先ほどもお伝えしたようにアダンソンハエトリは、いわゆるクモの巣を作ることはありません。また、狩りの際に糸で獲物を縛ったりすることもないのです。彼らが糸を使うのは、移動中は自分の命綱としてだけ。1本の糸だけを頼りに飛び回る姿はまるで忍者です。
彼らも時々このような自分の体長の2倍ほどの小さな巣は作りますが、それはトラップとしてではなく、基本的に寝に帰る家としての役割のものです。成長に伴って脱皮する時なども安全なようにこちらで行うようです。
特徴⑤雌雄の差が大きい
アダンソンハエトリは、一見すると別の種類なのではと思ってしまうほどにオスとメスの姿がはっきりと違っているクモです。先ほどからご紹介している、黒い体に白い三日月模様が入っている、ツキノワグマのような姿をしているのは実はオスのほうだけなのです。
メスはどんな姿をしている?
アダンソンハエトリのメスはこのような色をしています。メスにもオスと同じような模様はあるのですが、メスは体が茶色いこともありそれが目立たず、全体的に地味な印象です。ちなみにこうした、生き物がオスとメスではっきりと違う特徴を持っていることを、性的二形と呼びます。
性的二形には、キジやクジャク、オシドリ、鹿やカブトムシなどのように色や角によって見栄えに差がある場合や、クモの仲間では、オスがメスの4分の1ほどの大きさにしかならないといった体格に差がある場合など、その生き物によって多種多様なものがあります。
アダンソンハエトリは益虫!捕まえてくれる家の害虫は?
生物が生きていく上で、食物は欠かせないものです。アダンソンハエトリたちは私たちが害虫と呼ぶような虫たちを食べて生活しており、結果として私たちとっては良い影響を及ぼしてくれるクモです。彼らに食べてもらえる害虫とはどのようなものなのでしょうか。
アダンソンハエトリのエサ①ハエ
アダンソンハエトリの代表的なエサに当たるものがハエの仲間です。『窓を開けたまま洗濯物を干していたら気がつくと室内にハエが入ってしまっていた…』『シンクの生ゴミにあっという間にコバエが来てしまって退治するのしんどい…』という時にはアダンソンハエトリに任せておけばいつの間にか退治してくれていることでしょう。
アダンソンハエトリのエサ②ゴキブリ
キッチン周りは特にですが、知らず知らずに落ちた食品のかけらや、生ゴミなどに誘われてコバエだけでなくゴキブリをも呼び寄せてしまうことがあります。明らかに最初から大きいものが飛んできたりした場合なら直接退治する他ありませんが、実は外からやってきたり室内で生まれた子供が成長して後々現れていることも多々あります。
ゴキブリも成長段階の小さいうちなら、アダンソンハエトリたちに退治してもらうことができます。特にこうした時期の個体は私たちにとっても見つけにくい上に取り逃がしてしまうことも多いですから、大変ありがたいですね。
アダンソンハエトリのエサ③ダニ
これもまたかなりありがたいことに、カーペットなどにいると退治が大変なダニも、アダンソンハエトリにかかればそれらを捕まえるのはお手のもの。体は小さいけれど本当にアダンソンハエトリたちは頼もしい存在なのです。
アダンソンハエトリのエサ④蚊
アダンソンハエトリは蚊も食します。これからの暑くなる季節になるとこの小さなヴァンパイアたちも増えてきますから、蚊取り線香の匂いが強くて苦手な方はアダンソンハエトリに蚊の駆除をお願いするのもひとつの方法かもしれません。
実際に蚊の退治をお願いした人がいた!
この投稿者さんはとても大きな蚊に刺されあまりに頭にきたがために、その蚊を普通に叩き殺したり殺虫スプレーに頼ったりするのではなく、あえてアダンソンハエトリ(の、オスのようですね)と一緒に透明のケースに蚊を入れ、彼に仇をとってもらうことにしたようです。結果は無事成功!
また、補足になりますが、室内だけでなく家の周りの虫も減らすことができたなら…という方は、家の外は女郎蜘蛛に担当してもらうのもよさそうです。見た目は少々インパクトがありますがこちらも人間にとっては良いクモと言えます。彼らに関する詳しい記事はこちらになりますので、気になった方はどうぞ。
アダンソンハエトリの名前の由来
『アダンソンハエトリ』という、そのどことなく賢そうなかっこいい響きの名前は、一体どこからやってきたのでしょうか。ここからは彼らがその名で呼ばれることになったいきさつをお伝えしていきます。