メキシコサラマンダーとは
ウーパールーパーやアホロートルの別名をもったサンショウウオの一種です。アホロートルとはアステカ時代では崇拝の対象であり神話のショトル神に由来している神秘的な別名をつけられているのです。神々しい生態についてご紹介します。
メキシコの湖に生息
メキシコのソチミルコ湖だけに生息しています。主に水温の低くヨウ素が少ない環境を好みます。灰色の体に黒い斑点があるのが特徴です。
肉食の生物
水の中で動き、自身の口に入るものなら何でも食べる食欲旺盛な肉食です。主にイトミミズや水棲昆虫、魚などを好んで食べています。
体長は平均15センチ
メスよりオスのほうが大きくなり、最大30㎝もの大きさまで成長するものもいます。平均的な大きさは10㎝~25㎝程度です。体重は85gほどです。
突然変異
通常の個体の色は灰色で黒い斑点模様ですが、突然変異で発生した色素が白くなった個体がいます。これをウーパールーパーと呼び1980年代に日本では爆発的な人気となりました。
飼育が簡単
水の中でほぼ一日中過ごすため、熱帯魚のような環境で飼育できます。エサも販売されている人工飼料を与えるだけなので飼育が簡単です。
メキシコサラマンダーの意味
サラマンダーとは、英語で「妖精」を意味します。メキシコの妖精という素敵な名前のついた不思議な生物には、魅力がたくさんあります。特に笑っているような表情からは癒し効果があると過去には大ブームを起こしました。
1980年代に日本で大ブーム
テレビコマーシャルでアルビノのメキシコサラマンダー(ウーパールーパー)が起用され、愛らしい表情と今まで見たことのない姿が視聴者をくぎ付けにし、一躍大人気となったのです。
メキシコサラマンダーの体の色
灰色に黒い斑点模様が主流ですが、他にもカラーバリエーションが豊富です。
- アルビノ:白い体と目も白い
- ソバカス:白い体に顔周りに黒い斑点
- リューシスティック:白い体に目は黒い
アルビノは目の前にエサが合っても見つけにくいほど視力が弱いです。他にもたくさんの特徴があります。
メキシコサラマンダーの特徴
食欲旺盛で限られた湖にしか生息しない生物なのですが、ほかにも変わった特徴を持っているのです。知れば知るほど興味深くなるメキシコサラマンダーの特徴や秘密をご紹介します。
「変態」しない両生類
変態とは生育過程において形を変えて成長する生物のことで、主に蝉やカブトムシといった昆虫に多く見られます。メキシコサラマンダーはこの過程で変化をしない幼体のまま成熟する「幼形成熟」する特別な生物です。
その他の両生類は?
カエルやイモリ、サンショウウオが主な種類です。幼体では水中に住みエラ呼吸です。そして大人である成体になると肺呼吸になり陸地での生活に対応できます。かなにはエラと肺の両方を使いこなす成体も存在します。
皮膚が薄い
両生類の特徴ともいえますが、皮膚は体毛や甲羅などで覆われておらず粘液で保護しています。皮膚が薄いため傷つきやすいのです。この粘液は皮膚の乾燥を防ぐために役立ちます。
寿命が長い
15年ほどと長く生きられます。過去には25年という長寿を全うした個体もいます。ペットとして飼われる代表的な両生類と比較してみましょう。
他の両生類と比較
- イモリ:10年前後(自然界では20年以上生きられるとの説あり)
- カエル:3~5年
このように比べてみるとメキシコサラマンダーが長生きだとわかりますね。
メキシコサラマンダーは絶滅の危機
長生きで丈夫な彼らですが、深刻な危機に面しておりアメリカの研究によるとこのままでは2020年までに絶滅するであろうと公表されています。これには人間が深く関わっているのです。
排水で湖が汚染
綺麗な水で生息する彼らにとって生活排水で湖の水質が汚染されることは、生活環境が悪化することになります。汚染水では順応できず生息数が徐々に減少していきました。
外来種の増加
ティラピアやパーチといった外来魚が持ち込まれ、飼育できなくなったものが湖に放流されてしまったことで次々と食べられてしまい、数が減少してきました。
ティラピアとパーチが影響する問題とは
2種はスズキの仲間で食欲旺盛な雑食です。現在は元々の生態系を守るために発足された法律に伴い、この2種は生きた状態で輸入、運搬が禁止されており、研究用のみ届けを出せば飼育が可能となっている要注意生物なのです。
要注意外来生物として警告
ティラピアやパーチの優れた対応力は食品としての生産目的では喜ばしいものです。ですが自然界ではティラピアが優位となってしまい、他の生態系の乱れが生じ深刻な問題となっています。
食用として捕えられる
アステカ時代では崇拝の対象となっていたことから、神に捧げるための珍味として食されていました。なかには、神々しい存在のために乱獲されていた時代もあり個体数がみるみる少なくなっていきました。
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メキシコの環境汚染が深刻
彼らの故郷であるメキシコは、最も大気汚染が深刻な街なのです。古代では森林を大切にし保護する伝統はありましたが、禁煙は森林を伐採し企業開発が進んでおり大気汚染の問題が深刻化しています。
自動車に乗らない日がある
2016年には大気汚染刑法が発令されるほど問題となっており自動車に乗らない日を設けて問題解決をしょうとの対策も組まれました。急速な発展と共に深刻化する問題ともいえます。
水には強い消毒が必要
メキシコの水はチョコレート色のように茶色の水が蛇口から出てくるほど汚染問題が深刻です。そのために強い消毒を使い殺菌しなければいけないため、蛇口をひねると強い塩素が鼻につく水が出てくるのです。
メキシコサラマンダーの絶滅を防ぐ為の取り組み
私たちの勝手な行動で、彼らの生活場所を狭めてしまっていました。絶滅を防ぎ数を増やしていくために、なにかできることはないでしょうか?愛らしい姿をした彼らをなくさないためにも保護し増やすことが必要です。
飼育して繁殖させる
比較的、簡単に飼育できるので大切に飼育していけば、人間の元で見守ることで環境を整えつつ保護し、繁殖に繋げていくことを目的とします。天敵がいない分、安全で減少させることなく絶滅を防げる方法ではないでしょうか。
繁殖に成功した後が問題
見事繁殖に成功し個体数を増やすことに成功したとしても、自然界に戻してからが問題なのです。環境の改善が見られない生息地に戻したとしても、すぐに個体数は減少するでしょう。
環境を整える必要性
自然界に戻した後に生息する環境も同時進行に整えていく必要性かあるのです。水の浄化はすぐには改善されません。一人でも難しいです。メキシコの人々全員の力が必要なのです。
伝統農法を復活させ生息地を増やす
チナンパ農法という手法は、昔ながらの環境にやさしい農業で沼地に丸太や泥で作成した構造物を浮かばせ、作物を育てる方法です。この方法のメリットは彼らの生息地を自然と生み出すことと、生活排水の浄化ができることです。
伝統を受け継ぐ難しさ
環境に優しく、メキシコサラマンダーにとっても居心地の良い生息地が整うため最適なのですが、難点は受け継ぐ若者がいないという現実です。効率よく農作物を育てる温室や農薬を使用した手法に人気が集まるためです。
絶滅を防ぐには農法の良さを伝える事
チナンパ農法は自然にも彼らにとっても優しい手法ですが、近代の手法よりも除草の作業や害虫対策などの手間時間が数倍かかってきます。ですが手間がかかる分、得られるものが多いということを伝えていき若者農業者に伝えていくことが必要なのです。
メキシコサラマンダーの驚くべき能力
両生類の皮膚は薄く傷つきやすい特徴がありますが、メキシコサラマンダーは凄い能力を秘めているのです。このパワーは人間のための医学研究にも用いられていて、大きな役目を賄っているのです。どんな凄いパワーなのかご紹介します。