内ゲバとは?その意味や実際に起こった主な事件をご紹介!

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内ケバによって引き裂かれた恋がありました。内ケバが大学構内で頻発していたことからもわかるように、内ケバは学生運動とは切っても切れない運命にあります。自分の青春を学生運動や闘争に賭ける熱い時代があったのです。

「学生運動のロミオとジュリエット」

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内ケバの最大の舞台となってしまった各マル派と中核派。この組織内対立の末に永遠の別れをしなくてはならないカップルがいました。それが奥浩平と中原素子です。闘争と警察による逮捕。激しい内ケバの中で奥浩平は自決という道に突き進んできます。

関係が引き裂かれ自殺

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奥浩平と中原素子は愛し合っていたカップルでした。しかし2人は中核派と革マル派という殺し合いを演じる組織に属していました。どちらの組織からも抜け出すことは出来ません。関係が悪化し思い余った奥浩平は「青春の座表」という遺稿を残しこの世を去ってしまいました。

幕末の水戸藩でも内ゲバがあった?

幕末の水戸藩でも内ケバが発生していました。水戸藩は吉田松陰や西郷隆盛にも影響を与えたとして有名です。しかし明治の新政府には水戸藩ゆかりの人物は皆無です。それには水戸藩の内ケバとも言われる天狗党の乱が大きく関係しています。

天狗党は尊王攘夷の急先鋒

幕末期の水戸藩で実験を徐々に掌握し尊王攘夷の考えを推し進めていたのが天狗党。この天狗党は藩の改革を進める革新勢力。天狗党には身分が低い武士が多かったのでそれを揶揄したのが既成の保守勢力。天狗になって調子に乗っている、といったのです。

天狗党の乱が勃発

江戸幕府が倒れる3年前。天狗党は公武合体を非難し尊王攘夷を成し遂げるために水戸藩から乱をおこします。それが天狗党の乱です。しかし幕府からの討幕軍により敗走。水戸藩は旧保守派の公武合体派によって政権が運営されます。

江戸幕府が崩壊すると天狗党の流れが復活

江戸幕府が倒れると再び天狗党の流れを組むものが藩の実権を握ります。その結果保守派の要人をことごとく処刑します。水戸藩では天狗党の中心をなした人物も保守派の中心をなした人物もお互いに殺しあってしまいました。幕末最大の悲劇とも言われる内ケバです。

左翼思想の他にもあった学生運動

1960年代から70年代にかけて新左翼の活動が活発になっていた時期と同じくし全国の大学でもストライキやバリケードを作る学生運動が盛んにおこなわれました。大学生の組織を全学共闘会議、略して全共闘と呼びました。

日大全共闘と東大全共闘が特に先鋭化

全共闘の中でも特に先鋭化し投石やゲバ棒で機動隊と激しく衝突したのが日大全共闘と東大全共闘です。現在の日本大学と東京大学です。学生は大学を封鎖し生活擁護や授業料の値上げを阻止しよとしました。

大学からの譲歩は得られない

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多くの学生運動が全国各地の大学で勃発しました。しかし、それらの多くは大学側からなんの譲歩も得られないまま終結しています。全共連は当時の流行だったという人も多いです。しかし、全共連に参加することから新左翼の活動家になった人もいます。

50年以上も前の新左翼や学生運動の残滓が今も残る

50年以上も前に大学生で学生運動から新左翼の思想に取りつかれた活動家の中には現在もその世界の中で生きている人たちがいます。おそらく現在の社会に与える政治的影響は皆無だと思われます。しかし、いまだに内ケバのようなものが続いています。

機関誌は未だに発行されている

中核派や各マル派の機関誌は未だに発行を続けています。機関誌の発行部数から推察するとシンパシーを感じているのはおよそ3000人程度。この数字を多いと見るか少ないと見るか。3000人では革命は無理でもテロは出来るかもしれません。

過激な思想を持つ左翼団体は今も大学内部にいる

中核派は反原発を掲げる学生団体『NAZEN』を創設。革マル派には専従活動家が約200人いて、そのうち約100人が、対立する他セクトや警察などの情報収集を担う非公然部隊『情報調査部(INF)』である。出典:週刊ポスト2017年6月30日号

週刊ポスト2017年6月30日号によると学生団体『NAZEN』は原発反対という意識の高い若者が参加しやすい問題を提起して賛同者を集めているようです。しかし中身は中核派で危険な左翼思想の隠れ蓑だといいます。

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なぜ内ゲバが起こる?

左翼の根本的な思想である社会主義は、資本主義や自由主義の弊害から解放された真の平等が実現された社会を目指すことです。マルクスは社会主義を実現するためには社会革命が必要だと説きました。

左翼の掲げる「平等主義」のジレンマ

社会主義の掲げる平和主義を実現するためには、自由主義、資本主義路線を取る日本では革命が必要でした。真の平等を得るためには上位下達の軍隊型の組織が必要となるという根本的なジレンマを抱えていました。そのジレンマが内ケバとして現れた面は否定できません。

同族嫌悪が激しい

新左翼に所属するメンバーは理想主義者と言われています。純粋で理想の為には自らの犠牲さえも良しとしてしまう人たちです。逆の面を言えば思い込みが激しく一途に突っ走ってしまう人です。純潔を求めそこから外れる人が許せず同族嫌悪が激しかったといわれます。

内ケバや全共闘の時代を書籍化

全共闘時代の内ケバやセクトやアジビラやオルグについて50年の時を経てどんな時代だったのかを当事者が赤裸々に告白した書籍が出版されています。時代が流れたからこそ客観的に検証できる過去が凝縮しています。

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全共闘、1968 年の愉快な叛乱

 

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内ゲバは繰り返してはならない

思想は自由でどんな考えを持つのも自由です。内ケバという暴力に訴えるのではなく、私たちが持つ最高の武器である「言葉」をつかって戦わなければいけません。どんな理想も自由も平等も暴力によってつくられるものではありません。

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