鱧とは?
非常に美味しい魚として料亭などでも提供されることが多い魚ですが、どんな特徴がある魚なのかご存知ですか?美味しく調理する前に、鱧の生態や特徴をご紹介します。
細長いうなぎのような魚
まず、見た目は細長いことからうなぎにそっくりです。区別の仕方は口の作りです。口が大きく歯は鋭いことが特徴です。そのことから「歯魚」と表記されることもあります。
毒を持っている
ウナギ目の魚は、毒を持っているのです。イクシオトキシンと呼ばれるのですが、加熱をすれば問題なく食べられます。ウナギや鱧の刺身を食べるときはプロに捌いてもらい毒の部分をしっかり取り除くようにしてください。
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主に関西で食べられている
名産地は瀬戸内海でよく捕れます。大阪では庶民の味としてスーパーに陳列され、京都では京料理として夏が旬であることから、夏の風物詩として堪能されています。
生命力が強い
うろこのない魚でタチウオは非常に弱く体を手で触れると弱ってしまいますが、鱧は非常に生命力が強く運搬時でも活きていられます。そのため新鮮なまま仕入れることができ、鮮度を保った状態で消費者に提供できるのです。
京都では山で釣れる?
昔は物を運ぶためのトラックがなかった時代は、氷水に入れて魚も運んでいました。運搬業者がうっかり鱧を放してしまいこれを山の農家が拾ったところ、まだイキイキとしていたことから山で釣れたという言葉ができたと言われています。
すごい生命力をうかがえるエピソードです。
凶暴な魚
大きく開く口と鋭い歯で、よく咬みつき凶暴です。咬まれるとすごい力なので釣りをする方は十分気をつけてください。食欲旺盛でなんでも目の前にあるものは食します。特に甲殻類も鋭い歯で噛み砕いて食べてしまいます。
鱧の旬
もともと脂がのっていて濃厚な味わいの魚ですが、より一層脂が増す旬の時期は汗ばむ季節の8~9月です。この時期には産卵も迎えるため卵にもありつけます。
旬を過ぎるとどうなる?
産卵を終えた個体は皮に厚みが増し骨太になるので、調理法にコツがいるようになります。この特徴を生かして皮を焼いて食べたり、いつもよりも細かく骨切りすることでアレンジはできます。
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骨切りをして食べるのが特徴
小骨が多いため、骨切りができてこそ一人前と言われるほど、料理の世界ではこの作業が重要です。細かく包丁を入れていき塩を入れた熱湯で湯引きし、冷水で締めたものを梅肉酢やポン酢で食べるのが主流です。
骨切りの方法
料亭の店主が見事な包丁さばきで骨切りしているのはテレビで放映されますが、実際に自宅でも同じように処理ができるのでしょうか?美味しく食べるための下準備方法をご紹介します。
骨切りするための包丁の間隔
プロの料理人ともなれば見事な腕前で切れ込みを入れていきます。約3㎝の間に24本の切れ目を目安として入れるようです。ご家庭で実践する場合の目安にしてください。
プロの技を習得するには?
料理界は厳しい見習いを得てプロとして料理を提供することができます。鱧の調理も修業が必要で、骨切りの技を自分のものにするには10年かかると言われる厳しい世界があります。
包丁の入れ方
自宅にある一般的な包丁で切ることができます。手前に引く感じで骨を切っていきます。ポイントは皮までザクっと切ってしまわないように、すれすれのところで止めましょう。
美味しく食べるための下準備
魚特有の生臭さを消すために、下準備として酒を全体に振りかけて1時間程度置いておくと、臭み解消に効果的です。その後の調理の妨げとならないように余分な水分はキッチンペーパーでしっかりと拭き取ってから調理します。
皮の処理も大切
ぬめりが特徴ですので、よく取り除きましょう。包丁の背の部分を使って取っていくのが一般的ですが、使い捨ての歯ブラシを使うと力もいらずに綺麗に取り除くことができます。
関東ではあまり見かけない鱧
関西で多く食べられていますが、関東ではどうでしょうか?西と東では食文化が違うように鱧の食習慣にも違いがありました。関東地方の食習慣事情についてご紹介します。
関東ではあまり捕れない
主な産地は瀬戸内海や九州地方なので、あまり関東では見かけない魚です。もし捕れても食べる習慣があまり浸透しておらず需要がないので、西日本へ出荷されることが多いのです。
食べる文化がないためあまり出回らない
漁獲量が少ないうえ、骨切りの下準備に時間がかかるため料理人が避けがちになりましたが近年は機械の発達から、骨切りの時間短縮ができ取り扱い店が増えつつあります。
関東地方での食べ方
関西とは違い、昆布だしなどのだしを使用しお吸い物のようにして、脂ののった鱧をあっさりとした白身魚のようにして食べることが好まれています。現在でもスーパーに出回ることはなく、百貨店や魚屋さんといった特定のお店でしか手に入りません。
夏目漱石は嫌いだった
江戸出身である夏目漱石が京都を訪れた際に、鱧を口にし小骨だらけで食べにくかったことから「京都というところは愚かなところだ」と京都民の鱧好きを疑問に思ったという説が残っています。
現在の調理を食べたら彼は何と言ったでしょうか?鱧好きになっていたかもしれませんね。
鱧の栄養
ふっくらとした身には私たちの体を支えてくれる栄養がたっぷり詰まっています。どんな栄養素が含まれているでしょうか?栄養成分と健康維持できる効能をご紹介します。
カルシウムがたっぷり
骨切りするだけですから、骨も一緒に食べています。そのためカルシウムがたっぷり補えるのです。現代で不足しがちな栄養素を豊富に摂取でき、骨を元気にしてくれるのです。
コンドロイチン
膝などの関節の動きをスムーズに促す成分で、年齢を重ねるごとに減少していきます。サプリメントもたくさん販売されていますが、やはり天然の食事から摂取した方が効率よく吸収されます。
DHA,EPA
血液の健康に働きかける成分も豊富です。血管を柔らかくしスムーズに全体に血液を流すことをサポートするため、新鮮な血液が流れることから全身のアンチエイジングにもなります。
鱧はどうやって食べる?
関西では庶民の味として親しまれていますが、全国に広がっていないのであまり食べ方が知られていないのが現状です。どんな食べ方が美味しいでしょうか?天下の台所とも言われる関西ならではの美味しい食べ方がありました。
一般的な調理法の後には色々なアレンジレシピをご紹介します。
茹でて酢味噌や梅肉と一緒に
沸騰したお湯に塩を入れて湯引きし、水で身を引き締めて食べるのが一般的です。濃厚な脂が特徴的な魚なので酸味のある酢などと相性が良く、酢味噌や梅肉、ポン酢が主流です。
はもすきは庶民の味
鱧と玉ねぎは相性抜群なことから「玉ねぎが出たら鱧も出る」という言葉が生まれたほど一般的な食事として知られています。醤油の甘辛いタレに玉ねぎと鱧を入れて煮込む鍋料理です。
鱧は捨てるところがない魚
大阪では皮も料理として使います。練り製品であるかまぼこの材料にしたり、皮を細かく切ってから茹でキュウリなどの野菜と揉みこみ食べています。かまぼこ店の店頭販売では皮のつけ焼きとして商品化されているエコな魚なのです。
他にはどんな食べ方があるでしょうか?
鱧レシピ①鱧の蒲焼丼作り方
簡単に美味しくボリュームのあるご飯といえば、ガツガツ食べられる丼物が代表的です。サクッと揚がった鱧と甘辛いタレが絡み食欲をそそります。育ち盛りのファミリーにおすすめのご飯です。
材料とワンポイントアドバイス
材料(2人分)
- 骨切り鱧 200g
- 醤油 大さじ2
- 砂糖 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 料理酒 大さじ1
- 水 大さじ1
- 片栗粉大さじ1
- 塩コショウ 一つまみ
- サラダ油 大さじ1(引用元COOKPAD)
忙しいときのご飯に困ったけど、ボリュームのある食事が作りたいときにおすすめのガッツリご飯です。食べ盛りの胃も心も満足させる丼ものが完成です。
美味しい作り方
片栗粉を鱧に絡ませて焼くことで、タレのとろみつけに失敗せずに出来上がります。香ばしい風味が欲しい方は片栗粉と擦りごまを加えると風味が良くなり大人の味わいになります。
鱧レシピ②鱧のハンバーグの作り方
ジューシーなハンバーグはお肉でしか味わえないと思っていませんか?鱧の濃厚な脂はジューシーで上品な味わいのハンバーグに仕上がるんです。魚嫌いの小さな子供でもハンバーグならパクパクいけちゃいます。
材料とワンポイントアドバイス
材料(4~6個分)
- 鱧のミンチ 200g
- 卵白 1個分
- 片栗粉 大さじ2
- 料理酒 大さじ2
- だし醤油 大さじ1/2
- 油 大さじ1/2
タレの材料
- みりん 大さじ1
- 料理酒 大さじ2
- 出汁醤油 大さじ1(引用元COOKPAD)
はんぺんのような滑らかな食感で、離乳食後期からのまだ歯が生え揃っていない小さな子供も食べやすいです。タレを変えれば色々な味を楽しめて子供から大人まで楽しめる一品です。
美味しい作り方
鱧のミンチを手で形成するときはサラダ油を手につけて丸めると、手にくっつかず綺麗なハンバーグの形が完成します。多めに作って焼いておけば冷凍保存も可能です。