シシバナヘビの温度管理は他の爬虫類と比較するとあまり難しくはありません。生活気温は幅広いので、神経質になって厳重に管理する必要はありませんが、上限温度、下限温度がありますので温度計は準備しておきましょう。湿度計も一体となっているものを使う方が多いようです。
Contents
シシバナヘビの飼育方法②餌
飼育設備の準備ができたらエサも必要となってきます。人間と同じで個体により好き嫌いがありますが、基本的にはピンクマウスやカエルを与えます。シシバナヘビへの給餌方法、購入場所をご説明します。
餌①冷凍ピンクマウス
ピンクマウスはS,M,Lと大きさごとに販売されていますので、生体のサイズに合わせた大きさのものを購入しましょう。10匹単位で販売されていることが多く、まとめて購入すると単価も安くなるのでおすすめです。
爬虫類専門ショップで購入することができますが、現在ではネットでも購入することができます。Sサイズ10匹で1000円前後が相場のようです。野生下ではカエルを主食としていますので、生体を購入前にピンクマウスの餌付けがされているか確認しておくといいでしょう。
餌②カエル
販売されている個体はほとんどピンクマウスに餌付けされていることが多いのですが、稀に輸入されたワイルド個体はカエルを専食としていることもあります。ピンクマウスに比べ、わずかですが値段が高いので安価なピンクマウスに徐々に切り替える方が多いようです。
こちらも専門ショップやネット販売で購入することができます。10匹で1300円前後が相場のようです。野生下ではヒキガエルを主食としており、栄養価も高いので時々与えるのもいいかもしれません。拒食時にはアマガエルなどを捕まえて与える方もいるようです。
給餌の注意点
できれば自分の手から直接エサを与えたいですよね。可能ではありますが、距離感の違いから指を咬まれるというケースが多いようです。ケガ防止の為になるべくピンセットなどを使って与えるようにしてください。
シシバナヘビがピンクマウスを食べない時は?
先ほどもお話ししましたが、稀にカエル専食でピンクマウスに餌付いていない個体がいます。コスト面を考えると、ピンクマウスに餌付いてくれた方が飼い主としては助かりますよね。ピンクマウスを食べない個体を徐々に餌付けしていく方法をご説明します。
段階を経て徐々に慣らす
急にピンクマウスを食べるということは難しいので、段階を踏んで慣らしていきます。最初にカエルの体にピンクマウスの汁や皮を付けて与えます。慣れてきたら、エサをピンクマウスに切り替えカエルの粘膜や皮を付けて与えます。徐々にカエルの要素を除いていき、完全移行していきましょう。
シシバナヘビに与える餌の量と頻度
ヘビに限らず爬虫類はあまり食事を必要としません。一般的な動物のようにフルで活動することもないので、間隔をあけてエサを与えます。ベビー個体と成体とでも給餌量や給餌頻度が違ってくるのでご説明します。
一度に一匹の餌
エサを与える時には、飼育個体の頭より一回り大きいサイズのものを与えましょう。消化が得意な生き物ではないので1回の給餌に1匹のエサを与えます。同時に複数食べることもしますが、ほとんどが吐き出してしまうようなのでおすすめはしません。
大人のシシバナヘビ
成体のシシバナヘビは1週間に2〜3回を目安に与えます。食べる量は個体差、時期的な要因も関係しますので飼い主がよく観察をして、様子を見ながら与えるといいでしょう。他のヘビに比べると代謝が高く、消化も早いので給餌頻度は高めです。
子どものシシバナヘビ
ベビー個体に関しては2〜3日に1度を目安に与えてください。基本的にはエサを探す行動が見られたり、糞が出たら与えるというペースでも問題ないでしょう。成長期なので小さなエサを食べるだけ与えます。
シシバナヘビを飼育する上での注意点
シシバナヘビは攻撃性はなく、温厚な性格なので飼育しやすいヘビではありますが、最低限注意すべき点があります。飼育に慣れてくると気を抜いてしまうこともあるかと思います。注意点を習慣づけておくことで事故を未然に防ぐことができるのでご説明します。
奥歯に注意
シシバナヘビは奥歯に2本の大きな牙を持っています。唾液に毒が含まれるので、牙から直接毒が体内に入ることはありませんが、咬まれると出血することもあり、傷口から毒が入る可能性もあります。毒性も弱いので死に至ることはありませんが、できれば咬まれたくはありませんよね。
普段、咬むということはあまりありませんが、給餌の際に餌と間違えて咬まれるということが多いようです。特にエサの匂いが付いたまま素手で与えることはNGです。給餌前に手を洗ってから、ピンセットなどを使うようにしましょう。
パネルヒーターで25度前後を保つ
シシバナヘビにとって気温25度前後が適温だとされています。ケージ内全体を温めると逃げ場がなくなるので、ケージの3分の1程度を25度で保つようにしましょう。乾燥には強い種ですが、ある程度の湿度も必要です。水浴びで解消できますが、頻繁に行うようであれば霧吹きなどで湿度を上げましょう。
他にも爬虫類ペットが気になる方はこちらもご覧ください。
シシバナヘビはどこで販売されている?
ペットとしては比較的飼育しやすい種類なので、取り扱っているショップは多いです。イヌ、ネコを取り扱っている総合ペットショップでも販売していることもありますので、ここではおすすめの購入場所をご紹介します。
爬虫類専門店
初心者の方には爬虫類専門ショップがおすすめです。飼育に必要なアイテムやエサなども全て取り揃えており、どれを買ったらいいか分からなくても、専門知識を持ったスタッフが丁寧に対応してくださるので、安心して購入することができます。
また、購入後のアフターフォローもしっかりと対応してくれます。飼育個体のエサの食い付きが悪い、元気が無いなどの相談にも親身になってアドバイスをしてくれるので、初めての方は近所の専門ショップを探してみるといいでしょう。
ペットショップ
大型の総合ペットショップでも販売されていることがあります。とはいっても爬虫類自体を取り扱っていない店舗も多いので、事前に問い合わせておくといいかもしれません。ベビー個体が流通しやすい春などには「爬虫類フェア」と称して、入荷していることもあるので、その時期を狙ってみるのもいいでしょう。
イベント
お目当てのモルフが欲しい方はこちらがおすすめです。全国の爬虫類ショップが集まって、生体の展示や販売を行うイベントです。爬虫類ショップの方たちが集うイベントというだけあって、数千匹頭の動物が展示されます。珍しいモルフに出会えることも!
有名なイベントだと「東京レプタイルズワールド」や「エキゾチックレプタイルエキスポ」など、毎月全国で様々なイベントが開催されています。マニアックな動物も展示されていますので見るだけでも楽しめると思います。興味のある方はぜひ一度参加してみてはいかがでしょうか?
繁殖はできる?
シシバナヘビはペットとして可愛がることももちろんですが、繁殖して様々なモルフを作出するということも楽しみの一つでもあります。モルフの作出にはある程度の専門知識と、運要素が強いので目当てのモルフに出会えた時の喜びは大きいでしょう。飼育に慣れてきたら挑戦してみてはどうでしょうか?
ある程度の知識があれば可能
オスは生後1〜2年、メスは2〜3年で性成熟しますので、年数の満たない個体では繁殖はできません。爬虫類の繁殖は温度管理が重要となります。シシバナヘビは冬眠から覚めた春に繁殖をしますので、冬に冬眠をさせます。途中で目が覚めないよう、温度管理はしっかり行いましょう。
春に交尾が完了すると、6〜8月に産卵し60日前後で孵化します。メスが水入れに産卵しないよう産卵前には水入れは撤去し、バーミキュライトやミズゴケを湿らせたものなどで産卵床を用意しましょう。
モルフの作出
ノーマルでも十分かわいいのですが、モルフによっては目を惹く模様の個体や、美しい体色の個体など様々なバリエーションが存在します。モルフ作出には専門的な知識が必要となりますので、ここでは遺伝の法則と一部の専門用語を解説しましょう。
モルフは遺伝子で決まる
モルフの作出において、1番重要となるのが遺伝子情報です。授業で習った「メンデルの法則」が基本となります。モルフは100%ではなく確率で作出されますので、遺伝の法則は知っておいて損はないでしょう。
遺伝子の結合
遺伝というのは遺伝子座に親が持つ1ペア2つの遺伝子を両親から片方ずつ受け継ぐことです。遺伝子座に入った遺伝子の組み合わせにより子に現れる形質が変わってきます。また遺伝子には優性と劣性が存在します。
遺伝子の組み合わせには、ホモ結合とヘテロ結合の2種類があります。遺伝子座に同じ遺伝子が入った場合はホモ結合、別の遺伝子が入った場合はヘテロ結合といい(het)と表記されることもあります。
顕性遺伝(優性遺伝)
遺伝子座に1つでも入れば(ヘテロ結合)形質が現れる遺伝子です。2つ同じ遺伝子が入った場合(ホモ結合)でも形質に差はないようです。
例:アルビノ、アザンティック、リューシスティック、ピスタチオなど
潜性遺伝(劣性遺伝)
遺伝子座に2つ同じ遺伝子が入った時(ホモ結合)に初めて形質が現れる遺伝子です。遺伝子が1つだった場合(ヘテロ結合)は形質は現れません。
例:レモンゴースト、ジャガー
共顕性遺伝(共優性遺伝)
遺伝子座に1つ入れば(ヘテロ結合)形質が表現される遺伝子です。2つ同じ遺伝子が入った場合(ホモ結合)はより強く形質が現れるようです。共顕性遺伝のホモ結合は、「スーパー体」と呼ばれるモルフが誕生します。
例:アナコンダ、モカなど
知っておくべき用語
アルビノのような色素欠乏の個体を組み合わせることによって、様々な体色を表現することができます。アルビノは黒色色素欠乏という遺伝子疾患を持つ個体を指しますが、他にも爬虫類用語として多く存在します。その中からモルフ作出において基本となる用語をいくつか解説します。
アザンティック
黄色色素欠乏の遺伝子を持つ個体を指します。体色は白色と黒色のモノトーンとなり、黄色色素を抑制したいときに用いられる遺伝子です。逆に黄色色素が強く現れる個体は、ザンティックと呼ばれます。
アネリスティック
ブラックアルビノと呼ばれることもあり、赤色色素欠乏の遺伝子を持つ個体を指します。体色はアザンティックと同じモノトーンですが、欠乏色が違うので赤色を抑制する場合にはアネリスティックの遺伝子が必要となります。
アメラニスティック
一般的にアルビノと呼ばれる個体です。黒色色素欠乏の遺伝子を持つ個体を指し、白色の体に黄色や赤色の模様が現れます。
ハイポメラニスティック
黒色色素減退の遺伝子を持つ個体を指します。アルビノに似ていますが目は黒く、体色に赤色が強くでることがあります。
リューシスティック
白色個体でアルビノと間違われやすいですが、黒色色素を抑制するのではなく白色色素が多い遺伝子のため、目も赤くはなりません。模様(パターン)が消失する”パターンレス”とも言われています。
シシバナヘビの値段は?
シシバナヘビの値段は個体の大きさや年齢、オスかメスかの違いなどで左右されますが、モルフによって大幅に変わってきます。また、時価のような要素もあるためはっきりとこの値段とはいうのは難しいようです。ざっくりとした値段ですが、一部ご紹介しますので参考にしてみてください。
安価なシシバナヘビ
やはりシシバナヘビの中で最も安価であるのはノーマルのシシバナヘビでしょう。ワイルド個体と同じ模様をしており、基本となる種類です。ベビー個体で5,000円〜、成体で15,000円〜30,000円くらいの値段で販売されることが多いようです。
高価なシシバナヘビ
シシバナヘビには多くのモルフが存在しますが、表現の度合いなどで値段が様々です。高いものだと数十万で販売されていることもあります。その多くのモルフの中から3種類とそのお値段を、アバウトにですがご紹介させていただきます。
アナコンダ
オオアナコンダにちなんで名付けられました。通常よりも模様が少なく、腹部が白い輪郭のある黒色になるという特徴があります。35,000円〜100,000円と広い値幅で取り引きされています。
アナコンダ同士を掛け合わせると“スーパーコンダ”というモルフを作出できるようです。頭部を除いて模様が消失する「パターンレス」と呼ばれる柄です。こちらは50,000円〜100,000円ほどで販売されています。
アザンティック
こちらのモルフは黄色の色素を生成することができないため、白と黒のモノトーンのような体色となります。70,000円前後で販売されることが多いようです。モルフ作出のためアザンティックの遺伝子を用いることが多いようです。
ラベンダー
うす紫色の体色が特徴のモルフで、見た目の美しさから人気は高いです。流通されることは少ないようで、販売価格はシシバナヘビの中でも高額で取り引きされています。〜250,000円で販売されることもあるようです。
個性的なシシバナヘビを飼ってみましょう!
シシバナヘビの魅力は伝わりましたでしょうか?反り上がった鼻が特徴的で見た目も可愛らしいシシバナヘビは、専門的な知識が無くても、愛情をもって飼育できれば初心者でも飼うことができます。その飼いやすさからペットとして飼育する方が増えてきています。
そして、最大の楽しみはその品種の多さにあるといえます。専門ショップの方やブリーダーさんも、モルフの作出に力を入れる方も多いようです。そんな初心者でも飼いやすく、楽しみのあるヘビをペットとして迎えてはいかがでしょうか。
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