フリッツル事件の概要|24年間監禁されたエリーザベトの現在と壮絶な監禁生活

フリッツル事件という少女監禁事件をご存じでしょうか。18歳から実の父親に地下室に監禁され、多くの虐待やレイプを受け、24年間のうちに7人の子供も出産させられた事件です。この記事では、自宅の地下室に居ながら24年間助けてもらえず、悲惨な監禁生活を送ることとなったフリッツル事件の概要およびその後についてまとめました。

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フリッツル事件とは

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地下に監禁し近親相姦を受けるエリーザベト・フリッツル。そして父親の名前はヨーゼフ・フリッツル。実の親子の間で起こった事件は壮絶なものといって、言い過ぎではありません。幼い頃から虐待を受けるものの、それだけでは収まらなかったのです。実父の子供7人を産んだあまりにもおぞましい監禁生活から、フリッツル事件と呼ばれています。

オーストラリアで起こった壮絶な事件は、今でもその恐怖が伝わって来るでしょう。24年間にも及ぶ、長きに渡った事件が明るみにされるまでの恐怖は想像を絶することはもちろん、苦しめられた当事者にしか分からない恐怖そのものでしょう。事件の内容を細かく紐解いてみると、その壮絶さが伺えるのでご覧ください。

24年間自宅の地下に監禁され性的虐待を受けた事件

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1984年8月29日、エリーザベトは実父によって地下室に監禁されます。長年にわたり陽の光を浴びることが許されなかった生活を余儀なくされた少女。実父から受けたのは監禁だけに収まりません。そこに潜んでいたのはさらなる恐怖による支配が待ち受けていました。実の父親から愛情では無く受けたのは、性的虐待という事実です。

更に7人の子供達も過酷な生活を送ることも明らかと言えます。ヨーゼフによって性的虐待を受けた、エリーザベトの壮絶な事件の実態はどこから始まったのでしょうか。数奇な運命を辿った事件の一部始終はこちらです。

フリッツル事件の始まり|18歳でエリーザベト監禁

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実父によって始まった見るに耐えない生活は、実娘が20歳にも満たないときに始まります。少女だったエリーザベトは、僅か18歳にして実父から地下へ閉じ込められたのです。自然に地下への生活に向かうことはないことは明白でしょう。自ら監禁生活を送ることなどなく、騙されたことがきっかけだからです。恐怖に蝕まれた世界では、助けはもちろん悲鳴すら誰にも届くことはありません。

なぜ地下へと誘われたか、そこにはヨーゼフが仕組んだ出来事が発端と言えます。そして巧みに作り上げられたでっち上げも加わり、更に事件の発見を遅らせたと言えるのでは無いでしょうか。彼女と同じ気持ちになることは難しくとも、その全貌を知ることで悲惨な事件が隣に潜んでいることが明らかだからです。父親を駆り立てたのは何か、おぞましい監禁生活が始まったので事件の経緯を見てみましょう。

ヨーゼフがエリーザベトを地下室に呼び付ける

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ヨーゼフによって呼び出された地下の入り口付近の修理ですが、その手伝いから始まったのが発端と言えます。運ぶために必要とされていた実娘は何も知らずに父の手伝いをするのです。ドアの幅を測っている実父と支えるエリーザベトの姿は、よくある家族の姿そのものに見えるでしょうか。

そこに隠されていたのは念密に寝られた計画だったかもしれません。父親の目的とは裏腹に、何も知らない少女は資材を運びます。実父に言われるがままドアを押さえる少女です。密閉するために必要なこととも知らずに、父の手伝いをする娘の姿が想像できるでしょう。

地下室の扉を完全に閉じ監禁する

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地下室のドアに修理の目的で呼ばれた娘でしたが、突然実の父によって恐怖への道が迫っています。何も知らずにいた実娘はエーテルを投げられ、更に染み込ませたタオルによって、エリーザベトは意識がなくなり気がつくと地下にいることがフリッツル事件の発端です。密閉させるためのドアの鍵を閉じ、エリーザベトは完全に閉じ込められてしまいます。

意識の無くなっている状態で鍵を閉められ、完全に封じられた中で監禁されてしまうのです。彼女に降りかかった恐怖はそれだけに止まりません。ここから恐怖の壮絶な24年間は始まったと言えるでしょう。

恐怖の監禁生活が始まる

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日本では「オーストラリア実娘監禁事件」とも呼ばれる事件です。実父の手によって始まった、恐怖の監禁生活が始まります。エリーザベトは数日間の間、壁に体当たり、または天井を引っ掻いたりなど爪が剥がれ、腕に流れるほど血を流し痛みに呻き(うめき)ながら助けを求めたのです。恐怖の中で必死に助けを願う声は、誰にも届くことはありません。その姿を想像するだけで悲鳴が心に響き渡るのではないでしょうか。

数日経つと、電気をつけたり消したりすることで朝を連想したりするように思い込もうと諦めていったのです。オーストラリアの古い賛美歌を口ずさみながら眠りにつく姿を目に浮かべると、現実から抜け出したかった様子が鮮明に伝わるのではないでしょうか。または神様に助けを願う姿が浮かぶかもしれません。

フリッツル事件でのヨーゼフの偽装工作|失踪届の提出

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フリッツル事件が24年間明るみにされなかった理由に、ヨーゼフの仕組まれた秘密が浮き出ます。何も知らずに過ごしていた実娘は、まさかの出来事に驚き嘆くのも伺えるでしょう。

エリーザベトは地下にいて何もすることができない中、事件の発見を遅らせたのには巧みに仕組まれた偽装工作があったからです。彼女が気が狂ってもおかしくない環境の中で、何に希望を描くのか想像もできない程でしょう。母親すら気付かない、誰も見つからない中何が行われたのでしょうか。

エリーザベトの母親が失踪届を提出

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突然姿を消したように見受けられるエリーザベトに心配に思う母親です。母親は帰ってくる姿を思い浮かべ、まさか地下にいることは思いも付きません。姿が見えないことに母のロゼマリアは不安になりますが、実娘の行方を探すため警察に失踪届を提出し探してくれるよう頼み込みます。

娘が身近な地下にいるとも分からずに、提出された失踪届によって行方不明とされたのです。監禁とは違い行方不明の捜査は、想像の範囲ですが意外にも簡単だったかもしれません。

ヨーゼフが偽装した手紙を警察に提出

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ただし、警察もただ見守るだけではありません。捜査が混乱したのは実父による偽装が一番のネックだったと言えるのです。警察に更なる追い討ちのように、ヨーゼフは実娘に手紙を無理やり書かせます。家族に飽き飽きしたように、または探し出したら出国するようにと書かせたのです。

それもあたかもエリーザベトがカルト宗教に入ったかのようにも話をして、偽装した手紙を警察に提出して捜査を混乱させることになります。完全に捜査は行方不明事件のようになり、実父は嘘を続けたのです。事件を発覚させなようにとしたことは明白でしょう。

エリーザベトは24年間の近親相姦により7人の子供を産む

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精神的苦痛、肉体的暴力だけではありません。3日に一度はエリーザベトの元に行き襲うことが日課になっていた父です。繰り返される行為によって蝕まれていくのは身体と心でしょう。その間繰り返された行為でしたが、誰の耳にも届かなかったのです。

18歳の若さで行われていたことから、実娘には当然のように変化があります。性的虐待が彼女の身体や心を蝕んでいくのですが、逃げ場のない中で彼女はどのような生活を余儀なくされたのでしょうか。

レイプにより7人の子供ができた

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行われ続けた残虐な性的行為によって、当然のように起こることは女性ならではのことでしょう。精神的ダメージだけではなく、身体にも異変は付き物です。24年間の間に7人の子供ができましたが、全てヨーゼフのとの間に生まれたからです。あどけない少女はいつの間にか母親になりましたが、恵まれた環境であるはずもありません。

生まれた子供もまた、恐ろしい生活が待ち受けていたことが分かります。では7人の子供はどのような環境で育ったのでしょうか。そして、エリーザベトはどのような生活の中生き延びていたのか、そこには恐ろしい全貌が明らかになるのです。

7人の子どもの行方

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生まれた7人の子供は生まれた順で10週目で流産したことを皮切りに、ケルスティン(1989年生)・シュテファン(1990年生)・リザ(1992年生)そしてモニカ(1994年生)アレクサンダーと双子のミヒャエル(1996年生)・最後にフェリックス(2002年生)です。中でも双子のミヒャエルは、生後3日に医療的措置が行われないまま、実父に焼却されてしまいます。後に肺呼吸疾患と分かりますが、当然葬儀など行われることはありません。

リザとモニカとアレクサンダーの3人は、実娘から離され、ドアの前に置かれた子供として幼児期から養子として育てられたのです。あたかも実娘が置いていった子供ように書かれていた手紙と共に、養子として育てられます。ケルスティン、シュテファン5歳、フェリックスはエリーザベトと共に地下での生活を送るのです。

地下室に住む人間が増えると増築も

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地上と地下での生活が続く中、当然のことながら子供が徐々に増えるので、ヨーゼフは地下の増築を行います。壁の厚さは相当な重さもあり、地下に近付くことすらできません。生活スタイルはテレビにビデオ、またはラジオや冷蔵庫もあり、中では調理もできたほどの状態です。とは言え、薄暗い生活に陽が差すことはないことに変わりはないのが現状だったと言えます。

それもヨーゼフによって、配給が止められたり脅された中でのことなので有意義ではありません。エリーザベトは我が子のために読み書きを教えますが、教育を怠ると実父による過酷な恐怖が子供達にすら及びます。ソーシャルワーカーが家を訪ねてもことば巧みに、特に何気ない光景に誰も地下の様子には気付かないままときは流れて行ったのです。

フリッツル事件の発覚|24年の時を経て発見される

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2008年4月19日のこと、重い病気を患っていた地下にいた長女ケルスティンが意識不明になり、ようやく地上の景色を見て眩しさに驚くも一瞬のこと、すぐに地下に戻されたエリーザベト。病院に搬送され意識不明だったことを告げられる実娘の子供ですが、遺伝的なものであることが判明し、遅れて現れたヨーゼフによって再び隠蔽しようと企てられてしまいます。

長過ぎる月日の中で嘘が長く続いた生活にも、いよいよ解決の日が近付いていましたが、あまりにもときは長すぎたと言えるのではないでしょうか。ただケルスティンが運ばれたことで、そこから崩れていくのがフリッツル事件解決の糸口です。

長女重い病気から事件は解決に向かう

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エリーザベトの子供は、重い病気だったことが判明するのです。危篤状態だった長女は重い腎臓病だったことが分かります。ところが用意周到に持っていた、ケルスティンの母からとされるノートを提示しますが、2008年に投函されたものだと主張するのです。

医師が疑問視するほどの、奇妙なタイミングと内容などだったのでしょう。辻褄が合わないことが明らかになりますが、時間の経過はあまりにも長い時間を経ていました。医師の目は誤魔化すことができません。矛盾点が多いことに違和感を抱いた医師・スタッフによって、その後警察に通報が行きます。

警察が捜査を開始

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医師・スタッフによって話の食い違いを察した警察は、聞き込みなどを開始するのです。ヨーゼフの話に辻褄が合わないことに不審点を抱いた警察も、いよいよ本格的に動き出します。周囲に伺うなどや詳しい人物によって、再び行方不明とされていたエリーザベトの再捜査が始まることになったのです。

カルト宗教に入ったという言葉が事実かどうかも周りによって調べますが、存在しない宗教で入信の記録はどこにもありません。徐々に実父の話に矛盾が出てくることが明らかになっていくのです。一点が崩れると脆くなって行くのが事実ではないでしょうか。

父親が24年ぶりに娘を開放することを決意

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増築によって設置されたテレビを、実娘も当然目にするでしょう。テレビが備わっている地下なので、報道されたニュースは実娘の目にも分かります。父親に懇願するエリーザベトに、24年ぶりに子供達と共に解放することを決意するのヨーゼフです。直ぐに病院に向かいますが、ケルスティンが運ばれてから1週間後のことになります。ロゼマリアに告げたのは、24年ぶりに帰ってくるという話ですが、実際娘は病院の敷地内で連行・保護されたのです。

地下で育てられた子供達も、外の光景を見るのは初めてと言えるでしょう。母親ロゼマリアの心中もまた想像を絶するものといって過言ではありません。そのときの姿を目に浮かべただけで、恐ろしい生活を送っていた地下室生活のエリーザベトと子供達の表情は青ざめていたことも確かなのではないでしょうか。

強力な洗脳の先に

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実の父親から長期間すぎる程に監禁されていたことから分かる通り、弱っていたエリーザベトですが当然でしょう。助けを求めるも無駄な状況、見える姿はヨーゼフの姿のみ、実父は自分がいなければいきていけないことを話していたため、長かった時間は洗脳されるに十分な歳月だったことが伺えます。

何も語らなかった状態で警察にいましたが、2度と父親と会うことはないことを警察が告げるまで頑なに聴取には応じません。そこには、24年間の月日が物語っているのではないでしょうか。果てしなく続いた月日があまりにも長かったことが伺えます。

その他の最悪と言われた事件に興味のある方はこちらもご覧ください。

フリッツル事件の犯人ヨーゼフの生い立ちと犯罪歴

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実父はどのような環境で育ち、どのような家庭環境だったのでしょうか。ここで事件の犯人ヨーゼフの人物像に迫ってみます。彼はどのような生い立ちだったのでしょうか。

幼少期から遡ってみると、そこには何かきっかけがどこかに潜んでいたことは確かでしょう。そこで、彼の過去には何が潜んでいるのかを探ってみると、歪んだ状況が見て取れるかもしれません。また彼には遡ると犯罪歴があるか確認すると、隠されてしまった真実も明るみにされることになります。

幼少期から母親一人で育てられる

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ヨーゼフは仕事を抱えていた母親、マリア・フリッツルの元で育てられ、父には捨てたとされています。母親はシングルマザーとなりましたが、大学まで進み職にも就ける程に息子を育てたのです。後に判明することですが、父親は第二次世界大戦で英雄死した存在として名が残されています。ただ幼少期の頃のヨーゼフにとって、母親や父親はどのような存在だったかは定かではありません。

成長の段階で母親を監禁したことがあることも、示唆されています。また人格障害も抱えていたとされていることも、後に判明するとなったのです。実娘のようなことはなかったとは言え、どこか異常な行動は見て取れます。それから先の彼の母の姿は、どこにも報じられることはなかったのです。成長するにあたって彼の中に芽生えた、女性への異常な執着心は伺えるかもしれません。

当時17歳のロゼマリアと結婚し子供を授かる

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若いときに知り合ったのが、後の妻となる若すぎるほどの女性です。ヨーゼフは仕事を経て、1956年に21歳で更に若い17歳のロゼマリアと結婚します。特に変わったところもなく平凡な結婚に、周囲も不思議に思うことはありません。そんな中、彼が起こしていた事件もあり、ロゼマリアはそれを知っていたか不明です。知っていても服従しなければならない環境だったかもしれません。

妻はそれまでの行動に不思議に思うことはなかったでしょう。その後2人の息子と5人の娘の合計7人の子供に恵まれましたが、それは奇しくもエリーザベトと同じ人数を授かったことになるのです。結婚したときには知り得なかった事実と言えるかもしれません。

事件前にも犯罪歴があったが法律の問題で発覚せず

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実娘の監禁事件の前に実は犯罪歴があったのです。ではなぜ明らかにされなかったのでしょうか。ヨーゼフは24歳で強姦の罪で捕まり18ヶ月服役します。その他にも公然わいせつや強姦未遂などの犯歴もあるのです。ただし、エリーザベトの産んだ1人の子供、または2人の里親になったことで24年の間は法律の問題で明るみにされることはなく捜査が難航したとされています。

おそらく彼の犯歴が早めに判明されていたら、変化があったのかもしれませんが法律に隠された事実なので、誰をも責めることもできません。まさか法律に隠された事実だったことは、誰も想像できるこではないからです。複雑な社会事情があったことは明らかでは無いでしょうか。

エリーザベトへの虐待が慢性化していた家族

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1977年には、エリーザベト11歳の頃から日常的に繰り返されていたとされる、精神的・肉体的虐待です。いつの間にか家族の中では慢性化していき、ヨーゼフの歯止めの効かない行動は止まりません。恐怖に怯えて生活していた中であっても、父親像は違ったものだったでしょう。家族で暮らしていた当初性的虐待があったとは見なされていません。

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