ライブドア事件は、日本経済とも大きく関わっています。たくさんの人から株を購入してもらい、そのお金で事業を展開して株主に還元していくのです。今回の騒ぎにおいて、日本の株式市場全体への悪影響を及ぼしました。捜査を東京地検特捜部が本社に実施した次の日からです。
株式市場の暴落「ライブドア・ショック」
このライブドア事件が取り上げられるようになった後の株式市場の暴落をライブドア・ショックと呼ばれています。ライブドアに関連した銘柄だけでなく株式市場全体の株価急落を指す用語と言われています。
事件前は1980年代を彷彿させるバブル景気時代と言えるほどの推移を辿っていました。日経平均株価も1万2000円台から1万6000円台に回復しておりバブルの再来と騒がれていた背景の中で、ライブドアが証券取引法に違反していると毎日のように放送されていました。
ライブドア関連7銘柄は売りに出され歯止めがかからない状況となります。特に深刻だったのはライブドア株を全体の1割扱っていた東証マザーズ市場です。10%以上の下落が生じました。更に、個人投資家などの大量注文が継続していることで異例の全銘柄取引停止措置が行われる金融パニックが引き起こされたのです。
子会社のライブドアグループからの離脱
ライブドアの子会社は多数ありますが、一連の騒動のため離脱を余儀なくされていきます。上場自体の廃止に追いやられたのはライブドアマーケティング並びにライブドアです。
そのほかにもメディアエクスチェンジ、セシールやライブドアオートといった子会社に関してライブドアを離脱します。ダイナシティは2008年10月31日に東京地方裁判所に民事再生法手続きを申請するような状態になりました。セシールはディノスを展開する会社でインターネット販売でも知られていますね。
エイチ・エス証券の野口英昭が自殺
この事件のキーマンであった野口英昭の死はライブドア事件を暗礁に乗り上げさせました。起こったのは2006年1月18日で沖縄県のカプセルホテルで非常ベルが鳴らされたことでホテル従業員が血だらけの野口氏を発見します。
病院に運ばれましたが亡くなられました。沖縄警察は自殺と断定し事件性はないとしました。しかし、自殺したには不審な点が何点もみられています。非常ベルが鳴っているのに気づいてホテル従業員が野口英昭氏を発見するのですが、腹部や手首など複数の部位に包丁による刺創がみられ、腹部に関しては致命傷になっていたほどです。
その状態で非常ベルを押しにいけるのでしょうか?また、自殺で躊躇いもなく自傷行為を行えるのでしょうか?それ以外にも睡眠導入剤が服用された形跡もあり、警察の対応においても死亡解剖や包丁の指紋も確認せずに捜査を終了してしまっているのです。「他殺」の否定が完全にできず他殺説の可能性も残す形となっています。
株主が受けたライブドアショックへの影響
過熱した株式相場でありバブルを彷彿させるような状況において大きい混乱を招きました。東証マザーズ市場において、大きな株価急落となり、それに伴い他の新興市場の株価にも大きな影響を与えました。
株主達は、「株価急落はライブドア事件の発端にある」として損害賠償を要求するために被害者の会を結成しました。そして、合計52億円の損失が発生したと訴えます。
また、こういった状況に陥る可能性は十分、考えられたにも関わらず捜査を強行した東京地検特捜部にも責任があると当時、ライブドアの公認会計士であった細野祐二が主張しました。そういった背景も加味して1株あたりを550円とする判決を下しました。これは、当初の下落額と比べて大幅な増額となったのです。
その他にもライブドアには多くの容疑がかかっていた
証券取引法違反容疑がライブドア事件においては主に取りざたされていて、今回の逮捕劇になっていますが、その他にも疑われていて立件があり結果として容疑のみで起訴に至らなかったことがあります。それはマネーロンダリング疑惑、株式の交換に関わっての不正などが挙げられます。今回は、その中で下記の3つについて説明します。
マネーロンダリング疑惑
東京地検特捜部は、マネーロンダリングについて捜査を行っていました。同じ六本木ヒルズに金融コンサルティングC社があるのですが、そちらにも家宅捜索をおこなっています。
ABS社はC社の下に付いている賃金業者の持っていた融資を株式交換によって15億円程度の価値があるライブドア株を売り、45億円現金で獲得します。そこを宮内亮治は見逃さずC社首脳陣と食事会を開催して投資事業組合への出資を依頼してきたという話です。
このお金は企業買収のためのものです。ライブドアの投資事業組合へ出資金を頂くといった複雑なお金の動きでマネーロンダリングを行っているのではないかと疑われました。
人材派遣会社トラインの買収
人材派遣会社トラインは株式交換の方式で買収される予定でありましたが、すぐに株は渡らずに、トラインの多額の債務を先ず解消するためにも資金の貸し付けを増やしました。
ライブドアは約束していた1億円でトライン株を取得しました。新株4万4448株を2004年3月15日に発行しました。そして、EXマーケティング社へ2430万円で売りに出しています。
発行された株についてもライブドアの投資事業組合(M&Aチャレンジャー1号投資事業組合)へ渡り、また別のライブドアの投資事業組合(VLMA2号投資事業組合)に現金で出資が行われ、香港のゲインウェル証券から東京株式市場に売られています。つまり、自社の投資事業組合を使った「自社株食いスキーム」だったのではないかと疑いがありました。
パイナップルサーバーサービスの買収
堀江貴文の率いるライブドアの前会社オン・ザ・エッジの時に行った企業買収についての違反を立件しようとも考え東京地検特捜部は動いていました。
堀江貴文が保有しているオン・ザ・エッジ株は貸株となっていたパイナップル社株を、大量保有報告書に記載されていなかったとして虚偽記載の疑いがもたれています(堀江貴文サイドは証券マンが売りぬいたと主張しています)。
マネーライフ社以外にも株式交換で不正があった?
マネーライフ社だけが立件して取り沙汰されていますが、株式交換による買収はマネーライフ社以外にも偽計取引の疑いがあります。ゼネラル・コンサルティング・ファームとJAMMに交換比率算定は集中していて、株式交換により買収はライブドア事件までに12にもなります。
トライン社、キューズネット社ウエッブキャッシング社、ロイヤル信販社、クラサワ社、ABS社、などが疑いで浮上しています。どこの会社にでも共通して言えることは株式交換で発行された株式はライブドア関連組合に譲渡される表明がなかったことです。
ABS社に関しては従業員0、売り上げ0の会社でありましたが、株式交換直前に10億円の増資をしています。シークエッジという会社の代表であり友人であるS氏が株式交換を行い、ライブドア株を売却して巨額の利益を得ているとして疑われました。しかし、決定的な証拠も見つからず立件まではいっていません。