テレゴニーとは?解明されつつある?実在すれば歴代元彼の子が産まれるかも

テレゴニーが浸透したのも、19世紀の「モートン卿の雌馬」の事例のためです。概要は、「モートン卿」という人が、白い牝馬と、足に縦縞模様のある「クアッガ」の牡馬を飼育していました。ある時、白の牝馬と、別の白の牡馬を交配させたところ、その仔馬の足にはクアッガの縦縞があったのです。

「進化論」で知られるダーウィンも、この報告を引用しましたが、1865年の「メンデルの法則」発見の後に、この仔馬の例は「隔世遺伝によるものだ」と認められ、「テレゴニー」は否定されました。

ハエの実験による「テレゴニー現象」

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2013年開催の第14回ヨーロッパ進化生物学会において、ニューサウスウェールズ大学の研究チームが発表したデータは、テレゴニーを再度検討するきっかけになりました。実験では、キイロショウジョウバエを用いました。オスのハエを「①身体の大きいハエ」「②身体の小さいハエ」の二つに分け、メスのハエとの交尾を記録しました。

すると、メスのハエは、後に交尾をした「体の小さいハエ」ではなく、先に交尾した「身体の大きいハエ」の影響を受ける可能性が高い、との結果がでたのです。この結果から、テレゴニーが見直され始めました。

鵜呑みにするのは危険

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しかし、ハエには貯精機能が認められる種が多く、実験モデルに用いられたキイロショウジョウバエもその一つです。また、キイロショウジョウバエのメスは、精子選択機能を保有しているため、最初に交尾をした身体の大きいハエの精子を貯蓄し、後に選択した可能性も、考慮すべきです。

畜産農家の「テレゴニー」

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畜産農家では、「テレゴニー」の考え方は、一般常識のごとく、広く認識されているものです。作物の品種改良もその考え方に基づいたものです。少しだけ畜産農家のテレゴニーについてご紹介します。

「雑種強勢(hybrid vigor)」とは?

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異なった遺伝子をもつもの同士を掛け合わせて、優れた個体を生み出すことを「雑種強勢」と言います。また、その個体を「一代雑種」といいます。家畜や作物を育てるとき、できるだけ近い血統のもの同士を交配させて、できるだけ血を薄めないように掛け合わせていきます。

1900年初頭に、農業生産に実用化したのは、研究者のヘイズ、イースト、シャルらです。トウモロコシの生産のために、雑種強勢の研究を用いました。その一代雑種品種のおかげで、アメリカのトウモロコシの生産は格段に増大しました。また、日本では、1914年のカイコが初めての一代品種として誕生しました。

ついには「マイクロキメリズム」も証明へ!

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「テレゴニー」と並んで論じられることの多い「マイクロキメリズム」ですが、2004年にフレッドハッチンソンがん研究センターの研究により「マイクロキメリズム」の証明により、「テレゴニー」の信憑性も増した側面があります。興味深い研究をご紹介します。

マイクロキメリズムとは?

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「マイクロキメリズム」とは、自分の遺伝子とは異なるルーツをもつ少数の細胞が、体内に定着し続ける現象のことを指します。母子間における細胞の相互移動は、これまでも認められており、母体から胎児の細胞がみつかったり、その逆の現象もまた起こっています。

さきほど紹介した2014年の研究では、男児を出産したことのない女性120人を対象に、血中のY染色体の有無を調査したところ、うち21%がY染色体と同じ遺伝子配列を持ちうることが判明しました。

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