アダンソンハエトリは最強ハンター!かわいい益虫の特徴や生態まとめ

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メインの前中眼は視野こそ狭いものの網膜に解像度の高い像を結ぶことができますので、彼らの目は私たち人間の目にある意味では近いと言えるかもしれません。この目を使って、メスはオスが踊る求愛ダンスのジャッジをしたりもします。

アダンソンハエトリはなぜ家の中に生息しているの?

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気がつくと近くの壁にひょっこり現れていたりするアダンソンハエトリ。彼らはどのようにして、またどのような理由があって私たちが暮らす室内へとやってきているのでしょうか。ここから詳しく見ていきましょう。

小さなスキマから侵入する

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玄関のドアのスキマや、網戸とサッシの間にわずかにできたスキマ、通気口など、小さな彼らにとってはあらゆるスキマが入り口となり得ます。そうっと室内へ入り込み辺りを見回したその時から、彼らの狩りは始まっているのです。

エサが豊富にある

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人間からはどんなにゲテモノに見えたとしても、アダンソンハエトリたちからしてみると先ほど名を挙げた虫たちはたいへんなごちそうばかり。豊富な食材を求める彼らの足はこうして私たちの家に向くこととなります。

外敵が少ない

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人間の害虫を食べてくれる存在としてこちらも有名なヤモリ。食物連鎖でもう少し上位に位置する彼らは、アダンソンハエトリのような蜘蛛もぺろりと食べてしまいます。こうしたトカゲの仲間や鳥たち、自分より大きな他のクモなどの外敵が少ないので、人の住まいはとても安心な場所。

そこに住む人間さえ自分を退治しないでいてくれるならば、人の住まいは安全で、マイペースにおなかいっぱい食べて生きていける素敵な場所だとアダンソンハエトリたちは思っていることでしょう。

アダンソンハエトリと同じハエトリグモ科のクモ

ここからはアダンソンハエトリの仲間たちを少しご紹介していきます。それぞれ姿形や模様など個性的なハエトリグモたちばかりです。気になったクモがいた方は出会えそうな場所へ探しに行ってみるのも楽しいかもしれません。

ハエトリグモ科のクモ①シラヒゲハエトリ

シラヒゲハエトリというクモは、口の周りにもふもふと密集した白い毛を持っているのが特徴です。アダンソンハエトリのメスにもほんの少し似ていますが、この種類は室内に来ることはあまりありません。彼らは主に屋外でアダンソンハエトリのものと似たタイプの小さな巣を作り、その周りをテリトリーとして動き回って生活しています。

ハエトリグモ科のクモ②アオオビハエトリ

アオオビハエトリは体に青いラインが入ったおしゃれさんです。庭園や神社では見かけることがあっても、特別人間の家の近くの虫を取って生活しているわけではなく、平地でアリを主食にして暮らしています。アダンソンハエトリと同じく多少メスの方が大きいのですが、この種類はオスとメスで色柄が一緒です。

ハエトリグモ科のクモ③チャスジハエトリ

次にご紹介するのはチャスジハエトリ。頭からお尻まで帯状の2本の茶色い筋がまっすぐに走っています。この写真の個体はオスですが、メスの方は体全体がもう少し暗い色で、中心線も白ではなく、わずかに模様と判別できるくらいの暗い茶色をしています。こちらもアダンソンハエトリと同じく、世界中の室内においてよく見られている種類です。

ハエトリグモ科のクモ④アリグモ

真っ黒な細身の体に、口元の大きなアゴ。ぱっと見ではどうしても少し大きめのアリだと思ってしまいがちですが、彼らはアリに姿を似せた、その名もアリグモ。よく見ると足はきちんとクモの仲間らしく8本あります。アリは攻撃的で強い虫と虫の世界でも知れ渡っていますので、それに似せることで自分の身を守ろうとこのような姿になったようです。

ハエトリグモの最大種は?

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ハエトリグモの仲間は今までお伝えした他にも世界中にたくさんいます。1番大きい種類だとどのくらいの大きさになるのでしょうか。もしかすると大きさによって食べているものも、アダンソンハエトリなどの小さい種類とは違うのでしょうか。ここではハエトリグモの最大と言われている種類のものについてお伝えします。

ジャイアントグレイジャンピングスパイダー

英語名でPhidippus octopunctatusという名を持つ種類がこう呼ばれるそうです。体全体が茶色がかったグレーの毛に包まれています。これまでご紹介してきたハエトリグモの仲間たちが大きなメスでも1cmほどなのに対して、この種類はその倍以上の2.5cmにも成長します。

アメリカやメキシコに住む大きな体を持った彼らは、バッタや蜂などの大きな虫も取って生活しています。『2.5cmか…もっと他の大きいクモのことが知りたいよ』というクモ好きさんはこちらの記事をぜひご覧ください。

アダンソンハエトリをどうしても駆除したい時には

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特にお願いせずとも人間の助けになってくれているアダンソンハエトリ。とは言っても、ご家庭によっては、赤ちゃんやペットへの影響が心配だからやっぱり家に置いておけない…といった状況も考えられます。そうした、彼らにお引き取りいただきたい時や、そもそも彼らが家に来ないようにしたい時にはどうしたら良いのでしょうか。

家の中を清潔に保つ

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コバエは生ゴミなどの匂いにつられてやってきますし、ゴキブリも然り。またゴキブリやダニは私たちが生活しながら知らず知らずに落としている古い細胞までも食べると言いますから、布団をよく洗ったり干したりして清潔にしたり、カーペットや畳などは特によく掃除機をかけて清潔にしておくと良いでしょう。

気がつくと既に入ってきていた小さな虫などが死んでいることもあるサッシの周りなどの掃除もお忘れなく。虫除けを考えずとも、清潔でリラックスできる部屋をいつも保っていける習慣ができたら理想ですね。

エサとなる虫を駆除する

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アダンソンハエトリなどのハエトリグモたちは食事になる虫がいるところにやってきます。ひとつ前の項目とも重なりますが、室内の虫が現れがちな場所を清潔にして虫が来ない状態にしたり、それらを直接駆除することでクモたちのエサになる虫がいない状態にしておくと、結果としてクモたちも来ない環境を作ることができます。

侵入できるスキマを作らない

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サッシにスキマをなくすテープを貼ってみたり、劣化してきた網戸のゴムを直してみるのもいいかもしれません。スキマがなくなることで虫除けだけでなく冷暖房の効率も上がりお財布にも優しくなりますから一石二鳥です。

ハーブで寄せ付けない

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ハーブの中には虫たちが嫌がって近づかないものがあります。それらの鉢植えを彼らの出入り口になりそうな場所に置いておくだけでも一定の効果は見込めます。でもさらにしっかりとした効果が欲しい!という方に向けて、お次はハーブで作る虫除けグッズをご紹介していきます。

アダンソンハエトリなど虫を寄せ付けないハーブの作り方

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ここからはハーブの力を利用した虫除けグッズの作り方をお伝えしていきます。清潔になった室内にさらに虫が寄り付かなくなる効果の他、アロマの効果も期待できますので、アダンソンハエトリに頼らなくても大丈夫!という方はぜひ試してみてくださいね。

ハッカ油スプレー

ハッカやゼラニウムなどの香りは、虫たちが苦手とする香りです。ハッカ油を20滴、またはゼラニウムの精油10滴ほどに対して、水を90mlと無水エタノールを10ml用意し、全て合わせてスプレー式のボトルに入れてよく振れば出来上がりです。効果不足を感じた時は多少ハーブの成分を何滴か増やしてみるとよいでしょう。

ハッカ油のアロマスティック

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先ほども登場したハッカ油や精油を1に対して無水エタノールを9の割合でボトル(油に強いもの)に入れ、そこに竹串を数本入れればあっという間に見た目にもおしゃれなアロマスティックの出来上がりです。虫除けには玄関や窓際などに置いておくと良いでしょう。

ハッカにはメントール成分からくるリフレッシュ効果がありますし、バラに似た香りのゼラニウムは自律神経やホルモンの分泌を整えて心身のバランスをよくしてくれます。ハッカやゼラニウム以外にも虫除けになるハーブはありますので、効果はそのままにお気に入りの香りを探してみるのも楽しそうですね。

アダンソンハエトリのように有益なクモだけではない

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世界のクモたちには多くの種類があり、中には毒を持ち、人間に危険を及ぼすものもいます。ここからは日本でも出会うことがないとは言い切れない、注意が必要な種類のクモについてお伝えしていきます。

毒を持つクモ①セアカゴケグモ

読者の皆さんの中には1995年にセアカゴケグモが日本で発見され大変な騒ぎになったニュースを覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。本来日本にはいなかった外来種のセアカゴケグモは危険な毒グモのひとつです。

彼ら(彼女らというべきかもしれません。毒はメスのみが持っています。)は基本的には攻撃的でなくおとなしい性格であるものの、刺されてしまうと激痛を伴って腫れ、高熱が出たり全身に症状が現れることもあります。もしもの時はすぐに救急車を呼ぶことを強くおすすめします。

毒を持つクモ②カバキコマチグモ

カバキコマチグモは、口の周りが黒に近い焦げ茶色である以外は全身黄色っぽい体をしています。特別毒々しい見た目はしていませんが、彼らはもともと日本にいる種類である上に猛毒の持ち主なので注意が必要です。主にススキやガマのような大きなイネ科の植物の葉っぱを丸めて巣にしています。

このためお子さんと原っぱに出かける時や川辺のレジャーなどは特に注意が必要です。刺されてしまうと、刺されたその時だけでなく長続きする激しい痛みには点状出血が伴います。さらに発熱や頭痛などを引き起こすこともあり、時には呼吸困難やショック状態に陥ることまである、とても恐ろしいクモです。

毒を持つクモ③ハイイロゴケグモ

ハイイロゴケグモのメスも、セアカゴケグモと同じ成分の毒を持っています。また、彼女らと同じく1995年に初めて日本(神奈川県)にやってきているのが確認されました。今のところは噛まれた被害報告は出ていないようですが、東京や大阪、沖縄など日本の各地で出没が確認されていますのでこちらも注意しておくとよいでしょう。

毒を持つクモ④クロゴケグモ

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クロゴケグモは英語でブラック・ウィドウと呼ばれており、この名はアメリカ空軍の戦闘機名やマーベルのキャラクターの名にも使われています。オスよりメスの方がはるかに大きく、メスの体長で4cmほど。背中から見ると漆黒に光る体をしていますが、お腹にははっきりとした赤い特徴的な模様があります。

人間が咬まれると患部は15cmほども腫れ上がり、心拍や呼吸が乱れたり麻痺などを引き起こし、最悪の場合は死に至る危険なクモのひとつです。こちらも本来日本にいない種類でしたが、山口県の米軍基地で2000年に初めて見つかって以降、根絶を目指したようですが今でも時々見つかっているようです。

ハエトリグモたちの本がある!

世にも美しい瞳 ハエトリグモ

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こちらの『世にも美しい瞳 ハエトリグモ』は、ハエトリグモたちに魅せられた作者が彼らたちの生態や種類、魅力にじっくりと迫った盛りだくさんの内容となっています。今回の記事で彼らのことがもっと知りたくなった!という方にはとてもおすすめの本です!彼らのその美しい瞳を堪能できること間違いなしです。

アダンソンハエトリは家を害虫から守る益虫

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いかがでしたでしょうか。アダンソンハエトリたちは今日も私たちの見ていないところで、室内を快適にするお手伝いをしてくれています。今度見かけた時には『よ!調子どうだ?』『いつもごくろうさま!』などと、その小さく頼もしいスパイダーマンの背中に声をかけたくなるかもしれませんね。

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