カトリック教の神父でプロスカイダイバーだったアデリール・アントニオ・デ・カルリさんは2008年、ゴスペルが聞ける休憩所の建設とヘリウムガス入りの風船によるギネス記録への挑戦を目的に飛行しました。入念な準備をしてきた神父でしたが、当日、予想外の風を受けコースから外れて行方が分からなくなってしまいました。
その後、遺体となって発見され、彼は「持ち前の愚かさによって間抜けな死に方をしたり、生殖能力を失った人を、不出来な遺伝子を後世に残さないことにより人類の進化に貢献した」人を表彰するダーウィンアワードという不名誉な賞を死後、受賞することになりました。
逮捕後、罰金約300万円を支払ったクリーニング経営者:ダニエル・ボリア
2015年7月映画「カールじいさんと空飛ぶ家」に影響を受けたダニエル・ボリアは自身の経営するクリーニング店の宣伝を目的に約100個のヘリウムガス入り風船を椅子に取り付けて空中飛行を実施ましたが逮捕されました。その後、行われた裁判で裁判官は「甚だしく愚かな行為だと」男性を批判し罰金約300万円の判決を下しました。
まさにカールおじさんを実現させたジョナサン・トラップ
アメリカのITエンジニアであるジョナサン・トラップはなんととなく風船での空中飛行を成功させたつわものです。彼はこれまでアルプス越えやイギリス海峡横断など前代未聞の伝説を打ち出しています。しかも、鈴木同様、簡単な作りですが周到な準備とサポートがあったのが成功の一因といえます。
雪山だけじゃない!空も飛んだプロスキーヤー:エリック・ロナー
ベースジャンパーとしても知られるプロスキーヤーのエリック・ロナーは子供のころからの夢を叶えるため、90個の風船を取り付けた椅子に乗り空中飛行を行いました。1000mまで上昇した時、突然風船が割れはじめるハプニングに遭いますが、その後、空気銃でわざと風船を割りはじめ上空2400mの高さから飛び降り地上に降り立ちました。
映画の世界では家ごと飛んでる!
映画の世界にも風船を使って空を飛んだおじいちゃんがいます。といってもこのおじさんの場合は椅子やゴンドラではなく、数え切れないほどたくさんの風船を付けた”家”が空を飛びます。最愛の妻を失ったカールおじさんは思い出の詰まった家と偶然、家に入り込んでいた少年ラッセルと共に旅立ちます。
妻が生きている間に叶えてあげられなかった約束を果たすために、開発の煽りを受け立ち退きを迫られている思い出溢れる家を守るため、おじいさんはありったけの風船を付けて伝説の地パラダイス・フォールへ向かう中、カールおじさんは本当の自分を取り戻していきます。
結構いる?!実際に空を飛んでみた人たち
世の中には大空を飛ばないまでも風船を使った飛行実験をしている人や真剣にどうすれば風船で空中飛行ができるか考察した人が多数います。その中には日本人の姿も見られます。彼らはどんな風船を使って、どのような実験をしたのでしょうか。
そもそも風船で空は飛べるの?
一般的な大きさの風船の場合。ヘリウムガスを入れると約5gの浮力があるといわれています。60000g÷5g=12,000個以上必要となります。入手できる一番大きな風船の場合、体積は69420Lになります。ヘリウムは約1.1gの浮力で、風船は2700gなので69420L×1.1g/L-2700g=73662g。約73kgが浮力となり、この風船なら1個で体重60kgの人が浮かぶ計算です。(引用元:株式会社マルサ斎藤ゴム)
人間は本当に風船を使って空を飛ぶことができるのでしょうか。60kgの人間が浮かぶには一般的なサイズの風船で約1200個の風船が必要になり、購入できる最大のサイズでは1個が必要になります。また屋外での実験には安全確保の面から係留するロープや重しなどが必須となり、また屋内外関わらず知識を持ったサポートが必要になります。
あのでんじろう先生も実験
テレビでもおなじみの米村でんじろう先生も室内でではありますが、ハーネスに巨大風船6個を取り付けて飛べるかという実験をしています。結果は風船の数が少なくて浮力が足らなかったため、完全に浮くということはありませんでしたがきちんとした知識があれば実験が可能ということを示してくれました。
風船おじさんの無謀な冒険!ついにファンタジー号事件が発生
1992年11月23日、この日はあくまでもロープを繋いだ状態での上昇試験が目的でした。その場には密着取材していたテレビ局取材班、電話で呼び出された新聞社と同志社大学教授の三浦教授と学生7人、そして支援者の姿がありました。
一度は地上に戻る鈴木でしたが「行ってきます」と挨拶をすると繋ぎ止めていたロープを外し、周りの制止を振り切ってアメリカへ飛び立ってしまいます。周囲にはあくまでも上昇試験と言っていた鈴木でしたが、家族には計画を実行・成功すればマスコミが押しかけるからとホテルに避難するようにと話していました。
琵琶湖湖畔から出発
アメリカの鳴き砂の保護を訴えるのが目的で、同じく鳴き砂で有名な鳥取県琴ヶ浜を出発地として交渉していましたが、4月に行った不時着騒動が原因で日米のどちらからも許可が取れなかったことから、急遽、出発地を琵琶湖湖畔に変更することになりました。