西部劇の謎のコロコロはタンブルウィード!かわいいけど実はとっても迷惑な植物?

先程、代表的なタンブルウィードは「ヒユ科オカヒジキ属のロシアアザミ」だとご紹介しました。とうにお気付きかと思われますが、名前にしっかりと「ロシア」が入っています。そう、ハリウッドが築き上げた一大ジャンル西部劇に欠かせないタンブルウィード、実はロシア原産だったのです!

試練の地で生まれたロシアアザミ

出典:Wikipedia

更に細かく説明すると、ユーラシア大陸・ウラル山脈東に広がる草原地帯に生えています。ボール状に生長する株は、秋に実を結ぶと茎が折れ、コロコロと転がりながら種子をばら撒きます。目を見張る繁殖力も、有刺鉄線のように強靭な感触も、厳しい大地で培われたものなのでしょう。

1877年に初めてアメリカで発見

Andrys / Pixabay

アメリカで初めてタンブルウィードが発見されたのは、1877年のサウスダコタ州バナム郡でのことです。外来種の雑草として米国農務省に報告されましたが、乾燥地帯における家畜の飼料になることを期待され栽培も試みられました。現在もカンザス州などの地域で栽培されているとのこと。

それにしても、遠くロシアの地からどうやってアメリカへやって来たのでしょう?最も有力な説としては、ロシアの農業者が種子を輸入した際に、偶然紛れ込んでいたロシアアザミの種がアメリカに持ち込まれ繁殖したのではないか、ということです。

タンブルウィードはなんでコロコロ回転するの?

ElisaRiva / Pixabay

知れば知るほどかえって謎が深まっていく不可思議な「タンブルウィード」。そもそもなぜ、「回転する草」の名前がつけられるほどコロコロと転がりまくるのでしょうか?それによって彼らにメリットはあるのでしょうか?これまでにご紹介した特徴のおさらいも兼ねて、もう一度研究してみましょう。

 乾燥する時期にもろくなるから

werner22brigitte / Pixabay

タンブルウィードが西部劇でお馴染みのあの姿となるのは、乾燥の季節・冬です。秋に果実を成熟させたタンブルウィードは、乾燥すると茎がとても脆くなります。そこに風が吹けば、いとも簡単に根本からポロリと地面から切り離され、長い旅が始まるのです。

数キロ以上転がることも

Free-Photos / Pixabay

タンブルウィードの行方はもっぱら風任せです。運が無ければフェンスや柵に引っ掛かり道を閉ざされてしまいますが、強運が重なれば何にも邪魔をされずどこまでも行けます。その距離は数百キロに及ぶことさえあるのだとか!荒野をさすらう孤独の旅人・タンブルウィード…いかにも西部劇ですね。

タンブルウィードだけじゃない!旅する植物

josealbafotos / Pixabay

風に吹かれて移動するタンブルウィードですが、同じように風の力を借りて自分の子孫を遠くへ飛ばす植物もいます。「風」「種」というキーワードで思い浮かぶ身近な野花といえば…そう、タンポポ。子供の頃、綿毛を息で吹いて飛ばし遊んだ記憶は誰もが持っているでしょう。

在来タンポポと外来タンポポ

domeckopol / Pixabay

タンポポは漢字で「蒲公英」と書き、田舎から都会までどこでも目にすることが出来ます。タンブルウィードがロシアから持ち込まれた帰化種であるように、タンポポにも帰化種がある事をご存知でしょうか?セイヨウタンポポと呼ばれるのがそれに当たります。

見分け方としては、花のすぐ真下にあたる総苞という部分がめくれあがっているのが西洋タンポポ、めくれていないのが在来種である関東タンポポです。夏場でも咲いているタンポポは西洋タンポポにあたり、関東タンポポは春のごくわずかな短い期間に咲きます。

西洋タンポポが関東タンポポを駆逐した?

pixel2013 / Pixabay

西洋タンポポは在来種の関東タンポポよりも多くの場所で生育でき、その上繁殖力も高いために「西洋タンポポが関東タンポポを駆逐してしまった!」と誤解をうけることがあります。確かに、普段目にするタンポポはその殆どが西洋タンポポと言って間違いないでしょう。

しかし、在来種の関東タンポポよりも低温に弱く、初春~初夏にかけての寒暖差が激しい環境下では生育できない事も多いのです。関東タンポポも絶滅してしまったという訳ではなく、茎の長さが西洋タンポポに比べ短い為生育場所が限定され、かつ短期間に花が終わっているだけなのです。

他力本願?いいえ、生き残る知恵です

rawpixel / Pixabay

風に乗せて種子を運んでもらう以外にも、他者の力を拝借し分布域を広げる植物はまだまだいます。犬や猫、時には人間など動物の体に種子を付着させるオナモミ、鳥に食べられた果実が種ごとフンとして排出され、そこから芽を出す草花や木…今日もどこかで、何かの種が運ばれているのでしょうね。

NEXT タンブルウィードが最強と言われている理由!