西部劇の謎のコロコロはタンブルウィード!かわいいけど実はとっても迷惑な植物?

まんまるな姿、風に吹かれてコロコロ転がる様子と、可愛らしささえ感じるタンブルウィードですが、「最強」と言われる植物でもある事をご存知ですか?既にトゲを持った硬い植物であることは紹介済みですが、勿論それだけで最強と呼ばれている訳ではありません!

生命力が驚異的

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冬には枯れて命を終える見えるタンブルウィードですが、風任せの旅を続ける道すがら自分のDNAを宿した種子を撒き散らします。時に数百キロに及ぶ大移動をするタンブルウィードが、およそ20万個の種をあちこちに落とし、そこからまた新たなタンブルウィードが生まれ、また冬になり…

それを先祖代々くり返すことで、自分達の分布域をぐんぐん広げ、仲間を増やしていくのです。ロシアから持ち込まれたわずかな種子が、西部劇になくてはならない存在とまで言えるレベルに繁殖したのも頷けますね。しかし!タンブルウィードの凄い所はまだあります。

昼間の気温0℃で一斉に発芽

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寒い冬、地表に落とされたタンブルウィードの種子はじっと春を待ち、昼の気温が0℃を超えると一斉に芽吹きます。まだ多くの植物や動物にとって凍えるような寒さの中で、タンブルウィードたちはニョキニョキと元気に生長していくのです。実にタフですね!

わずかな水分でも成長

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砂漠のオアシスに泉が湧いているように、植物が命を育むためには水という存在が必要不可欠ですね。しかし、このタンブルウィードは落下した周囲の土から得られるごくわずかな水分だけを頼りに生長できてしまうのです。枯れるのはあくまで冬。水枯れとは無縁の植物なのです。

地下2mにも根を張れる

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根は、地中もしくは水中に伸びる大事な器官。ここから植物は養分や水分を摂取し、呼吸をし、体を支えます。その根が、タンブルウィードにいたっては最大で地下2メートルまで伸びるというのだから驚きです。これも、不毛の地で生き抜く為に進化した結果なのでしょう。

どんな土でも生きられる

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ガーデニング経験のある方は、植物によって適した土があることをご存知ですよね。適切な土を使わなければ枯れてしまう事さえあります。その点、タンブルウィードは土を選びません。酸性の土・アルカリ性の土、痩せた土・肥沃な土、湿った土・乾いた土…どんな大地でも種さえ落ちれば生えてきます。

タンブルウィードは転がって人々を困らせる?

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生命力に満ちた面白い植物・タンブルウィードですが、実は現地の方々にとってかなりの厄介者!数々の胸躍る西部劇を彩った「コロコロ転がる」という特徴が、舞台となった地域の住民の快適な生活を脅かしている複雑な事情を抱えていたりするのです。

玄関や道を塞いでしまうことも

素敵なお家を覆い尽くさんばかりに寄せ集まった枯れ草ボール…説明するまでもありませんが、これは全てタンブルウィードです。普通の枯草と違い針金のように硬く、イバラのようなトゲを持つタンブルウィードを撤去するのは容易ではありません。

運転を遮ってしまう

道路をタンブルウィードが複数転がっていく光景はよく見られますが、こうも多いと狂気的です。目の前に広がるタンブルウィード畑を、恐らくトゲによるものであろう黒板を引っ掻くような音を立てながら車が進みます。しまいにはフロントガラスも埋もれ、やっと抜けた先にも待ち構えるタンブルウィード…もはや悪夢ですね。

タンブルウィードが原因で火事になる!?

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行く手を遮る障害になるだけでも大変なタンブルウィードですが、更に恐ろしい事件を引き起こすこともあります。それは「火災」です。しかしこれは自然火災ではありません。タンブルウィードに悩まされる者が生み出した第2のタンブルウィード被害とも言うべき人災なのです。

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