松岡伸矢くん失踪事件
1989年3月7日、茨城県牛久市在住の松岡正伸さんの長男:伸矢くんが祖母(母方)の葬儀後、滞在先の徳島県貞光町の親せき宅から忽然と姿を消しました。大がかりな捜索が行われましたが発見には繋がらず今も捜査が続いています。
僅か40秒間の間に消えた事件
1989年3月7日午前8時、松岡さん家族が滞在していた徳島県貞光町の親せき宅で事件は起こりました。正伸さんは朝食前に伸矢くんと次男を連れて10分ほど散歩に出かけます。帰宅後、まだ散歩が足らなかった伸矢くんを玄関前に残し、弟を圭子さんに預けて戻ると伸矢くんの姿が消えていました。時間にして僅か20~40秒の間でした。
現場の親せき宅周辺に民家はなく、林道の終着地点近くで人の出入りはほとんどありません。家から100m離れた畑にいた人は不審な人や車をなかったと証言しており、付近に交通事故の形跡もないことから警察は事件性はないと判断、徹底的な周辺捜索へと切り替えました。
謎の「ナカハラマリコの母」からの電話
9日後、親せき宅に長女と同じ幼稚園に通う「ナカハラマリコの母」と名乗る女性から1本の電話が入ります。女性は「見舞金を集めたので、いつごろ帰ってくるのか」と聞いてきました。後の調べでそのような園児はおらず、見舞金を集めた事実もありませんでした。
女性は特徴のある徳島弁を話し、親せき宅の電話番号や幼稚園名を口にしていたことから、松岡さん家族を良く知る人物よるものとみられています。また警察から渡されたテープレコーダーは女性の声だけが不自然に消去されていました。
伸矢くんは年齢からは想像できないほどのしっかり者で氏名・年齢のほか、家族全員の名前、住所なども言うことができました。伸矢くん自身が通園先を話したとも考えられますが、親せき宅の電話番号まで覚えるのは難しいと、身近な人物からと思われています。
松岡伸矢くんの家族構成
一家は父:正伸さんを筆頭に母:圭子さん、姉、伸也くん、弟の5人家族でした。茨城県牛久市に家を構え、正伸さんはそれまでソフトウェア技師として働いていた会社を辞め、子供たちとの時間を大切にするため外資系のコンピューター会社へ転職しています。
その後、事件の影響もあり勤めいていた会社を退職。目撃情報があれば実際に情報提供者と会って話を聞くなど捜査に集中できるようにと自営業に転向、残された家族と共に伸矢くんの帰りを待ち続けました。
当日の状況と捜査体制
伸矢くんを捜しに家族・親せきらと地元住民が近所をあたりますが見つけられず午前10時ごろ通報します。親せき宅が山あいにあったため山に迷い込んだのではと大がかりな捜索活動が行われました。
大規模な捜索活動
発生時、周辺捜索には貞光署署員をはじめ、県警機動隊、消防署員、消防団などおよそ200人以上が動員されました。様々な状況からすぐに見つかると思われていましたが、予想は外れ未解決事件となってしまいます。2009年7月、同じく幼い子が姿を消す事件が起こっています。こちらの事件に興味がある方はこちらの記事もごらんください。
松岡伸矢くんの全国での目撃談!不審者情報も!?
失踪後、自宅の電話番号を公開したことで徳島県をはじめ全国各地から目撃情報が寄せられました。有力な情報も寄せられましたが心無い人たちからの悪戯電話や冷やかしも多く、ご家族のご心労が伺えます。
そんな中、両親は有力な情報を受けると実際に目撃者とコンタクトを取り、話を聞いてきました。目撃情報は一般的に事件発生直後は比較的多く寄せられますが、時間の経過とともに記憶も曖昧になったりとの理由で減っていってしまいます。
海辺で見かけた少年
翌月、徳島県の弁天浜で伸矢くんにそっくりな少年が男性に抱えられながら海の方を眺めてたとの目撃情報が寄せられた。2人は親子関係に見えず、海を眺めている間、会話らしい会話をしていることろも見られませんでした。
目撃者は圭子さんの親友の知り合いで徳島県育ちで県内で起こった今回の事件も当初から知っていました。少年の顔を確認しようしますが一緒にいた男性が隠すように白い車に乗せて、その場を後にしてしまいました。
数々の目撃談
- 山形県米沢市のデパート
米沢市にあるデパートの前でそっくりな男の子を見かけたと情報を受け、正伸さんは米沢市に赴き、デパート前でビラ配りの最中「上杉公園で見かけた」との情報を得ましたが進展には繋がりませんでした。
- 四国八十八カ所霊場第二十一番「大龍寺」
白装束姿の男の子を連れた男女2人組を目撃。子供の両親にしては年の差があうように見えた。この情報を受け圭子さんは霊場第八十八番「大窪寺」と第八十七番「長尾寺」の前で三人を待ち続けたが現れることはありませんでした。
- 横浜の地下鉄
帰宅中の女性がそっくりな男の子を目撃。目撃者の隣に座り、身なりはよくなかったようです。手首の包帯から傷が見えて心配になった女性は電話番号を渡しています。その後、1度だけ電話がかかって来たそうですが、手掛かりは掴めませんでした。
- レンタルビデオ店
そっくりな男の子が映画のポストカードを買いに来店。前述の子と同じく手首に傷があったようです。ヤクザ風の男性に見張られているようで、商品を男性に確かめて会計を済ませています。気になった従業員はすぐに店長に報告し、2人を探しに走りますが見失い警察に通報しています。
捜査のずさんさが見えた警察のミス
早い時期に有力な目撃情報が正伸さんの元に入ります。正伸さんは目撃者と直コンタクトを取り、徳島県警に人物の特定を依頼しますが、県警からの連絡が来ませんでした。確認の連絡を入れると担当者は「親族に不幸があって・・・」と特定には至りませんでした。
このことから捜査体制のずさんさが浮き彫りになり、伸矢くん発見への貴重な目撃情報を逃すという重大なミスにつながってしまいました。誰にでも起こる身内の不幸は誰も責められません。ですが、警察の連携が整っていればと思うと悔やまれてなりません。
松岡伸矢くんは和田竜人さん(自称)?「緊急!公開大捜索 ‘18春」で調査
行方が分からなって約29年後の2018年。事件は急展開を迎えます。記憶喪失により身元不明になってしまった和田竜人(自称)さんがテレビ出演した際、伸矢くんの幼い頃にそっくりだったことから本人ではないかと瞬く間に話題になりました。
和田竜人さん(自称)は記憶喪失だった!
和田さんはこれまでに2度の記憶喪失を経験しています。後に父親と判明する男性の情報によると2013年、和田さんは三重県三重郡川越町で行方が分からなくなり、同年、記憶喪失の状態で発見され身元判明後、医師の治療により記憶回復をすることができました。
そして2016年4月、再び行方不明になり、翌月、愛知県弥富市にあるショッピングモールのトイレ内で意識不明の状態で発見保護されます。この時、所持品は何もなく、2回目の記憶喪失をしていたことから詳しい身元が分からず唯一分かっていたのは、その時名乗っていた「アイダリュウト」という名前だけでした。
解離性遁走の可能性も
「遁走(とんそう)とは」住み慣れた住居や職場から遠く離れたところへ行き、名前や家族、職業といった重要事項を思い出せなくなることを言います。解離性遁走は解離性忘却のすべての病像を備えている人が意図的に家や職場から離れて放浪します。2、3日で終わることがほとんどですが、時に長期にわたります。(引用元:ハートクリニック)
つまり和田さんは強いストレスや心的外傷の原因になった出来事などの記憶を失った状態に加え、辛い現状から逃げ出したい一心から逃走してしまったと考えられます。この解離性遁走は過去に心的外傷となる重大な経験に加え、恐怖や暴力的衝動と戦っていることが挙げられています。
17年間「おじさん」に育てられた
和田さんは4歳から21歳までの約17年間、見知らぬ男性「おじさん」と生活をしていました。彼は暴力など振るうことはありませんでしたが、出掛けることは出来ず、彼に連れて行かれた歯科医院で2人の関係に疑問を持ちます。その後、財布から少しづつお金を抜き貯金。隙を突いて逃げ出すことに成功しました。
家の表札には「和田」とありましたが素性は分からず、いつもパソコンの前にいて画面には折れ線グラフのようなものが見えたと証言していることからデイトレーダーの可能性も考えられました。また風貌はとある大物歌手に似ていたそうです。
きっかけはとある投稿だった
番組放送中にあるつぶやきで2人が同一人物ではないかと話題に上がります。その投稿者は以前、そっくりな子が通院していた歯科医院の歯科助手で、いつも連れてくる男性が保険証を忘れていたことから覚えていたそうです。さらに投稿者は今までの目撃情報と同じく「傷跡」の事を頻りに言っており有力な情報と思われました。
しかし、のちに投稿者のアカウントが削除されてしまいます。さらに一部、ユーザーの中では投稿者が別の事件での被害者家族への激しい誹謗中傷をしていたことを指摘する声もあり、投稿内容の信ぴょう性も低くなっていきました。
父:正伸さんと和田竜人さんのDNA鑑定結果は?
- 年齢が近い
- 顔の造りが非常に似ている
- 正伸さんさんと似ている
これらの状況を踏まえ徳島県警は2人が同一人物か判断するために正伸さんの協力の元、DNA鑑定を実施ました。このDNA鑑定を実現させたのはSNSなどで大きく取り上げらえ世間的な関心も高かったこともあり警察も動かざる終えませんでした。
注目を集めた結果は正伸さんと和田竜人さんに親子関係はないという残念なものでした。DNA以外にも利き手が違うなどの身体的な面でも違いがありました。待ちに待った発見という希望の光が見えかけただけに、ご家族だけでなく多くの人たちが肩を落とす結果になりました。
結果を受け、正伸さんは自身のSNS上で今回の結果は親の勘としてある程度予測できていたこと、和田さんの身元が無事判明すること、事件を取り上げてくれたこと、関心を持ってくれたことへの感謝の気持ちも述べられています。
和田竜人さんと「キタザワヒサシ」は同一人物?
時を同じくテレビ局には和田さんの父親と名乗る男性から連絡が入りました。そして彼は三重県在住の「キタザワヒサシ」さんだとわかりました。また北澤さん似た男性が以前、日本テレビのミヤネ屋にAKBマニアとしてインタビューを受けたいた可能性があり、身元不明を演じたやらせの可能性も疑われました。