そもそもの話、可食部がとても少ないのです。
ウニであれば我々は黄色くクリーミーな部分(生殖巣)を食しますが、スカシカシパンはごく少量しか有しておらず、その上あの丸い殻も大変に硬いため取り出すだけで一苦労なのです。この時点でかなりの人が嫌がられるかと思います。
独特の苦みがあるため食用には向かない
苦労して取り出してみたものの、その見た目は黒くグロテスクでまったく食欲をそそらず、味はなんともいえない苦味を含み、その上物凄い悪臭を放つとあってとても食用には向きません。
ただ毒性はないのでチャレンジしてみたい方がいたら…自己責任でどうぞ。
Contents
スカシカシパンは飼育できる?
食べたいとはもう言わない、それでも飼ってみたい!家の水槽にいてほしい!と考える方もきっといるでしょう。
では次からは、スカシカシパンは飼育に適した生物なのか?という点を解説します。スカシカシパンの魅力に取りつかれた方、必見です。
水槽で飼育可能
採取や飼育にこれといった規制はなく、浅瀬に生息しているとあって採取も簡単です。
難点があるとしたら餌の問題で、デトリタス(魚の排せつ物や微生物の死骸)を用意するのに手間がかかることです。一緒に魚やヤドカリなどを飼育して、餌は彼らに任せるという手段もあります。
主な利用法は肥料
ですが、実際の頃飼育している愛好家は少なく、それよりも殻に含まれているカルシウムを活用して、肥料になることのほうがずっと多いのです。
海の生き物であるスカシカシパンが陸の土を豊かにしてくれる様は、まさに生態系の縮図です。
スカシカシパンの殻はインテリアに人気
これはスカシカシパンの貝殻です。陶器のようななめらかなミルク色に、花のような模様がとても可憐ですね。
また軽くて丈夫、大きさも幅広いおかげで、実はインテリアやハンドメイド素材として人気が高いのです。
殻の模様が人気
なんといってもこの花模様が人気の秘訣です。
海の生き物の涼やかさと地上の花の愛らしさ、どちらも持ち合わせているスカシカシパンは、特に女性から人気のあるアイテムです。正体を知らないまま、浜辺に落ちていた貝殻を拾ってずっと飾っていたという人もいます。
インテリア雑貨に
こうしてインテリアとして取り入れると、まるで窓辺からビーチが見えるかのような涼やかな空間が生まれます。
またモチーフとしてピアスやペンダントになることもあり、おしゃれなアイテムとして実は身近なところで愛される存在なのです。
スカシカシパンを見たければ水族館へ行こう!
スカシカシパンは夜行性で昼間は砂地に潜っているため、生きたものを見つけるのは少し難しいかもしれません。
彼らをじっくり観察してみたいなら、ぴったりなのは水族館です。なんといってもプロの飼育員さんがいる環境ですので、気になることがあれば積極的に質問してみましょう。
新江ノ島水族館
神奈川県の新江ノ島水族館は、浅瀬の生き物を水槽コーナーに置いていて、スカシカシパンはそこにいます。
ですが生き物のため、絶対にいつもいるとは限らないので、心配であれば事前に連絡してみるとよいでしょう。告知されていないだけで地元の水族館にいるかもしれないので、こちらも問い合わせをおすすめします。
最初に食べた人は勇気がある…?個性的な海の生き物
スカシカシパン以外にも、海の世界には個性的な生物がたくさんいます。
その中から、特に独特なビジュアルで、そして…おいしい料理としても知られている生き物たちをご紹介します。調理前を見てしまうとちょっと怯みますが、どれも味は保証付きです。
ヌタウナギ
棒アナゴとも呼ばれる深海生物です。鰻に似ているからこのような名前ですが実はウナギの仲間ではありません。
刺激すると粘性の強い体液を分泌します。干してからしょうゆダレにつけてあぶり焼きにすると、プリプリとした歯ごたえがとても美味で、唐揚げもにしてもおいしいと評判です。
ヌタウナギについて詳細を知りたい方はこちらをどうぞ。
ホヤ
海のパイナップルとも呼ばれるホヤ、鮮やかな見た目と独特な磯の香りに驚きますが、新鮮なものはお刺身にできるぐらい食べやすいのです。
その他蒸し料理、バター焼き、パスタの具材とされることもあります。旬は春から夏にかけて、東北や北海道でよく見る食材です。
ユムシ
釣り餌としてご存じの方もいるかもしれませんが、実は立派な食材です。韓国や中国で食べられているユムシは、北海道石狩市ではルッツと呼ばれており、年に数度しかとれない貴重な御馳走なのです。
塩辛、しゃぶしゃぶ、炒めものなど、様々な調理法で親しまれています。詳細を知りたい方はこちらをどうぞ。
小松屋本店
見慣れない食べ物はちょっと勇気が…と躊躇されている方向けにはこちらをご紹介。
虫?!いいえ、これはスイーツです。こちらのお店は本物と見紛うようなデコケーキを制作していて、特に虫デザインのものは全国的にも有名です。注文次第で多様なデザインに対応してくれます。もちろん味もおいしいですよ。
ちょっと変わったおもしろ水族館
日本に水族館は数あれど、その中でもちょっと個性的な生き物にスポットをあてた水族館があります。
花形はイルカやペンギンばかりじゃない!海の生き物はこんなにも幅広い!水族館の新しい魅力に取りつかれること間違いなしです。
鶴岡市立加茂水族館
メイン展示はなんといってもクラゲです。とっておきは数千匹のミズクラゲが泳いでいる巨大水槽です。
羽衣のような淡いクラゲが悠然と浮かぶ美しさは、見ている者に時間を忘れさせます。なお売店にクラゲソフトが販売されていることでも有名です。
沼津港深海水族館
こちらも珍しい深海生物に特化した水族館です。あの生きた化石・シーラカンスやダイオウグソムシがいることでも有名です。
深海生物は捕獲や飼育がとても難しいため、これほどの種類を生きたまま観察できるのも日本ではここぐらいです。特にメンダコが愛らしく人気の展示です。
気仙沼氷の水族館
水族館なのに水がない、あるのは一面の氷の世界です。気仙沼で揚がった魚を氷の中に展示しています。
氷上にプロジェクションマッピングを行ったり、アーティストによる氷の彫像なども展示されています。館内は-20℃という極寒ですが、うれしいことに防寒着の無料貸し出しがあります。
スカシカシパンは目で見て楽しもう!
スカシカシパンは食べることも飼うこともあまり向いていないということが分かりましたので、このまま海の中で愛で続けるのが一番なのでしょう。
時々貝殻を拾って飾ったり、名前を口にして楽しい気分になったり、そんな程度の距離感が、私たち人間とスカシカシパンにはちょうどいいものなのです。
ヌタウナギに関する記事はこちら
ユムシに関するの記事はこちら