永野一男の生い立ちと凄惨な最期|豊田商事会長殺人事件の概要やその後も

今から34年前に起きた、取材中のテレビカメラで殺害の一部始終が報道されるという前代未聞の凄惨な結末をむかえ、且、被害者数約2万7000人、被害総額は約2,000億円というこの史上最悪の巨額詐欺事件をもう一度振り返り、現代に残したものを考えてみたいと思います。

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現代詐欺商法にも通じる巧妙なやり口

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豊田商事は最盛期に従業員7500人、全国に約60店舗を擁し、現物まがいの商法でお金をだましとる詐欺会社だった。この巨大詐欺グループの実態を調べていくと、例えば、異常に高揚した雰囲気の中で大声で叫ぶ社員や、「絶対に契約できるコツを教授する」と熱弁をふるう社員の姿が浮かび上がり、ウソと巧妙な話術を駆使する社員教育用のビデオの存在も明らかになったのです。

「クーリング・オフ制度」誕生のきっかけ

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この詐欺商法は社会的にも大問題となり、専用の相談窓口が設置されるほどでしたが、この詐欺事件が、新たに消費者保護を目的とした制度を生み出すことになります。いわゆる「クーリング・オフ制度」である。ご存知のように、「契約時点から一定の期間内であれば、消費者が契約を解除できる」ことが可能となり、一般消費者の間に浸透していくきっかけとなりました。

これまでは法律がなく、一度契約を結ばされると、トラブルが起きても基本的には泣き寝入りということでしたが、この後は、結んだ契約が気に入らないとか嫌になったという理由でも契約を解除できるようになりました。この点は、豊田商事詐欺商法事件が生んだ唯一の賜物と言えるでしょう。

ク-リング・オフとは?

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消費者が、不意の訪問販売業者等との間でうっかり購入契約を結んだとしても、その後冷静に考え直す期間を与え、一定期間内なら理由の如何によらず、契約を解除できるという制度です。この一定期間とは、通常、8日~20日間となります。

但しすべての契約がク-リング・オフの対象となるわけではないので注意が必要です。例えば、営業店舗に出向いて商品を買った場合や通信販売で自ら申し込んで商品を買った場合などは、消費者保護の必要がないとみなされクーリングオフができないことになっています。

益々進化増大する現代詐欺商法への警鐘に

豊田商事詐欺事件から34年経った現在でも詐欺事件はなくなっていません。それどころか、「オレオレ詐欺」など増加傾向にあります。やり口も益々グロ-バル化し、教育マニュアルや組織体制も巧妙さを増しています。

進化する詐欺の手口と騙されぬ心得

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悪徳商法や詐欺手口は時代と共に日々進化しています。「オレオレ詐欺」がこれほどニュ-スで騒がれても一向に被害件数が減る気配はありません。又、電子メ-ルで覚えのない請求書が送られてきたり、心当たりのないWebサイトの利用料を請求されたりとネット関連詐欺被害が増加しているのが現代の特徴です。

このような世の中で、自分のことは自分で守るしかありませんが、注意すべき一つ目は「お金の問題で絶対に儲かるという話はない」と疑ってかかること。二つ目は「変だと思ったり不安を感じたらすぐ家族や友人あるいは専門家に相談してみる」ことです。今一度「豊田商事詐欺事件」の教訓を思い起こしてみることも無駄ではないでしょう。

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