あらゆる食材を風味アップ!燻製の基礎知識
もともとは保存食でしたが、旨味を凝縮させることでより美味しく食べられます。さまざまな食材でアレンジすることができ、香りを変えることで味わい豊かな楽しみができます。まずは燻製の基礎知識からご紹介しいていきます。
燻製は冷燻・温燻・熱燻の3種類
燻製を作るには、スモーカーと言われる熱煙を閉じ込めていぶす道具、スモークチップのような燻煙材、あとは電熱器とシンプルです。加熱温度によって燻製方法が異なり、温度が高い手法から順に熱燻、温燻、冷燻と並びます。
燻製に掛かる時間
- 熱燻:80℃以上の環境でいぶします。燻製に掛かる時間は10~60分と一番簡単な方法です。
- 温燻:最も一般的な方法で、30~60℃でいぶします。ベーコンやスモークジャーキーはこの手法です。
- 冷燻:15~30度の低温でいぶすため温度調整が難しい方法です。生ハムやスモークサーモンが作られる手法です。
燻製の基本的な作り方
道具もシンプルですが作り方もシンプルです。
- まずは、材料を塩漬けすることから始めます。塩漬けが基本ですがピックル液やソミュール液に漬け込むアレンジ法もあります。
- 塩分量を調整しながら、日の当たらない風通しが良い場所で乾燥させます。
- スモーカーに入れていぶします。
- 出来上がったら味と香りを十分に馴染ませます。
美味しく仕上げるためのワンポイント
食材の美味しさをより引き出すためには、少しの工夫がポイントです。塩漬けする前に肉類は、繊維質やスジをカットしフォークを使って肉全体を刺して下準備しておきましょう。
食材本体の美味しさを保つために
塩漬けして放置するときは空気に触れないように密封した袋に入れて味を染み込ませると酸化を防ぎ、食材本来の美味しさを味わうことができます。目安は1~3日漬け込むと保存期間が長くなります。
塩分量の調整方法
塩漬けが終わったら、塩分調整をします。水に浸して余分な塩気を流すのですが、約1時間程度でちょうど良い塩加減になります。ですが季節や保管状況によって味加減は変化するので、食材の端を少し切ってフライパンで火を通して味見をしてみましょう。
味が濃い場合は、再度水に浸して塩出しをします。
燻製調理をするときの注意点
スモークで香りをつける調理法なので、煙が出ます。キャンプ場で楽しむ調理が一般的でしたが近年は自宅でも楽しめるメジャーな調理法となりました。
煙に注意
自宅で調理するときは、換気扇を必ずつけて行いましょう。火災警報器が完備されている住宅が多くなっているので、煙を喚起しましょう。
香りに注意
喚気をしっかり行っていても調理すると自分の体にも香りが少なからずつきます。外出する予定のあるときは調理を控えたほうが良いでしょう。
燻製の歴史
煙でいぶす方法は、古くから伝わる伝統ある調理法です。長期保存と害虫ろ寄せ付けないようにすることが目的でした。古代の人々は火をおこせることを学習し狩りをし、そしてその肉を調理することも習得してきました。
貴重な食糧を効率よく保存するために生まれたのが燻製なのです。
燻製の始まり
遥か遠い昔である石器時代に燻製保存に近い方法が生まれました。石器時代とは石を加工して武器や斧などを作っていた時代です。硬くて強力な武器を作れるようになったため、より多くの狩りができるようになったことでしょう。
貴重であった肉を、長期保存することで人々は飢えをしのぎ、生活していたのです。
石器時代では肉を乾燥させただけの保存法
この時代ではチップのような香りをつける保存法ではなく、肉や魚を天日干しにして水分を少なくし長期保存をしていたとされています。
たまたま発見
炎から出ていた煙がたまたま食材にあたり、その部分には害虫がつかなかったことから煙でいぶす方法が生まれたのです。ただ今のような深みのある味わいはなく、煙い臭いがついただけの保存法だったようです。
現代のような燻製が生まれたのはいつの時代でしょうか?
現代の燻製が生まれたのは2000年前
諸説では、ローマ時代のゲルマン民族が燻製の原型を作ったとされています。ゲルマン民族は塩漬けすることで食材を長期保存する方法を得ていました。
ヨーロッパで誕生
ヨーロッパ地方では、ローマ時代にスパイスを使った保存法が大流行しました。古代に発見された煙の害虫予防法と、ゲルマン民族が愛用していた塩漬け法にスパイスを加えて、アレンジを繰り返したことが現代の燻製が誕生したと言われています。
さまざまな文化が融合した調理法
燻製はただ一つの国から生まれた調理方法ではなく、各国の人々が生活しながら得た調理法でした。昔の人々のアイディアによって今の深みが味わえているのです。昔の人の知恵は素晴らしいですね。
燻製の味と風味の決め手は「チップ」も重要
燻製はチップによって香りや風味が異なるため、美味しく仕上げるための重要ポイントとなります。燻製作りの必需品となるチップには、どんな種類があって特徴があるのかをご紹介します。
スモークチップとスモークウッドの違い
大まかに分けると2種類のチップがあります。スモークチップは木を細かくチップ状にしたもので、スモークウッドは木を粉状い細かくした後に棒の形に形成したものです。
スモークチップとスモークウッドの種類
チップでも、さまざまな木から作られ香りが異なります。スタンダートなものから上級編チップまで種類は豊富です。そんな中からチップのおすすめと、適した食材を一緒にご紹介します。
スモークチップのおすすめ9点
- サクラ【おすすめ食材:肉類】
日本で最もメジャーなチップで非常に香りが強いことが特徴です。販売数も多く手に入りやすいです。よく口にしている燻製商品はサクラチップで作られていることが多いです。
- りんご【おすすめ食材:魚介類】
ほのかにりんごの甘い香りが漂います。豚肉も合いますが魚介類の方が生臭さを消してくれるため相性抜群です。
- ブレンドチップ【おすすめ食材:肉類】
販売メーカーによってブレンドされている種類が異なりますが、スタンダードな燻製向きでクセは少ないです。燻製作りに慣れてきたら自分でセレクトしながらブレンドしていくのも楽しみの一つです。
- ブナ【おすすめ食材:肉類】
欧州でスタンダートになっているチップで、ハムやウインナー、ベーコンに使用されています。
- ヒノキ【おすすめ食材:肉類、チーズ】
香りが大変強いので、短時間の燻製でもばっちり香りがつきます。スモークチーズとの相性抜群です。
- ヒッコリー【おすすめ食材:肉類、サーモン、チーズ】
ピーカンナッツが実る木で、アメリカではメジャーなスモーク材です。香りは個性的ですがオールジャンルに使える万能チップです。
- ナラ【おすすめの食材:淡白な魚】
しいたけの原木として使われている木です。癖は少なく色が綺麗に付くことが特商です。優しい香りなので子供も食べられる燻製が作れるおすすめのチップです。
- メープル【おすすめの食材:魚】
メープルシロップでお馴染みの木で甘い香りが特徴的です。冷めたときの香りが強く出るため、出来立てよりも時間を置いたほうがおいしく味わえます。
- ウイスキーオーク【おすすめの食材:魚、チーズ、野菜】
ウイスキーを保存する樽を削って作ったチップなので、ウイスキーの芳醇な香りがつきます。調理中もウイスキーの香りが漂うので、お酒好きにはたまらない至福の時間となるでしょう。
上級編チップ3点
- 藁【おすすめ食材:カツオ】
炙りながらいぶすので難易度が高いです。カツオの旬の時期に食べるカツオの叩きは抜群です。
- 木の実【おすすめ食材:豚肉】
海外ではどんぐりをチップにしてイベリコ豚の生ハムを作ります。木の実の殻ごとチップとして使うので渋みが出るのが特徴で豚肉と相性が良いです。
- コーヒー豆【おすすめ食材:チーズ】
キッチンで即効燻製ができる材料です。香りが弱いので家の中でも燻製作りができます。
スモークチップの使い方を詳しく知りたい方は、こちらも良かったらご覧ください
香りや色をしっかりつけたいとき
キッチンで即効燻製のように香りが弱くて、しっかり香りをつけて大人の味わいを楽しみたい場合は、ワインやウイスキーなどのお酒をチップに加えます。しっかりと色を付けたいときは、ザラメをチップと混ぜて燻製すると飴色に仕上がります。
どこで調達できる?
アウトドアが盛んになりキャンプ用品売り場の種類も豊富になっています。燻製もキャンプで活躍する調理法なので、キャンプ用品と一緒の売り場で揃います。
ホームセンターで購入することができますが、海外製のチップでは取り扱いがない場合があります。その場合は、ネットで買うことができます。
燻製すると栄養価はどうなる?
水分量を極限まで少なくする調理法では、食材の栄養価はどう変化をするのでしょうか?時間を置いて乾燥させることで栄養が逃げていってしまわないのでしょうか?そんな疑問を解決しましょう。
水分をなくすことで効率よく栄養摂取できる
私たちは食事をしながら、食材に含まれる水分も一緒に摂取しています。スモーク調理することで水分量が減るので、たくさんの量を食べることができますので、その分栄養価を多く摂取できます。
おいしいと感じると栄養吸収率がアップ
また香りが加わわることでいつもの食材が美味しく感たことで、幸せホルモン分泌量が増えます。これはストレスが軽減された状態のため血流がスムーズです。食材の栄養をよりたくさん体に吸収しやすい状態にしてくれるのです。
脂質カットでダイエットにも効果的
いぶすことで余分な脂質は流れ出ます。そのためカロリーカットができるので、通常調理したお肉や魚よりも低カロリーになりますし、風味が増すことでヘルシーでも食べ応えがあるので満足感が増し、ダイエットにも効果的です。
燻製おすすめ食材①お肉や卵・乳製品
燻製の定番で手軽に仕入れることができる肉類や卵、チーズはお酒にも合う他、子供のおやつにもおすすめです。多めに作っておいて朝食に野菜と一緒にパンで挟めば栄養バランスのよい朝ごはんが出来上がります。
①半熟卵
しっかりと甘辛いタレが染み込んだ半熟たまごは、中身がとろりとしていて黄身の甘みとチップの香りが合わさって、濃厚な味わいが楽しめます。
子供も大人も楽しめる!
そのまま食べても美味しいですが、ラーメンのトッピングにしても食欲をそそります。子供から大人まで堪能できます。休日のお昼ご飯にいかがですか?
②鶏ももハム
ジューシーなもも肉を使った燻製です。緑茶でいぶすのであっさりした風味が特徴です。ボリューム満点でそのまま食べてもサンドウィッチの具材にしても抜群です。
冷凍保存も可能
多めに作っておいて、残った分をラップに包み冷凍保存すれば、お弁当のおかずにもなります。殺菌効果が高いスモーク調理法なので時間が経ってから食べるお弁当でも安心ですね。時間のないときに大変助かります。
③鶏ムネ肉
サクラチップで燻製するので香り豊かな大人の味わいが楽しめます。ムネ肉なのであっさりでやわらかいのが特徴です。アクセントに黒コショウをトッピングしているのでお酒とも相性抜群です。
④カマンベールチーズ
外側が固まっているカマンベールを使用すれば溶けだす心配が少なく、後片付けも簡単です。ほのかなチーズの苦みと燻製チップの香りが大人の味わいです。ワインと一緒に食べたいですね。
⑤ウインナー
市販のウインナーが香り豊かな高級ウインナーに早変わりです。ウイスキーを使ってより味わいを濃く仕上げています。大人のウインナーです。
ピラフも絶品
そのまま食べても美味しいウインナーですが、細かく切ってピラフの具材にすると風味豊かなご飯になり、特別な調味料を使わなくても絶品です。
燻製おすすめ食材②魚介類
鮮魚は日持ちがしないですが、燻製にすることで一定期間の保存が可能です。旨味も凝縮されるのでお酒のおつまみに合いますし、ご飯のおかずとしても重宝します。おすすめ5点をご紹介します。
①サーモン
塩麴で味付けをすると身がしっとり柔らかくなり、燻製してもしっとり感が続きコクのある味わいになります。アールグレイ茶葉を使用することで風味豊かになります。
②ほたて
貝柱の甘みが特徴のほたても燻製にすると旨味凝縮され、より甘みが堪能できます。表面だけに塩をかけるだけの簡単味付けで十分本格的な旨味が味わえます。
アレンジが可能
バジルを振りかけたり、黒コショウやわさびといったさまざまな調味料で違う味わいを楽しめます。
③いわし
そのまま丸ごと食べれるのでカルシウム不足が解消できます。小さな魚ですが脂が豊富なので濃厚な味わいになります。そのまま食べても十分美味しいですがサラダやカナッペにトッピングするとレストランのような料理が自宅で味わえます。