大惨事となった尼崎脱線事故を起こしたJR西日本ですが、JR西日本側の体制なども問題視されてきました。事故の後のJR西日本側はどのように変わったのか。事故後の取り組みについて紹介していきます。
社内にとどまらない第三者評価システム「DNV GL」
JR西日本は今まで社内で行っていた安全管理を外部の「DNV GL」に委ねて第三者による安全管理体制を2015年から導入しています。専門的知識を持つ第三者に監査に同行してもらい安全管理体制の運用とレベルアップを図ることを目的としています。
国土交通省は、この脱線事故をきっかけとして2006年に運輸安全マネジメント評価を取り入れています。社内のみの評価では身内に甘くなるという懸念があったため、JR西日本は身内による監査ではなく第三者機関による安全管理評価を導入しました。
日勤教育の見直し
利益を優先していたために日勤教育はミスをしないように精神的に追い詰めさせるような懲罰的な日勤教育から、技術を見直す実践的な教育へ変更されたとされています。危機管理をもって安全管理に努めるように体験をしてもらうなど改善はしているようです。他スパルタ教育に関する事件に興味がある方は下の記事をご覧ください。
JR西日本は現在では「安全こそ最大の使命」との企業理念を掲げ、事故の教訓を繰り返し伝えるための研修を全社員に実施させており安全取り組みの強化や、ヒューマンエラー非懲戒などの新しい制度を打ち出し新しい教育制度を取り込んでいます。
計画運休の導入
JR西日本は、安全への取り組みとして台風などの自然災害が予想される場合などに事前に運休を決める計画運休が導入されています。当然予想のため、計画運休を行ったが空振りに終わることもありますが、利益よりも客の安全を考慮した取り組みとも言えます。
2018年の台風の際にも計画運休を実行しているJR西日本ですが、この計画運休はJR西日本だけでなくJR東日本や他の私鉄でも追随していき徐々に安全への取り組みが全国へ広がってきています。
尼崎脱線事故以外の大きな鉄道事故
尼崎脱線事故以外にも日本での鉄道事故はいくつかありますが、ここではその中で4つの事故を紹介します。紹介する3つと比べて尼崎脱線事故がいかにも大惨事の事故だったのかが見えていきます。
西成線列車脱線火災事故
1940年に起きた事故になります。これは駅員の誤操作という完全な人為的ミスとなる事故で脱線して横転した後に燃料のガソリンに引火して火災が発生してしました。この火災により189名の方が焼死してしまい、69名の方がケガをされています。
本来であれば、分岐器には安全装置がつけられており列車が通過している途中には分岐器が固定されているため線路を切り替えることができませんが、事故が起きた西成線んには当時この安全装置は設置されていませんでした。また、火災により焼死したのが189名にも及んだのは朝のラッシュ時のため、避難が困難だったことが原因と言われています。