長い月日を経て成虫になったオオミズアオですが、その寿命は短くおよそ2週間でその生涯に幕を閉じてしまいます。短命を余儀なくされる大きな理由は、成長にともない口が退化し一切捕食ができなくなるためです。
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オオミズアオ捕食する自然界の敵
産卵数も多く幼虫は食欲旺盛でスクスク育ちます。しかし大ぶりなサイズで見つかりやすいことも含め、自然界における天敵の脅威は免れないのが現実です。ではオオミズアオにとってどういった敵が脅威なのかみていくことにしましょう。
虫を捕食する鳥
あくまで優雅に空を舞うイメージで、飛んでいるスピードはさほど感じないのが蝶や蛾です。目ざとい鳥類にとっては格好のエサとなり、特に虫たちを好んで捕食するカラスやムクドリなどには狙われやすい傾向にあります。
クモ
クモ類の中でも網目状の巣を張ることで捕食対象をとらえる種はオオミズアオの天敵となります。日が落ちると活動を活発にする成虫はまんまと作戦の餌食となり、命を落としてしまうことも珍しくありません。
蜂による寄生
オオミズアオの幼虫に卵を産み付け寄生するという習性を持つコマユバチは、幼虫の体を少しずつエサとしながら成長し、孵化するにあたっては幼虫を食い破って外に出てくるという荒々しい手段を使います。
ハエやダニによる寄生
コマユバチのほかにハエやダニもオオミズアオの幼虫に寄生することがわかっています。終齢期で丸々と太った幼虫の体から無数の米粒のようなウジが湧く光景はかなりグロテスク。何の罪もないオオミズアオにとっては、まさに災難としか言いようがないのです。
オオミズアオの飼育方法や育てるコツなど紹介!
それでは、オオミズアオの飼育にあたってのコツや注意点について解説していきたいと思います。羽化に向けて何をどう準備すればいいのかポイントをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
オオミズアオの幼虫は樹木の葉っぱを食べて育つ
栄養となる樹木の葉をたくさん食べて先に備えるというのがこの種の幼虫のスタンスですが、草木の葉っぱなら何でもよいというのではありません。自然界に近い環境を整える意味では切り取った枝葉より鉢植えの方が適しており、バラ科に属する梅、モミジ、桜、ブナ、カバノキ科の樹木を選ぶようにするとしっかり食べてくれます。
蛹になるために必要!落ち葉を敷き詰めておくこと
市販の飼育ケースはサイズも豊富で、大きな成虫の誕生を迎えるのにも適しています。また緑の幼虫から蛹に代わる段階ではエサとしてではなく蛹になるための準備として落ち葉が必要になってくることにも注意しましょう。底に敷き詰めておけば幼虫は自らの力で葉を集め、いつしか巣ごもりを始めるはずです。
オオミズアオの成虫にエサは不要!
飼育は日々のエサやりが必須だと思われがちですが、成虫となったオオミズアオにはその必要がありません。むしろ成虫となることで口が退化し、物理的に食べる楽しみを失ってしまうのです。美しい姿はいつまでも見ていたいような気分にさせますが、寿命のカウントダウンが始まっていることも含め早めに外へ逃がしてあげる心がけも大切です。
オオミズアオの値段は?どこで手に入れることができる?
では、オオミズアオを手に入れたい場合はどうすればいいのでしょうか?Amazonをはじめとしたネット販売の取り扱い状況や価格、さらにはおすすめの入手方法についてもご紹介したいと思います。
生きているオオミズアオは意外と身近に存在する!
オオミズアオの幼虫が好んで食べる樹木というのは、家庭の庭や環境整備のために植樹されたものなど日常生活に近いところに存在するものです。したがって木の種類を見極める目を持ち発生の時期を知れば、意外と簡単に誰でも生きた状態で手に入れることができるのです。
標本は安価で手に入る?
ネットで生きたオオミズアオを取り扱う例は、現在のところほとんどゼロに近いと思われます。では標本はどうかと言うとこちらはオークションサイトで一匹500円程度からの落札が可能となります。ただ出品数は非常に少なく選択の自由はありません。
オオミズアオとそっくり?オナガミズアオについて紹介!
普段の生活の中でちょっとしたコツをつかめば出会うタイミングも決して少なくないのがオオミズアオという蛾です。しかしこの種と非常に似ていることから混同されやすく、間違った憶測を呼んでしまう近縁種というものも存在しています。
準絶滅危惧種に指定されるオナガミズアオ
同じような時期に発生し、2匹を並べて比較しなければ区別は困難とされるのが「オナガミズアオ」です。しかし種の保存という点に注目すると、オナガミズアオは環境その他の変化によって絶滅の危機が訪れる準絶滅危惧種。似通った姿のオオミズアオを絶滅危惧種とする間違った情報の元ネタこそが、オナガミズアオの存在なのです。
オオミズアオとの違いは?
では、具体的にどういった部分で見分ければいいのでしょうか?以下では、オオミズアオとオナガミズアオの違いについてできるだけ詳しくリストアップしています。思わず遭遇したときにも役立つ内容をご覧ください。
オオミズアオの特徴
- 大きさ :成虫の個体は10㎝以上に成長する大型
- 前翅先端の形状・長さ:雄は細長く伸び、雌はやや丸みがあって短い
- 翅の色 :青緑~黄色のグラデーション
- 翅の模様 :楕円形で小さめ
- 翅の上部の色 :赤紫色
- 触角の色と大きさ :黄土色で大きい
- 静止した様子 :翅を平たく広げて止まる
- 顔のつくり :前面に突き出し尖っている
- 生息域 :広範囲
オナガミズアオの特徴
- 大きさ :成虫でも10㎝に満たない程の小型
- 前翅先端の形状・長さ:下に向かって細く長く伸びている
- 翅の色 :全体に青白くシースルー
- 翅の模様 :くっきりした円形
- 翅の上部の色 :赤褐色と白のツートン
- 触角の色と大きさ :くすんだウグイス色で小さい
- 静止した様子 :前翅をたたんだようにして止まる
- 顔のつくり :全体に丸みがある
- 生息域 :本州のみ
オオミズアオに関連するアイテム
生きた昆虫は苦手でもオオミズアオのキャッチーさには魅力を感じる。そんな人におすすめのグッズをご紹介したいと思います。服装に関しては人と被りたくないという人も参考にしてみてください。
オオミズアオのデザインをプリントしたTシャツ
世の中を見渡してみると、意外にも幅広いカテゴリーで採用されているのがオオミズアオのモチーフです。エンジェルの羽と見せかけて個性を存分に発揮できるTシャツを着こなしてみてはいかがでしょうか。
一部の層に“かわいい”と人気?薄緑色の珍しい蛾・オオミズアオ
暗闇に光る明かりを求めて群がってくる蛾のイメージは、美しいというより不気味な怪しさを放つものです。一方ご紹介したオオミズアオは、蛾のダーティーなイメージを一掃し綺麗で可愛い生き物として多くのファンを虜にしています。普段よりも少しだけ季節の移ろいに気を配り、庭先や街路樹の葉陰を覗いてみてはいかがでしょうか?
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