これまでの事件はほどんどがけが人もおらず、また犯人を除けば乗客に死者が出ないようなものばかりでしたが、しかしもちろん凄惨な事件となり、被害者が出た事件も存在します。その一つがこの事件です。
2000年「西鉄バスジャック事件」
発生は2000年の7月22日、当時17歳の少年の手によって、佐賀駅発福岡天神行きのバス「わかくす号」が乗っ取られたのです。そして、この事件は怪我人だけでなく死傷者も出ている事件になります。
事件は同日午後1時半ごろに起きたそうです。午後0時56分発の佐賀駅発バスを乗っ取り天神には行くなと犯人が告げたのです。犯人は乗客の中に混ざっており、運転手の真後ろに座っていた少年でした。刃渡り30センチにもなる短刀と持ち、運転手に東に走るよう脅します。
また、乗客にも細かく指示を出して簡単に男性乗客が犯人に近づけないように後部座席に全員を追いやり、後にトイレに行くことを許可し路肩にバスを止めさせます。もちろん、この時も逃げると全員殺すと脅しはかけていたそうです。
しかし、最初の一人目で降りた城郭女性は戻ってきませんでした。そのことがあり、犯人は女性客を一人短刀で刺します。これによりほかの乗客にさらなる恐怖心を刻みます。その後、幾度かに分かれて脱出を走行中バスから脱出を試みる乗客が現れます。
当然、そのことを知った犯人は怒り、人質である女性乗客を指していきます。その後刺された女性3人は解放されますが、その時点で二人が重傷、一人が死亡していました。開放された場所は広島の奥谷パーキングエリア。
犯人が犬儒や防弾チョッキ、スタンガンなどを要求するためその交換条件として怪我人を解放するという物でした。しかし時すでに遅く死者も出てしまったのです。そして、3時間の膠着状態の後、再びバスは走り始めます。
今度は警察の先導のもと走り始めますが、給油のために小谷サービスエリアに立ち寄ります。この時犯人は、東京の霞が関に行きたいと語っていたようです。また、ここでも最高齢の乗客を解放することとなるが、かたくなに他の乗客は開放しない姿勢でいたようです。
同時刻、犯人の両親や担当医が来るも、説得には応じず少年は興奮するばかり。そんな状況の中日付も変わり突入が実行に移されます。午前5時頃、SATによって乗客は解放され、一人負者がでるも、犯人逮捕となりました。
当時犯人は、ネットで犯行予告をしていたようで、動機はいじめによる精神的な病から来たもので、当時愛知県で起きた豊川市主夫殺人事件の影響を受けて、自身も無差別な殺人を犯そうと考えていたそうです。
元々は母校である学校で生徒を殺して、最後は自殺しようと考えていたそうですが、ゴールデンウィークだったこともり休校だったため、バスの乗っ取りに計画変更して今回の事件を引き起こしたと語っています。
Contents
過去からの教訓!現在のバスジャック対策は?
過去の事件について紹介してきましたが、色々な動機がありながらも迅速な対応や警察やバス会社の対応といった面でいざ事件が起きてからの対策というものが重要と考えられるようになりました。そこで現在講じられている対策についてみていきましょう。
きっかけは「西鉄バスジャック事件」
そもそも事件が起きたときにどうするかという対策が積極的に詳細に決められるきっかけとなったのは2000年に起きたわかくす号をのっとられた事件になります。この事件では1977年以降の乗っ取り事件以来の犠牲者を出したことと、被害者に死者が出たことで衝撃を生みました。
また、犯人が17歳の少年という問題もさらに衝撃を大きくする要因でした。犯罪行為に年齢差は関係ないと考えながらも、このような若い人間が犯行に及び、さらには可能にしてしまう環境があるということで具体的対策を講じなければならないと考えるようになったのです。
バスジャック対策①防犯灯設置
具体的に講じられた事件対策についてみていきましょう。まずは防犯灯の設置です。事件が発生したときにいかに迅速に車外へ異常事態発生を伝えるかが重要となります。そのため、これらの防犯灯が新たに新設されるようになりました。
バスジャック対策②ハザードランプ装置
これまでも車外へとの異常事態発生の知らせとしてはハザードランプ店頭やパッシングによって伝えるような行動をとっていましたが、新たにハザードランプ装置の設置も決まりました。こちらも迅速に緊急事態を知らせるための策になります。
バスジャック対策③「異常事態発生」の表示
いかに迅速に知らせるかという点では上記2点も確かに伝えられる方法ではありますが、そもそもバス周辺を通る車が気づいてくれるかという点ではまだ不安が残ります。そこで、行き先表示板に「異常事態発生」の表示を行えるようにするという策も講じられました。
各社によって表示の文言は変わるものの、異常事態発生やSOSといった言葉を行き先表示欄に表示することで、異常事態の発生を直接的にわかりやすく車外へ伝えることができるようになっています。
バスジャック対策④緊急通報システム
車外へと異常事態を知らせる対策と同時に、バス会社に異常事態の情報をいち早く伝えるシステムも講じられました。このシステムでは、バスのGPSによる位置情報はもちろんのこと、到着予測時間、移動中バスの緊急事態を迅速にバス会社に送るものです。
また、データを送信するための通信装置もしっかりと搭載しており、いち早く緊急事態の情報を把握し管理できるような仕組みになっています。
もしバスジャック事件の乗客になってしまったら…
バス会社が異常事態発生時に何らかの対策を講じてくれていることはわかりましたが、しかしいざ自分がそんな現場に乗り合わせた場合、その時には自分でも冷静に対処する必要があります。その対処法を見ていきましょう。
バスジャック事件の乗客になったら①落ち着いた行動を
まずは何といっても落ち着いて行動することです。今回紹介した事件では、携帯が普及した時代に起きた事件もありますが、どれも乗客の携帯電話によって事件が通報されたものではないことが分かります。
事件によっては犯人によって携帯電話を没収されるケースもあるわけです。そうなると警察への連絡は外部を頼るほかなくなり、通報が遅れるということは対応も遅れてますます不安が大きくなり、パニックを起こすことにもつながります。
しかし、パニックを起こして行動すると犯人を刺激して余計な犠牲者を出す可能性もありますし自分に危害が及ぶことも少なくありません。慌てず冷静に行動し、運転手と警察の対応を待ち、必要あれば協力して極力刺激しないように振る舞うことが求められます。
バスジャック事件の乗客になったら②脱出はむしろ危険
冷静な行動をとって犯人を刺激しないことが重要とお伝えしましたが、これに関連して走行中のバスからの脱出は危険ということも抑えておかなければなりません。走行中バスからの脱出は2点の危険性があります。
一つは、たとえ脱出が一時的に可能だとしても事故に合って怪我をする可能性が高いこと。二つ目が残った乗客の命のリスクが高まることです。一点目については、走行中のバスでかつ乗っ取られた状況の脱出となると、かなりタイミングは限られます。
ましてや走行中のバスということは、周囲を走行する車の動きもあります。犯人の一瞬のスキを突くことができても、走行中の周囲の車の動き全てを呼んで脱出はかなりの危険性があるのです。
また、バス後方に設置してある脱出用扉はあくまでも停止中のドアが開かないといった緊急時に利用を考えられたもので、走行中バスからの脱出は想定外の物です。怪我や二次的な事故を引き起こすことが考えられますので危険です。
さらに、脱出ができたとしても残された乗客の命のリスクはさらに高まることは避けられません。犯人を余計に刺激して、実際に死傷者が出た事件もあります。こういったことを考えると、安易な脱出は逆に命の危険が増すことがわかるでしょう。
生存率が高まるかも?バスの安全な席
今回の事件に限らずですが、バスを乗る際に危険をできるだけ避けて、生存率を上げられる安全な席があれば知っておきたいものです。そこで、安全といわれる席について調査していきます。
バスジャック事件から事故につながる可能性も…
今回のような事件だけを見れば、もちろん命の危険があることはわかりますが、それ以外にもいろいろな危険が考えられます。そのうちの一つとして最も大きなものが、重大な事故を引き起こす可能性があるということです。
犯人が発狂して運転手を殺す可能性もありますし、ハンドルを奪って運転を行う犯人がいるかもしれません。どうなるかはわかりませんが、しかしどちらも事故につながる可能性が十分考えられます。
中央右側が一番安全
ジャックの事件が事故につながる可能性があるという点も踏まえれば、バスに乗車する際には比較的安全な席を選びたいものです。ではどこが一体安全な席といえるのか、調査したところその席は中央右側ということが分かりました。
この理由は、どうやらバスの構造に起因しているようです。まず非常口と乗車口が対角線になっており、その線上にこの安全とみられる席があります。緊急時にどちらかの扉が使えなくなっても臨機応変に対応できます。
また、構造上この席周辺が強度が高い点も安全とみられる理由です。運転席周辺は器材などが沢山あり、運転手自身の衝撃などの安全のために衝撃を最小限に抑えられる構造になっています。また、バスのタイヤ上のカバーは湾曲しておりあらゆる方向の衝撃に強くできています。
これらの構造面から考えると、タイヤ上付近の席は比較的安全と考えられます。これらの要点をまとめて考えて、バスの中央右側、中でもタイヤの上周辺の席が最も安全と考えられているようです。
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世界のバスジャック事件
凶悪なジャックが行われる事件は何も日本だけではありません。世界に目を向けるとまだまだひどい事件が多数あります。中でもこの事件は全世界に衝撃を与えた事件として有名です。
史上最悪と言われたブラジルのバスジャック事件とは
史上最悪の事件といわれるこのジャックは、ブラジルで起きました。犯人は、かつてブラジルでストリートチルドレンとして育った男性だったと言います。彼はリオデジャネイロ市内を走るバスを乗っ取り乗客を人質にとり、バスに立てこもったのです。
当時バスに並んでいた客によって、犯人が銃を所持しているところを目撃し通報したことで事件が発覚しました。すぐさま突入した警官でしたが、犯人は人質を理由に警察に引き下がるよう警告。
そして、逃走用の車を要求し一時膠着状態となりました。警察側は市街戦では世界最強とうたわれる特殊部隊「ボッピ」を用意し、スナイパーなどを配置しますが、犯行現場周辺はマスコミなどもおり生中継中の状況であったため、犯人に発砲は行える状況でなかったそうです。
そんな状況の中、犯人からの要求に応じない時間が刻一刻と過ぎていく中で、犯人もついに業を煮やして驚く行動をとります。人質とカメラに映る位置まで移動し、口紅で窓に文字を書き始めました。
それは、要求にこたえないと人質を皆殺しにするという内容。午後6時までをリミットにするという物でした。そして、時間がさら過ぎ、ついに犯行予告の6時に差し掛かると思われた時間に発砲が行われました。班員がリミットを前に女性を撃ったのです。
そして犯人は二人目の人質を連れさらに警察やマスコミに要求を出します。その要求は自分を映せというものでした。自分はカンデラリアにいたことを述べ、また立てこもりを続けたのです。そして、事件発生から4時後、犯人が再び動き始めます。
どうやら投降しようと人質の女性を抱えたままバスを降りてきたのです。しかし、そこで衝撃が起きました。特殊部隊が犯人との距離30センチメートルの至近距離で発泡。その銃弾は女性の方にあたり、女性は死亡しました。
また、犯人も警官隊に拘束されるも、暴れる所を押さえつけようとした警察官が誤って首を絞めてしまい犯人も窒息死してしまったのです。当時この事件の結末を見ていたブラジルの人たちはすさまじい衝撃を受けたといわれています。
しかし、その衝撃はこれだけではありませんでした。というのも、事件後の調査で分かった背景にはあまりにも心傷む事情があったのです。というのも犯人は、そもそも人質を子押すつもりはなかったそうです。人質たちに決して殺さないと話していたことが分かっています。
リミット前に撃った女性も実は乗客と協力した芝居であり、迫真の演技だったのです。なぜ犯人がこうまでして犯行に及んだのか、その動機についても知られざる内容があらわになりました。その理由はかつて起こったカンデラリア教会虐殺事件と関わっていたのです。
この事件は、パトカーに投石したストリートチルドレンが警官に報復行為にあったという物でした。警官たちは協会に寝泊まりする子供に対し、無差別に発砲し殺したのです。そして、その場所にいたのが犯人でした。彼は警察への恨みがあったのです。
犯人は成長して大人になると、生きるために必要な犯罪を繰り返すようになりますが、今回の事件も当初はただの現金をゆすり取ろうとした事件でしたが、警察への不信感から、大々的になってしまっただけの物だったそうです。
元々の事件の存在や彼の生い立ちをを知ったブラジルの人たちの心には、今回の事件にかかわった警察の失態や過去の事情や背景を知り大きな悲劇として残っていったといわれています。
ブラジルのバスジャック事件は映画化も。「Bus174」
上記で紹介した事件はあまりにも衝撃的な結末で、犯人が抱えていた背景などから映画化もされました。その作品が「Bus174」と呼ばれるものです。この映画のテーマは、この事件の真相や調査はもちろんのこと、スラムの実態やブラジルの刑事司法も扱いました。
また、司法がスラムをどのように扱っているかも焦点が当てられたといわれています。内容は、事件をそのままに再現しているようで、強盗を企てる犯人が強盗失敗後、4時間印もわたり人質を取ってバスを乗っ取って、その状況は生中継されるというものです。
バスジャック以外の日本の犯罪
日本における交通機関の事件はバス以外にもいろいろなものがあります。中でも近年凶悪なものとして挙げられる一例を紹介します。
瀬戸内シージャック事件
この事件は、船をジャックした事件位なります。1970年5月12日に起きた事件で、広島県と愛媛県の間、瀬戸内海で起きた旅客船の乗っ取り事件です。船の名前は、ぶりんす号と呼ばれる船になります。
当時事件は船の乗っ取り以前に起きており、車の盗難を過さねて犯罪を犯していました。この車の盗難時点では、仲間の班員もいたようですが、船の乗っ取り以前につかまり逮捕となっています。そうして、船が乗っ取られた後幾度も交渉と人質解放が行われました。
しかし、乗客の開放はしながらも一向に乗員の開放は行わせず、犯人は何度も船の出向を行うので、これ以上手はないと考えられ狙撃が行われます。一瞬の出来事でしたが、左腕に充てるつもりが胸にあたってしまい、犯人射殺という形で事件は終わりました。
新幹線のぞみ車内殺人事件
こちらの事件は記憶に新しい人も多いと思いますが2018年にのぞみ新幹線内で起きた殺傷事件となります。神奈川県の新横浜駅から小田原駅までの間を走行中の新幹線内で起き、犯人は乗客3人を切り付け1人を殺害、2人軽傷という事件でした。
事件の被害者は後に犯人の供述から誰でもよかったとされており、座席に座っていた人を無差別に傷つけたものと判明しました。また、死亡が確認された被害者は被害者二人をかばって犯人に立ち向かった人物だったようです。
最終的には、小田原駅で緊急停止後、警察によって取り押さえられる形で班員逮捕となりました。犯行動機は、刑務所に入りたかったと言っており、精神鑑定にもかけられましたが、刑事責任能力があると判断され、殺人罪で起訴されました。
バスジャックにおける犯罪心理の共通点
限定的な犯罪ではありますが、今回紹介した事件の多くが精神的な異常や心理状態によって起こされた事件であり、そこには多くの共通点があると考えられています。
抑制された環境
特に子供でも起こしてしまった事件に関してはこのポイントが大きく関係してくるようです。動機の多くが周囲の環境の悪化が関係しており、例えばいじめや当日に親との口論を起こして犯行に及んでいるものが多いです。
こういった環境で悩み苦しんでおり、抑制された環境となり何かしてやろう、あるいは自分にはもう何もないのだという心理様態から精神錯乱まで引き起こしこういった事件に及ぶケースが多いようです。
他者への依存
他者への依存も関係してくるといわれています。上記の抑制された環境は他者への依存も大きく関係します。例えば、彼女と付き合いたいという気持ちから犯行に及んだケースや親との口論で犯罪を行ったというものは、多くがこの人物たちに人生を任せている生き方の傾向見られるそうです。
また、刑務所に入ってそこで決められたルールの中で何も考えずに暮らしたいと願う人もこういった心理に近い状態のようです。これらの心理的な要因から犯罪が引き起こされる可能性が高いようです。
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バスジャック事件はいつ起きるかわからない!
危険な事件は日本でも海外においても存在します。しかし、そのどれも事前に察知することは難しく、いつ起きるかわかりません。各自いざという時のための対処法を把握し、今回の情報をもとに万が一に備えておきましょう。
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