味でしたが、しばらく歩いたのち、大きく手を振るおじさんが見えたので、それを目標に歩きます。少し内容を端折ります。
手を振っていた人物を超えた先の部屋に入ると、長いテーブルの上にズラッと料理が並んでいたのです。その料理を口に運んだ瞬間、男性はなぜだか友人の家の前に飛ばされてしまうのです。異世界で何かを口にしてしまっていますが、男性は本当に元の世界に戻ってきているのか、疑問です。
山登りでおきた話
ネットに投稿された体験談として『山盛りのどんぶり飯』というお話があります。大学の登山サークルに所属していた男性が、サークルの先輩にとある写真をみせられます。それは山の景色に不釣り合いに置かれた炊き立ての「ご飯」の写真でした。そのご飯はどんぶりいっぱいに盛られ、箸が突き立てられていました。
後日その写真の撮られた山へ登山へ行くと、そのご飯は実在しました。写真を撮った時から気になっていた、という先輩は、そのご飯を食べてしまいます。そしてその後、行方不明になってしまったのです。詳細が気になる方は、書き込みを参照してみてください。
黄泉比良坂でおきた怖い話
話半分で聞いていただいても良いのですが…この「黄泉比良坂」では実際に、『古事記』におけるイザナミの話をきかせ、「黄泉戸喫」の説明をしたあと、ガムを手渡してくる青年が現れるといいます。ガムを口にしないでいると、青年はがっかりして立ち去るそうです。「黄泉戸喫」をさせようとしていたのか否か、真相は不明です。
一番初めに紹介したお話にも「おじさん」は登場しましたが、異世界で必ず会う、と言われている「異世界おっさん」という都市伝説も存在します。「異世界おっさん」について詳しく知りたい方はご覧ください。
「黄泉戸喫(よもつへぐい)」を題材にしている作品
現代のアニメや小説においても、「黄泉戸喫」が作品の展開に大きな影響を与えている場合があります。「黄泉戸喫」がどのように作用しているのか、いくつかの作品を取り上げつつ、解説していきます。
千と千尋の神隠し
トンネルをくぐり抜けた先の異世界で、主人公千尋の両親は、むしゃむしゃと屋台の料理を食い散らかし、豚にされてしまいます。「豚にされる=異世界の住人になる」ということを表現しています。
千尋はずっと何も食べておらず、この異世界において姿が消えかけるのですが、そのときにハクという少年からもらった食べ物を口にしたことで、元に戻ります。ここでも「黄泉戸喫」が描かれています。
仮面ライダー鎧武
ライダーの一人である龍玄が、一番さいごに変身する際に装着する鎧が、「ヨモツヘグリアームズ」という名前です。動画の3分10秒頃から変身シーンとなります。しかし、龍玄は鎧を装着する時点からとても苦しそうな声を上げます。「ヨモツヘグリアームズ」を装着した時点で、どんどん黄泉の世界へ導かれてしまっています。
君の名は。
「君の名は。」は、主人公・三葉と瀧が、時を経て入れ替わる、有名なタイムリープ作品です。どの場面が「黄泉戸喫」に当たるかというと、滝が「口噛み酒」を飲んで、三葉と入れ替わるシーンに当たります。「口噛み酒」を口にしたことで、滝は一時的にこの世のモノではなくなり、曖昧な存在になるのです。
深海生物「ヨモツヘグイニナ」とは?
深海に棲む生物に、「ヨモツヘグイニナ」という大型の巻貝が存在します。明らかに「黄泉戸喫」を意識したネーミングだと言えます。「ヨモツヘグイニナ」は一体何なのか、どういった生態なのか、詳しく解説します。
黄泉の国のような深い海底に住んでいる
「ヨモツヘグイニナ」は、水深約2000mの地点に生息しています。とても日の光が届く場所ではありません。その深海は、暗く不気味な場所であることから、まるで黄泉の国から来ているようだ、という喩えから名付けられたといわれます。
もしくは、高温の海水が噴き出すほどの海底、すなわち黄泉の国に居ることから、黄泉の国で煮られた食べ物ではないかと考えられたのがきっかけで、「ヨモツヘグイニナ」という名前が付けられたのではないかとも言われています。
硫化水素を取り入れてエネルギーにしている
「ヨモツヘグイニナ」は、化学合成をするバクテリアを体内に保有しています。そのバクテリアのエネルギー源が、海底から噴き出している硫化水素なのです。このような特殊な生態であるため、太陽の光を浴びなければならない世界では生きていけないのです。
太陽の光とは程遠い、黄泉の国ともいわれる深海には、「ヨモツヘグイニナ」以外にもたくさんの深海生物が生息していることを考えると、まだまだ知らない世界はたくさんありそうです。深海魚について詳しく知りたい方は、次のリンクを参照してみてください。
もし異世界に行っても「黄泉戸喫(よもつへぐい)」はしないように!
「黄泉戸喫(よもつへぐい)」をしてしまうと、現世には帰ってこられなくなってしまいます。しかし、どのような経緯で、いつ異世界に足を踏み入れてしまうのかは、誰にも予測することはできません。
もしも突然、生活している世界に違和感を覚えたら、いくらお腹が空いていても、誰に勧められても、絶対に口にしてはいけません。「食べるな」と言われると食べたくなってしまうのが人の心理ですが、黄泉の住人になりたくないなら、本当に食べてはいけません。
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