若くして亡くなった我が子のためにと行われている家族の思いが伝わる冥婚ですが、この冥婚を利用したとても悲しい事件が中国で起こりました。なぜこのような事件が起きてしまったのか、中国での都市部と農村部の考えの違いとともに事件について詳しく説明します。
殺人事件に発展することも
先ほど説明した通り中国では非常に高値で若い女性の遺骨が売買されているため、若い女性の遺体を冥婚に利用しお金を稼ぐ目的で殺すという残忍でとても悲しい殺人事件が起きました。こちらの殺人事件の犯人は関わった人物も含め全員逮捕されましたが、冥婚が盛んな中国では明るみになっていないだけで似たような事件が起きていると言われています。
中国農村部と都市部の意識の違い
このような悲しい殺人事件が起きた背景にはやはり都会と田舎の考え方の違いや経済的な問題がありました。中国の農村部の方では死者の想いを大事にするという信仰が昔から根強く残っていますがあまり裕福ではなく都市部の方ではお金が大事であり比較的裕福な人が多くいることから溝が出来てしまいお金を得る目的でこの痛ましい殺人事件が起こってしまいました。
冥婚は古代より続く
どのような儀式でどんな風に行われているかここまで説明しましたがでは冥婚はかなり古くから行われている風習で、エジプトの神様や三国志で登場する有名な武将の息子も冥婚してました。次は有名な方も冥婚していたということを詳しく説明します。
古代エジプト
古代エジプト神話に出てくるオシリスとイシスも冥婚していたと言われておりこちらの冥婚が最も古く有名であると言われています。太陽神であるオシリスは弟に殺されましたがイシスは生きている女神であることからこの二人は死者と生者で結婚し夫婦として生活し交わり子供まで出来たとされています。
三国志
三国志の中で悪役のイメージが強いですが非常に優秀な武将としても知られている曹操の八男である曹沖も冥婚しています。曹操は優れた才と徳を持つ曹沖を大変溺愛していましたが曹沖はわずか8才の若さで病にてこの世を去ってしまったため、同じ時期に亡くなった甄氏の娘の遺体をもらい冥婚させて息子の冥福を祈りました。
冥婚が生まれた背景
冥婚とは死者のためを思って行う行事であると説明しましたがなぜ冥婚という儀式が生まれたのか、それには大きく仏教の影響がありました。宗教について軽く説明するとともに冥婚の起源についてお話しします。
死後の世界を信じる考え方
世界ではキリスト教、イスラム教、仏教、ヒンドゥー教などの宗教が多いと言われていますがその中でもアジアは仏教を信仰している方が多くいらっしゃいます。そして仏教の教えの影響があり死後の世界を信じる考え方が浸透しているため死者のあの世での暮らしを考え生前未婚だったのであの世では結婚し幸せに暮らして欲しいという願いの元、冥婚の儀式が生まれたと考えられています。
死者のバチを恐れるため
先ほど少し説明しましたが、中国では死者の願いを叶えないと良くないことが起きるという言い伝えがあります。そしてその言い伝えにより災いが起きることを避けるために死者の魂を鎮め、生前結婚出来なかった方の為に死後は結婚して新たな家庭で幸せになって欲しいという思いで冥婚をしています。
アジア圏の死者を悼む文化
ここまで冥婚について説明しましたが、同じように冥婚の文化があるアジア圏の中国や台湾では冥婚の他に死者のためにどのようなことを行う文化があるのでしょうか。日本とは違った中国と台湾のお葬式の文化について詳しく説明します。
紙紮
紙紮(Zhi-za)とは、お葬式の時に遺体とともに燃やすために竹で作った骨組に紙を貼って日用品を作る台湾の伝統工芸の一つです。カラフルな家や車や馬車などの日用品を作り死者があの世に行った時に生活に困らないように用意してあげています。
紙紮(Zhi-za)の他に金紙(Jin-Zhi)という台湾のお葬式の伝統もあり、こちらは紙に金箔を貼り遺体と共に燃やし死者があの世でお金に困らずに裕福な生活が出来るようにと願いが込められています。日本のお葬式で線香やロウソクを燃やすことと似ていますが台湾では物を燃やすという行為に祈りの意味があります。
紙銭
中国ではとにかくメンツを重んじる風習があり日本では葬式とは慎ましく行なうものですが中国はその逆でとにかく派手なものが好まれます。派手にするのが一般的な中国のお葬式では紙銭(しせん)という紙で作ったお金を燃やしあの世でも裕福な生活が出来るようにと願っています。
中国、台湾と近隣のアジアの国の文化について触れましたが韓国人はどのように生まれどうして発見されたかDNAの特徴まで解説してある非常に興味深い記事があります。興味ある方はぜひこちらをお読み下さい。
びっくり!こんなのアリ?な中国のお葬式
先ほど中国のお葬式は日本と違い派手に行なうと説明しましたが派手な葬式を追い求めすぎてとんでもない葬式になってしまった例もあります。中国のお葬式事情について実際にあったびっくりする葬式の話とともに説明します。
お葬式でストリップショー!?
中国のお葬式ではストリップショーを行っていたという驚きのお葬式事情があり、現在ではストリップショーは禁止されましたがそれでも呼ぶ方がおり実際に葬式の主催者やストリップショーを行う人が罰せられたこともあります。参加者を増やす目的で行われており農村部の方では親の葬式でストリップショーを行うことは最大の親孝行であると考えていた方も多くいらっしゃいました。
とにかく派手なお葬式
日本の静かなお葬式とは正反対で中国ではとにかく派手にお葬式をするためにお供え物を葬式の会場いっぱいに並べたり爆竹の音が鳴り響くことがあったりお金をばら撒くこともあります。それ故に葬式自体がとても大きく参列者もすごい数になり参列者の行列が数キロにも続いてることもあります。
考え方の違い
日本では絶対に有り得ないお葬式の方法でしたが、中国では葬式に参列する方の数が多いほど死者が天国で幸せになれるという考えがありそれに基づいて参列者を増やすためにド派手なお葬式を行なっているのです。日本ではお葬式といえば静かにしんみりとしたものですが、中国のお葬式もしっかりと考えに基づいたものであり些かやりすぎなところはありますがどちらも故人のご冥福を願っているという点では共通しています。
冥婚で結ばれたカップルの幸せを祈る
冥婚について説明しましたが、現代の日本では冥婚という儀式はやはり何か恐怖を感じてしまい中々受け入れがたい文化かもしれません。しかし、未婚で亡くなってしまった子供を思う親の気持ちは素晴らしいものであり殺人事件や盗難事件が起こるのはいけないことですが故人の幸せを願う気持ちやしっかり供養する気持ちなどはしっかりと受け継いでいくべきです。