毒や劇薬などといった言葉を聞いて連想できるものにシアン化カリウム、通称青酸カリがあると思います。度々事件や自殺に使われて有名になったこの青酸カリですが、最小致死量の観点から見るとなんと鈴蘭はこの青酸カリの約15倍もの毒性を示します。
鈴蘭毒の致死量
強力すぎるこの鈴蘭の毒には致死量も存在します。最小致死量から計算すると、平均的な体格の成人に対しわずか十数mg程度と非常に少量です。その重さを視覚化するとすれば直径3mmのビーズ1粒程度のものです。
鈴蘭毒の恐ろしさとは?
鈴蘭の毒の恐ろしさは強さだけに留まらずその毒の持つ特徴までもが恐ろしいものとなっています。強さ以上に怖いものがあるというのかという疑問を持つ方もいると思いますが、これからそのことについても詳しく説明したいと思います。
鈴蘭毒は無味無臭
とても芳しい香りを放つ鈴蘭ですがそれは花に限ったことでこの毒には全く匂いがなく、匂いどころか味もしない完璧な無味無臭です。席を立った際や飲み物を出された際に自分のグラスにこの毒が入れられていたとしても、私たちにはそれを知る術などないのです。
鈴蘭毒は水に溶ける
そして更に恐ろしいことに、この毒は特別難しい方法を使わずとも抽出することができてしまいます。水溶性でありよく水に馴染むため、花瓶に鈴蘭を挿しておけば中の水にたっぷりと溶け出します。
食卓のテーブルや台所に鈴蘭を生けた花瓶などを飾ってあれば、先に述べたようなタイミングでこっそりと毒を盛ることができてしまい、あまつさえは花瓶を倒して気づかぬうちに混入してしまったように装うことすら難しくありません。
鈴蘭毒は病死を装える
鈴蘭の毒の症状に関しては既にお話していますが、この毒は心不全や心臓麻痺を引き起こすことがあります。臓器不全などを起こす可能性もあり、例えばこの毒が肝臓に蓄積した場合や肝臓の弱い人が摂取した場合、多量に摂取してしまった場合には肝不全を引き起こすこともあり得ます。
毒を盛られた側が元々持病のある人間だと死因がそれに関連付けられてしまう恐れがあります。そうなってしまうとあまりにも不自然な点があるなどして検死が行われない限り、原因が鈴蘭の毒であると発覚することもないと考えられます。
実際に合った鈴蘭毒事故
鈴蘭は小さく華奢な植物であるためこの凄まじさに少し話を誇張しているのではと思うところもあるかもしれませんが、実際に誤ってこの毒を口にしてしまい死亡したという事故が過去に起きています。
ドイツの少女が鈴蘭毒で死亡!
その事故はドイツで起こりました。まだ幼い少女がコップの水を飲んだあと、中毒を起こして亡くなってしまうというものです。当時3歳の彼女が口をつけたコップには鈴蘭が幾本も挿してありました。
原因は鈴蘭を生けた花瓶の水!
少女が亡くなった原因は、コップの中の水に溶け出した鈴蘭の毒です。彼女の家ではその時コップを花瓶代わりにして鈴蘭を飾っておりまだ幼い彼女にはその中に入っている水と飲み水との区別が難しく、それを飲んでしまった為にこのようなことが起こってしまったのです。