このように、幼体のまま大人になり寿命を全うする生物のことを幼形成熟(ネオテニー)と呼びます。体は幼体のままですが生殖機能だけが発達していくという成長の形で、多くは昆虫などに見られます。同じ両生類であるカエルはおたまじゃくしから変態する生き方を選びましたが、その真逆の生き方を選んだという事です。
幼体のまま成長する
名前だけを聞いて私達が咄嗟に想像する姿は、恐らくほぼ確実に幼体です。子供の体のまま生殖機能だけが発達し、繁殖は出来るように成長していきます。繁殖機能は幼体であっても差し支えなく、子孫を増やすことができます。
寿命を延ばすために成体しない
彼らは敢えて成体しないように進化を遂げてきました。それは陸上で生きていくのが困難であったからと考えられています。小さな手足は陸上を歩き回るのに適さず、肺呼吸の方がより肺に負担がかかります。
実際、成体化に成功しても多くは幼体のままでいるより早く死んでしまいます。飼育下では8年ほど生きるところ、成長させてしまうと5年程度に縮んでしまうとも言われています。そのため野生では一生子供の姿のまま、つまり水生生物でいる事により寿命を延ばそうとしたのです。
ウーパールーパーを人為的に成体にする方法
しかし、成体になった姿を見てみたいという方には人為的な方法で成体化させるやり方を2つご紹介します。姿が変わってしまうため飼育法も若干変わること、またこの方法を試しても100%成体になる訳ではないという事を踏まえて試してみて下さい。
水位を下げる
幼体は水生生物ですので、徐々に水位を下げていくと陸でも生活出来るように成体へ変化する事があります。時間はかかりますが、より自然の状態に近いので体の負担が少なく安全性の高い方法です。
ホルモン注射を打つ
早く成体にしたい場合、ホルモン注射を打つのも効果的です。幼体は大人になるためのホルモンを意図的に抑えることでその姿を保っています。そのため、ホルモン注射を打つと成長が促されて成体へ変化します。
ウーパールーパーを成体にしたくない時の水槽環境
前章では成体にする方法をご紹介しましたが、今度は逆に成体にしたくない時の飼育環境について説明していきます。飼育環境によっては偶発的に成体化が始まってしまうことがありますので、変態させずに飼育したい場合は下記の点に注意してみて下さい。
水の温度を適温にする
まず水温を調節する事が大切です。住みにくい温度だと陸地に上がろうとして成体になってしまうからです。野生では冷たい水の中で暮らしているので水温は20度くらいまでが理想です。夏場などで水温を下げるのが難しい場合でも、30度は超えないようにしましょう。