タサダイ族とは
タサダイ族とはこの現代社会において原始的な生活を送りながら暮らす部族として20世紀に存在が確認されました。まずはタサダイ族の巨額詐欺事件の紹介の前にタサダイ族が一体どのような部族なのか、その詳細について見ていきたいと思います。
フィリピンのミンダナオ島で発見された原住民族
タサダイ族は現地デファルというハンターによって20世紀半ば頃に発見され、フィリピンのミンダナオ島で原始的な生活様式で暮らす様子が確認されました。その後彼は当時のフィリピンの環境大臣に報告し、調査団が派遣されたことによって正式にその存在が周知されることになりました。
現代文明とは関わりを持たずに洞窟に26人で暮らす
ダサダイ族は非常に原始的な生活を現代でも行っています。というのもこの文明社会においてわずか26人で洞窟で生活し、使用していた道具類も石斧などであり、火を起こすのにも錐を使用しています。
また、普段から食べていたものもカニといった海産物や山芋といったものを食べて暮らしていたようです。この事から狩猟採集による原始的な食べ物の確保をしていたことが分かり、現代社会から隔絶されてこの部族が生きてきたことが分かります。
当初から一部の間ではでっち上げ説があった?
しかしながらダサダイ族に関してはかねてより懐疑的な意見も少なくなく、ダサダイ族がタバコを隠れながら吸っている姿を目撃したといった情報や、調査の結果ダサダイ族の使用する言語の86%はダサダイ族以外の部族の言葉だった事も分かっており、その疑惑は強まっていきました。
タサダイ族は慈愛に満ちた民族
原始的な生活を送っている部族という事で注目の集まったダサダイ族ですが、実はそれ以外にもダサダイ族は慈愛に満ちた一族という点でも学者たちから注目が集まっていました。ここではダサダイ族がなぜ慈愛に満ちた部族だといわれるのかについて見ていきます。
武器や敵、戦争という言葉を知らない
ダサダイ族は愛情表現に富んでいる部族でもあり、なんと彼らの使用している言語の中には戦争などの争いに関連したワードはダサダイ族の言語の中に存在していません。これは現代社会に生きる私たちにとっては非常に特殊な言語体系だと感じます。
愛の部族としてメディアが殺到
これらの言語体系からダサダイ族は争いを好まない愛の部族として注目され、人類学者として知られるローレンス・A・リードをはじめ、ジャーナリストの面々がダサダイ族を取り上げるようになります。
そしてダサダイ族は世界的に有名なドキュメンタリーチャンネルナショナルジオグラフィックの表紙を飾る事になります。これによってダサダイ族を知らなかった一般層にも知られるようになり、ダサダイ族の知名度は世界的なものになりました。
タサダイ族を守るためフィリピン政府が動く
そしてその後タサダイ族達はアメリカやイギリスの報道局によって大々的に報道され、世界的な話題を呼ぶこととなり、タサダイ族たちはその部族としての希少性から政府によって保護されることが決定されました。ここではそのダサダイ族の保護の内容について紹介していきます。
タサダイ族に保護区域を設置を発表
フィリピン政府はダサダイ族の保護の為に保護区域を設置することを決定し、更にその保護区域の範囲はなんとおよそ190㎢にも及ぶ非常に広大な範囲でした。これらの点から、ダサダイ族に対しての政府の対応の厚さが伺えて来ます。それだけ世界から見たダサダイ族の認知度は高かったという事です。
保護をするため世界中から募金
そしてこのダサダイ族の保護区域設定の背景には世界中からの莫大な募金から成り立ったことも知られています。中には著名な人物や政治家も募金に参加しており、この莫大な寄付金によってダサダイ族の保護区域の設置にいたるのです。
しかしフィリピン政府に募金が十分に集まると突然保護区域は立ち入り禁止区域に指定されてしまいます。この保護区域立ち入り禁止の背景には当時フィリピンで起こった内戦が関係しており、そしてここからダサダイ族が政府ぐるみで行ってきた嘘が段々と露わになってくるのです。
ついにタサダイ族の秘密が明らかになる
原始的で慈愛に満ちた部族として世界中から注目の集まっていたダサダイ族ですが、一部ではその存在を疑い層もおり、そしてダサダイ族の保護区域の立ち入り禁止になった理由であるフィリピンでの内戦からこの疑惑は現実的なものになっていきます。ではまずは発端となった内戦についてここで紹介していきます。
フィリピンで内戦が起こる
まずフィリピンで当時勃発していた内戦の火種となったエドゥサ革命についてまず触れていきたいと思います。これは1968年まで続いたフィリピン軍の将校が現政権の体制に対する不満から起こした革命運動で、これにより保護区域の設置に至ったマルコス政権は崩壊し、その後フィリピンでは内戦が続くことになります。
タサダイ族を守るため資金を投入
このようにエドゥサ革命によって引き起こされたフィリピン各地での内戦によってダサダイ族の暮らすミンダナオ島も例外なく戦火にさらされます。そしてダサダイ側を争いから守る為に保護区域を立ち入り禁止区域に指定し、学者たちは莫大な資金を再び投入します。
このような経緯から危険区域に立ち入ることが出来なくなった学者を含めた方々のダサダイ族の調査は打ち切られる事になってしまい、また政府がこれまで保管していたダサダイ族に関する資料も持ち出しすることができなくなってしまいました。
世界を巻き込んだタサダイ族がついていた嘘
内戦によってダサダイ族の調査が打ち切られた後、内戦が終結した1986年に学者たちは再びダサダイ族の暮らす保護区域に足を踏み入れるのですが、そこで見た光景によって、ここからダサダイ族が政府と共に行ってきた嘘が世界中にばれる事になるのです。
内戦後の保護地域は文明社会になっていた
タサダイ族の保護区には原始的な生活を送る部族たちの姿はなく、そこには現代の私たちが使うような道具を当たり前のように使い、上半身裸でのダサダイ族の姿はなく、ジーンズをはき、バイクを運転する部族たちの姿がありました。
また、ダサダイ族は原始的な生活はこの時行っておらず、話している言葉もミンダナオ島の言語を話していました。当たり前のように読み書きを堪能にこなすダサダイ族だと思っていた人たちを見た学者の面々は驚愕の表情を浮かべました。
このダサダイ族のあまりにも変わった姿から学者たちは保護区域に立ち入るまでの間に部族が私たちの文明に染まった姿だと考えたそうですが、しかしながら真実はそうではありませんでした。
そもそもタサダイ族は初めから存在していなかった
真実はダサダイ族という部族は存在しない造り出された部族だという事でした。ミンダナオ島の現地の人々27人がダサダイ族という原始的な生活をし、慈愛の心を重んじる部族を演じ続け、世界中に対して嘘をつき続けていたのです。この衝撃的な真実は世界中を震撼させました。