ガーデニング経験のある方は、植物によって適した土があることをご存知ですよね。適切な土を使わなければ枯れてしまう事さえあります。その点、タンブルウィードは土を選びません。酸性の土・アルカリ性の土、痩せた土・肥沃な土、湿った土・乾いた土…どんな大地でも種さえ落ちれば生えてきます。
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タンブルウィードは転がって人々を困らせる?
生命力に満ちた面白い植物・タンブルウィードですが、実は現地の方々にとってかなりの厄介者!数々の胸躍る西部劇を彩った「コロコロ転がる」という特徴が、舞台となった地域の住民の快適な生活を脅かしている複雑な事情を抱えていたりするのです。
玄関や道を塞いでしまうことも
素敵なお家を覆い尽くさんばかりに寄せ集まった枯れ草ボール…説明するまでもありませんが、これは全てタンブルウィードです。普通の枯草と違い針金のように硬く、イバラのようなトゲを持つタンブルウィードを撤去するのは容易ではありません。
運転を遮ってしまう
道路をタンブルウィードが複数転がっていく光景はよく見られますが、こうも多いと狂気的です。目の前に広がるタンブルウィード畑を、恐らくトゲによるものであろう黒板を引っ掻くような音を立てながら車が進みます。しまいにはフロントガラスも埋もれ、やっと抜けた先にも待ち構えるタンブルウィード…もはや悪夢ですね。
タンブルウィードが原因で火事になる!?
行く手を遮る障害になるだけでも大変なタンブルウィードですが、更に恐ろしい事件を引き起こすこともあります。それは「火災」です。しかしこれは自然火災ではありません。タンブルウィードに悩まされる者が生み出した第2のタンブルウィード被害とも言うべき人災なのです。
駆除目的で火をつけることが原因
自分の家や敷地内に、風によって運ばれてきた無数のタンブルウィードがあったとします。手っ取り早く、かつできるだけお金や労力を使わずに撤去するには、あなたならどうしますか?「思いきって燃やす」という選択肢が思い浮かんだ人は少なからずいらっしゃるでしょう。
現地では、その選択肢を選んだがゆえに思わぬところで火事が起きてしまう事件が後を絶ちません。着火されたタンブルウィードがその場で大人しく燃えてくれるならば問題はないのですが、火を纏ったまま再び風に乗り旅立ってしまうケースもあるのです。
落下地点で発火
風に運ばれる火の玉と化したタンブルウィードがそのまま着地したらどうなるか、まさに火を見るよりも明らかです。不幸が重なってしまえば、悪意なく人命を奪いかねない危険な手段「放火による駆除」ですが、そうでもしなければ最低限の生活もままならない難しい問題を抱えているのです。
タンブルウィードを駆除しようとする試み
驚異的な生命力と丈夫さで、着々と数を増やしつつあるタンブルウィードたち。しかし、増えすぎてしまったものは時として災害になりかねません。そんなタンブルウィードの脅威から生活を守るため、あらゆる国や機関が立ち上がり打開策を練っています。
ダニや菌類を持ち込む
タンブルウィードの増殖を食い止めるべく、アメリカの科学者達は立ち上がりました。ロシア・ウズベキスタン・トルコなど各国研究者の協力のもと、最も実現に近い方法をついに見つけます。それは、タンブルウィードの元々の自生地に生息しているダニ、ゾウムシ、蛾や菌類などを持ちこむというものです。
人為的であったにせよ偶然であったにせよ、外国から持ち込まれたものは外国のもので決着をつけようという訳です。タンブルウィードを餌として食べる彼ら微生物の力を借りれば、根絶やしとまではいかずとも許容の範囲内に数を減らすことが出来るかも知れません。
アメリカ政府は許可していない
画期的なように思える「ダニ・菌類による駆逐」を、なぜ今すぐにでも実行しないのでしょうか?それは、肝心の国のトップが許可していないからです。外来種のタンブルウィードを駆除するために外来種のダニたちが持ち込まれるという事は、つまり新たな外来種が増えるという事です。
日本でも、外来種のブラックバスが放流されたことにより在来種の生物が危機に瀕しているというニュースを見聞きしますよね。それと同じことを、アメリカ政府は危惧しているのです。とはいえこれ以上タンブルウィードを増やす訳にもいかず、板挟みな頭の痛い問題であります。
ちなみにブラックバスですが、生態系を脅かす存在として警戒されている一方、バス釣として釣り愛好者に人気を博しているのも事実です。またバスを使った絶品料理や、はたまた飼育まで様々な楽しみ方があります。タンブルウィードもいつか、人々を楽しませる存在になると良いですね。
人間を脅かす植物は他にもあった!
大量の植物によるバイオハザードは、形は違えど私達の身近に溢れています。タンブルウィードが物理的な襲撃をしかけてくるのだとすれば、それらはナノレベルの世界で私達に牙をむくのです。それは「花粉症」。今や国民の3人に1人が何かしらのアレルギーを持っている時代、他人事ではありません。
有病率は年々増加・低年齢化
毎年、春になると桜の開花情報とともに嫌でも目にする花粉の飛散情報。日本だけでも50種類近く原因花粉が存在し、代表的なスギ・ヒノキに始まり、シラカンバ・ブナ・ハンノキ・ケヤキ・コナラ・ブタクサ・ヨモギと多種多様です。したがって春夏秋冬、一年中花粉の中で生活せざるを得ません。
「今年は例年に比べ多くの花粉が…」などの情報も耳にタコが出来るほど聞きますね。その言葉が示す通り、増加の一方を辿る花粉の飛散量は罹患者の低年齢化をも招いています。昔は30代~40代に多かった花粉症が、今や10代以下の子供にも3人に1人が花粉症という実態です。
いつか自分も…花粉症!?
花粉症になるかならないかは人それぞれです。一生罹らない人もいれば、昔は平気だったのに急に花粉症になった人もいます。多くの症状は目の充血、痒み、涙や鼻水、くしゃみなど風に似たようなもの。しかし場合によっては花粉性皮膚炎やアナフィラキシーショックを引き起こす場合もあります。
たかが花粉、自分は大丈夫などと驕らず、いつか自分もなり得るという意識を持ち、規則正しい生活で免疫力の向上を心がけましょう。また、日本だけでなく世界各国に花粉症の引き金となる植物は存在します。どこへいこうと逃げ場がない花粉、逃げ場を塞ぐタンブルウィード…一体どちらがマシなのでしょうか。
タンブルウィードが転がる姿ってかわいい!
とはいえ、まんまるフォルムでコロコロと転がる姿は、なんとも愛嬌がありますね。西部劇の緊迫したシーンでもすっかりレギュラーとなったあのコロコロを、無闇に駆除してしまうのは勿体無い気もしてしまいます。被害を被っている方々からすれば、親の仇に等しい厄介者だとしても。
見てる側は面白い!
ペットのわんちゃん・ネコちゃんから採取した毛で作った毛玉ボールのようなポンポンが、ふわふわと道を行き家を埋め尽くす…不謹慎、対岸の火事とは知りつつも、可愛いものが大好きな日本人にとってこの光景はとてもキュートに見えてしまいますね。
タンブルウィードは日本でも発生している?
アメリカで大量発生しているタンブルウィード、もしや私達が住む日本にも魔の手を伸ばしているのでは?と不安になった方もいらっしゃることでしょう。西洋タンポポにしろブラックバスにしろ、日本にも外来種が持ち込まれ帰化している事例は多数存在します。さて、タンブルウィードはどうなのでしょう?
日本国内では発生や栽培されていない
結論から言うと、日本でタンブルウィードは日本で発生や栽培はされていません。距離的に言えばアメリカよりもロシアに近いというのに、なんとも不思議ですね。ともあれ、あの硬くてトゲトゲした大量のボールが日本にやって来る日がこれからも来ない事を願います。
タンブルウィードは厄介だけどかわいいやつ
いかがでしたか?迷惑この上ないタンブルウィードですが、実際に目にしてしまえば面白いものです。ちょっと小汚い大きなケサラン・パサランが大量に転がっているとでも思えば、少しは愛着もわくのではないでしょうか。今度西部劇を鑑賞される時は、ぜひこのコロコロに注目してみて下さいね!
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