お稲荷様とは一体どんな神様?祟りやご利益、その正体に迫る!

お稲荷様は日本各地で古くから祀られている最も有名な神様です。お祀りするとご利益があると言われる反面、祟りなどの怖い一面もあります。日本人に親しまれる、この神様について詳しく解説します。

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お稲荷様とはどんな神様か

この国には、数多くの神様が存在すると古くから伝えられています。その中でも、日常の中で目にする機会が多い神社の一つではないでしょうか。赤い鳥居に狐の石像は、私たちに馴染みの深い景色ですが、それでは一体どんな神様が祀られているのでしょうか?

五穀豊穣の神

祀られているのは、五穀豊穣の神様です。現在のように食べ物を手軽に手に入れる事が難しかった時代には、家のため、国のために農作物が豊作である事が人々の幸せだったのです。主食となった、米や麦、豆などの穀物5種類を五穀と呼び、それらが豊かに実るように助けてくれるのがお稲荷さまです。

狐の神様ではない

境内には、狐の石像や置物などをよく見かけますね。それによって狐の神様が祀られていると思われる方も多ようですが、狐自体が祀られているという訳ではなく、神様のお遣いにあたります。しかし、数ある神社の中には、神様のお遣いをしている狐も奉っているところもあります。

日本全国2万社以上祀られている

日本には、2万以上の稲荷神社が建立されています。その数は、様々な種類の神社の中でも一番多いと言われています。その中でも有名なのが、延々と続く鳥居が壮観な伏見稲荷大社や、大量の狐の石像に圧倒される豊川稲荷などが挙げられます。さらには個人宅で祀っているところもあり、合わせると相当数になります。

お稲荷様は一柱じゃない?五穀豊穣の神様の総称

神様は人ではないので、1人2人という数え方はしません。1柱2柱という数え方をしましすが、お稲荷様というのは1柱のお名前を指すものではありません。五穀豊穣を願う神様とは何人もいらっしゃるので、その総称としてお稲荷様と呼ばれます。

名前に「ウカ」「ウケ」がつく

お稲荷様には、宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)豊受姫大神(トヨウケヒメノオオカミ)保食神(ウケモチノカミ)などの神様がいらっしゃいます。その名前を見てみると、「ウカ」や「ウケ」と言う言葉が入る神様が多い事が分かりますね。

古代の言葉で「食べ物」を表す

「ウカ」や「ウケ」と言う言葉は、大昔の日本の言葉で「食物」を指します。五穀豊穣の神様の名前にも、食べ物を指す「ウカ」や「ウケ」と言う言葉が入っているのですね。そしてその文字が入る神々は、食物の神として祀られています。

特に有名なのは「宇迦之御魂神」

その中でも有名なのが、宇迦之御魂神です。古事記の中では、須佐之男命と神大市比売の子供ということになっていますが日本書紀では、イザナギとイザナミから産まれたとされています。有名な伏見稲荷大社にも、この神様が奉られています。

祈願できるのは五穀豊穣だけじゃない

実は、この神様に祈願出来るのは、農業に関することだけではないことをご存知でしょうか。商売繁盛や、産業の発展、所願成就のご利益もあるということで、ありとあらゆるお願いをする事が出来るのです。境内には狐の石像がある事が多いですが、その口元をよく見ると何かを咥えている石像もあります。

狐が咥えているものには意味がある

よく見るのは稲の束を咥えている狐の石像ですが、これは五穀豊穣を表しています。他にも、玉は宝玉を象徴しており所願成就、鍵は蔵の鍵の象徴として富の繁栄や豊穣、巻物は仏教の経典を表していると言われており、英知の象徴と言われています。

お稲荷様には裏の顔がある?神道と仏教で異なる顔

お稲荷様は、人々に豊かな食物を与えてくれる神様として崇められてます。しかし、実は優しいばかりではない神様も存在する事はご存知でしょうか。神社に祀られているイメージが強いこの神様ですが、仏教でもおこの神様を祀っている事もあるのです。宗教によって、どのように違ってくるのでしょう。

神道のお稲荷様は優しい

神道では、その名前の中に「稲」という字が入っている通り、豊かな穀物や食物をもたらしてくれる優しい神様であるとされています。時代が流れるにつれ、農作物だけではなく、商業・産業発展の神様としても崇められるようになり、国民に人気の神様となりました。

仏教のお稲荷様は怖い

仏教では「荼枳尼天」という神様を指します。元は印度から伝わった、ダーキニーという女性だとされています。血や戦いが好きなカーリーという恐ろしい女神に使えていたダーキニーは、人の肉を食べる魔女として恐れられています。日本では、鬼女や夜叉女とも言われ、祟りを起こす神として恐れられる事もあるのです。

どちらも共通点は眷属が「狐」

神様に遣える動物を眷属(けんぞく)と言いますが、どちらの宗教でも、狐を従えているという共通点があります。狐は農作物を狙うネズミを食べてくれるため、神道のお稲荷様に仕えるようになったとされています。また死んだ人間の肉を食べたり、未来を予知出来ると恐れられた狐が、荼枳尼天の恐ろしさと紐付けられたと言われています。

なぜ恐れられるのか

仏教のお稲荷様は、荼枳尼天(ダキニテン)と呼ばれ印度から伝わった女性がモデルとなっています。他の国では「天」の字は使わず、荼枳尼とだけ記されます。天の字を付けるのは日本独自の表記です。白い狐に乗り、剣や鎌、宝玉や稲の束を持った姿が描かれる事が多いです。

荼枳尼天

戦いの象徴とされる神「カーリー」に仕えていた荼枳尼天は、戦いの神と共に戦い、敵の肉を食べたり、死体置き場で死人の肉を食べる恐ろしい女性として知られています。元々はダーキニーという集団を表していましたが、日本では一柱の神の名前となっています。

カーリー

シヴァ神の妃として知られています。正確には妃の凶暴な一面の一つとして、カーリーが存在します。その体は全体が青みがかった黒色をしており、目が3つ、腕が4本もしくはそれ以上という異様な姿形をしています。腕には武器や生首を持地、首からも生首やガイコツをぶら下げた恐ろしい姿で描かれます。

荼枳尼天を祀った人々

源平盛衰記という書物に、平清盛や文観という後醍醐天皇に使えていた僧が、荼枳尼天を祀ったされる記述が残っています。この本は後世に書き記された文学的な作品として残っているのみで、本当に行われたのか根拠はありません。しかし、事実がなかった証拠もまたないのです。

戦国武将も祀ったとされる

現在でも、各地の城跡にお稲荷様の社を見かける事が出来ます。戦国時代に建てられた城には、戦に勝利するために、荼枳尼天を祀る戦国武将もいたという説もあります。戦いの女神に使えていた荼枳尼天は、自身も戦いの女神として日本で崇められていたのです。

祀るのは命がけ

一度祀ってしまったら後戻り不可能。自分の命をかけて、信仰し続ける必要があるとされています。もし信仰をなくしてしまうと災いが起こるとされており、忌み嫌われていた信仰でした。太平記や平家物語にも、荼枳尼天を信仰する事は外法であると記されています。

お稲荷様は祟る?きちんとお祀りしないと危険

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