シシバナヘビの生態や特徴
シシバナヘビというヘビをご存知でしょうか?名前の通りイノシシのように大きな鼻に、クリッとした目が特徴なヘビです。最近ではこの特徴的な顔がかわいいと人気も高く、ペットとして飼育している方も多いようです。そんなシシバナヘビが野生下ではどのような生活をしているのかをまず説明しましょう。
基本情報
シシバナヘビはマイマイヘビ科に分類されるヘビの一種です。シシバナヘビ属は現在3種類が確認されており、それぞれに微妙な違いがあります。メキシコ北部やカナダ南部、アメリカに分布しており、砂地の草原や半砂漠地帯で生活をしています。活動時間は夜明け前、夕暮れ時が最も活発であるとされています。
小型両生類を主食としており、主にヒキガエルを食するようです。体長は最大種であるセイブシシバナヘビで60センチ前後、最小種のナンブシシバナヘビで50センチ前後のようです。体は太く短いという点もシシバナヘビの特徴の一つです。体長はオスよりもメスの方が大きくなります。
反り返った鼻先が特徴
英名”Hognose snake”と名付けられています。「hognose」とは「ブタの鼻」を表しており、和名でも猪鼻蛇と名付けられていることから、この反り返った鼻が最大の特徴であるということが伝わってきますね。
この特徴的な鼻は吻端板といわれる鱗で、この鼻を使ってイノシシのように土を掘り返して獲物を探し出します。飼育下では自分のスペースを作るために、床材に鼻を擦り付ける姿を見ることができます。
死んだふりをする
シシバナヘビは敵に遭遇すると体を大きく見せたり、シャーっと音を出したりして威嚇をするのですが、自分よりも強い敵に出くわした場合には擬死行動(死んだふり)をして、相手が去っていくのを待ちます。
シシバナヘビの擬死行動は大きく口を開き、苦しそうな動きを見せるところから始まります。お腹を上に向けてぐるぐるととぐろを巻き、総排出腔から匂いを出すことで相手と戦うことを避けています。
シシバナヘビの種類
シシバナヘビは3種類に分けられ、それぞれに少しづつ違いがあります。分かりやすいものだと体の大きさが挙げられます。また交配によって体の色や、鱗の模様にも違いがあり、人気のあるものは高値で取引されているようです。ここでは3種類のシシバナヘビそれぞれの生態や特徴、ペットショップで販売されている価格もご紹介しましょう。
セイブシシバナヘビ
北米西部に分布しています。吻端板の反り上がりは最も大きな種類となります。主に小型両生類や小型哺乳類、動物の死骸などを食し、シシバナヘビ属の中では幅広い食性をもちます。最大種でもあり、体長38〜60、最大154センチの個体も確認されています。
ペットとしては食性の幅広さから最も飼いやすいと人気が高く、流通数も多い種類でもあります。価格は30,000〜60,000万円ほどで他種と比べても購入しやすいということも人気の一つでもあります。
ナンブシシバナヘビ
北米南部に分布しています。体長50センチ前後ほどで、最大でも61センチとシシバナヘビ属の中では最小種となります。吻端板の幅は狭く、反り上がりは大きい種類です。ワイルド個体の販売は稀で、ほとんどが繁殖個体の流通となります。販売価格は70,000円前後と高価なため普及数も少ないようです。
トウブシシバナヘビ
北米東部に分布しています。体長は30〜80センチほどで、最大137センチの個体が確認されています。シシバナヘビ属の中では中型種で、吻端板の幅は広く、反りあがらない種類だとされています。
ペットとしては流通がほとんどなく、販売価格も70,000円以上と高いため、普及数は最も少ない種類です。また、ヒキガエルを専食とし、他のエサに餌付くことは稀なので、飼育難易度も高いようです。
シシバナヘビのモルフ(品種)
モルフとは簡単に言うと遺伝子の掛け合わせによって作出される品種のことで、世界中で多くのモルフが作出されています。体色や模様の違いで様々な呼び方が存在し、人気のモルフは高額で販売されていることもあります。
モルフの作出は遺伝の法則などが関係するので確率論となりますが、お気に入りのモルフに出会えたときの喜びというのもシシバナヘビを飼育することの楽しみの一つでもあります。多数存在するモルフの中から5種類ご紹介します。
モルフ①ノーマル
シシバナヘビの基本となる種類で、野生下のものと同じ体色、模様をしています。ペットショップでも流通数は多く、安価で販売されているので、初心者にはおすすめの種類です。目をひく個体も多数いますが、初めてシシバナヘビの飼育を検討しているという方はノーマルから飼ってみるのもいいかもしれません。
モルフ②アルビノ
アルビノという言葉はご存知でしょうか?様々な生き物にアルビノという種類が存在しますが、遺伝子疾患により、生まれつきメラニン色素を生成する機能が無く、メラニンが欠乏している個体を指します。黒色の色素が欠乏しているため、黄色や赤色が体色に表現されます。
シシバナヘビのアルビノには(T-)アルビノと(T+)アルビノの2種類が存在します。Tとはチロシナーゼというメラニン色素の元となるもので、それぞれチロシナーゼネガテイブ、チロシナーゼポジティブという読み方をします。
(T-)アルビノ
チロシナーゼが生成できない個体です。全身の黒色色素が無いので透明色となります。黒目の部分も透明となり血管が透けて見えることで赤目となります。
(T+)アルビノ
チロシナーゼを少し生成することができます。多少は黒色色素を持つので、ノーマルよりも体色が薄く表現されます。
モルフ③ラベンダー
その名の通り、ラベンダーをイメージさせるようなムラサキ色の体色が特徴のモルフです。人気は高いのですが、あまり流通はされておらず、ペットして飼っている方も少ないようです。販売されていたとしても高額である可能性が高いです。
モルフ④キャラメル
正式にはキャラメル・アルビノといい(T+)アルビノのようです。腹部が鮮やかな白色で、キャラメルのような体色となります。こちらのモルフの人気はラベンダーほど高くはないのですが、流通数は少ないようです。
モルフ⑤スノー
(T-)アルビノとアザンティックを掛け合わせたコンボモルフです。コンボモルフとは1個体に対し複数のモルフの特徴が現れた個体を指します。希少種なので高値で取引されています
シシバナヘビの飼育は難しいの?
ペットスネークといえば、ポールパイソンやコーンスネークが有名ですが、最近ではシシバナヘビも飼いやすいということで人気が上昇しています。シシバナヘビは温厚な性格で初心者でも飼いやすい種類のヘビですが、飼育する際の注意点がありますのでご説明します。
初心者でも飼いやすい!
シシバナヘビは温厚な性格で攻撃性もないので、ペットスネークとして人気のコーンスネークと同様、初心者にもオススメのヘビです。爬虫類は温度・湿度管理などが難しそうなイメージがありますが、シシバナヘビは生活温度の範囲が広く、また乾燥にも強いので管理面でも初心者には優しいペットと言えるでしょう。
毒があるので注意
シシバナヘビの唾液には麻痺作用のある毒があるので注意が必要です。奥歯に大きな牙を2本持ちますがこの牙には毒腺は無く、噛まれてすぐに毒の影響が出るということはありません。ただ、長時間咬まれ続けると毒が効いてきますので気をつけましょう。
毒が体内に入り込んだ時の影響は、噛まれた箇所が腫れてズキズキと痛む程度です。命に関わるような強い毒ではありませんが、決して体にいいものではないので、咬まれたら消毒するようにしてください。
人になつくことは無い
人に慣れる事はありますが、なつくということはまずないでしょう。おとなしい性格の個体が多いのでハンドリング(手の上を這わせる)には向いているヘビですが、犬猫のようなコミュニケーションは取る事はできませんので、あくまでも鑑賞をメインとして飼育しましょう。
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シシバナヘビの飼育方法①必要なもの
ここまでで実際にシシバナヘビを飼ってみたいと思った方もいるのではないでしょうか?シシバナヘビの飼育に必要な設備は爬虫類専門ショップで揃えることができます。何を購入したらいいかわからないときには、ショップの店員さんに相談してみてもいいかもしれません。
また、生体の購入後も飼育の相談なども答えてくれるので、後々のことを考えて最初はショップで購入するといいかもしれません。ここではシシバナヘビを飼育するときに購入するべきものをご紹介します。
飼育に必要なもの①ケージ
ヘビの飼育には生体がとぐろを巻いた状態の3倍ほどのケージが必要だとされています。シシバナヘビは体が太いためキレイにとぐろを巻くことができないようですが、活動的な種類なので大きめのものを用意しましょう。
飼育に必要なもの②床材
床材には大きく分けてシートタイプとチップタイプの2種類があります。基本的にはどちらを使っても問題はありませんので、メンテナンス重視、レイアウト重視など目的別に使い分けるといいでしょう。
シートタイプ
ペットシーツや新聞紙、キッチンペーパーなどがありメンテナンスを重視するならこちらがおすすめです。一度に床材を取り替えることができるので手間がかからず、ケージ内を清潔に保つことができます。管理面でもとても楽でなので、中でもキッチンペーパーを使う方が多いようです。
チップタイプ
チップタイプにも原材料によって様々なものが販売されています。木材をチップ状にしたものや、ヤシの実を粉砕したもの、猫砂を使う方もいるようです。空気を多く含むので保温性に優れています。
見た目も良く、臭いも軽減されるためレイアウト重視の方はチップタイプがいいでしょう。汚れた箇所だけを取り除けばいいので管理面では楽ですが、ベビー個体の誤飲や、エサに付着するなど飼育面においては注意が必要です。また、チップを足していくのではなく定期的にケージ内の床材の取り換えも行います。
飼育に必要なもの③シェルター
シェルターとは生体が隠れることのできるお家のことです。生体を購入してすぐは、シェルターに引きこもってしまうかもしれませんが、環境の変化に弱い個体もいるのでストレス緩和のためにも必ず用意しておきましょう。
飼育に必要なもの④水入れ
シシバナヘビは水浴びを行うので、全身が浸る大きさのものを用意しましょう。また、平面行動が多いので水場を見つけやすいように低い容器を選ぶようにしてください。飲み水としても利用するので、水はこまめに取り替えるようにしましょう。
飼育に必要なもの⑤パネルヒーター
シシバナヘビは温暖な気候のなかで生活していますので、暖かい環境を保つために冬場などはヒーターを使って保温します。ケージ内を25度くらいに保てることが理想ですので、飼育環境に合ったものを選びましょう。
活動気温は幅広いので、温度管理はそれほど難しくはありませんが40度を超えると熱中症の危険があり、15度を下回ると仮死状態(冬眠)に入ります。温度管理用に温度計があるといいでしょう。