【煩悩の数】除夜の鐘で打つ「108」の意味と由来、数字の不思議を解説

六根から始まってかなり人の内面まで影響が及んできました。どれも仏教に知見がなくとも、誰でも日常的に体験している感覚です。

さらに2つの感情が生まれる

さらにそこから感情は二分の一ずつに分割され、染(汚くて良くないもの)であるか、浄(澄んだ良きもの)であるかが決められます。

このように、人の心は身体と繋がっていて、すべてが連動して関わりあっているのです。こういった考え方は樹形図や水の波紋にたとえて説明されたりもします。

時間軸を表す過去・現在・未来を加える

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またこれら全てが、三世に影響を与えるとされています。

三世とは、簡単に言えば「今までも、現在も、これからも」の意。仏教用語で言えば、前世から現世、来世も含めた、輪廻転生すべての世界という意味です。煩悩から逃れることがいかに困難かよく分かりますね。

六根を基にした煩悩の数の計算式

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六根から広がってゆく感覚と感情、すべてを数式に表すと、六塵(6)×好/悪/平(3)×染/浄(2)×三世(2)=108という回答が導き出されます。これが、人の欲望が百八つある根拠になったと言われています。

数学で表すことができるなんて、意外に思われた方も多いでしょうが、仏教発祥の地は数学大国インドと思えば納得です。

煩悩の数え方③九十八随眠(ずいめん)とは

随眠の哲学

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九十八随眠

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こちらはまた異なった起点から欲望を数えた方法です。随眠(ずいめん)とは、心身のはたらきを鈍くし、曇らせるもの。煩悩そのものである、またはその種子であると言われています。

その働きはあまりに微細であり、なかなか私たちが知りえることができないため、眠りの間に起きているかのようだということでこういう字があてられました。

見惑(けんなく)

随眠は二種類に大分されます。まずひとつめは見惑(けんなく)。大雑把に言うと、物事をあれこれ考えすぎて正しい判断が見えなくなってしまっている、といった状態のことを指します。

自らの見解に惑ってしまうこと、だから見る・惑うという字をあてるのです。

修惑(しゅわく)

一方でもうひとつの修惑(しゅわく)は、何が良し悪しか頭では理解しているものの、感情にとらわれるあまり、本来すべきことをなかなか思い切れずにいる…、というような状態を指します。

見惑と合わせて、どちらも誰にとっても身に覚えのある悩みではないでしょうか。

10の煩悩「十纏(じってん)」

纏(てん)という字には、縛りつける、絡みつくといった意味があります。煩悩にまとわりつき、一生を苦痛に縛る十の要因、それが十纏(じってん)です。

自らを恥じず、他人にも恥じらいがなく、妬み、惜しみ、悔い、だらけ、心騒ぎ、落胆し、激怒し、隠匿するという心の働きのことです

九十八随眠式「煩悩の数の計算式」

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随眠は全部合わせると九十八あるとされ、そこに十纏を加えると、足し算の和が「108」になります。またしてもきれいに百八つという数字が生まれました。

まるで仏様に導かれているかのようです。また、数式で導き出す手法はこの他にもたくさん存在しています。

煩悩の数え方④四苦八苦

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苦労をすること、難儀をすることを「四苦八苦する」と言いますが、仏教用語であることはあまり知られていません。そもそもは生涯で必ず起こりうる、逃れることができない事象とされています。

あのお釈迦様ですら、さとりを開いて仏になる前は四苦八苦の辛さに涙したといわれる、実は大変な苦悩をあらわす言葉なのでした。

煩悩の数え方と四苦八苦の計算式

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四苦八苦は数字で「4989」とも表記できます。4と9、8と9をかけたものを足し算すると、(4×9)+(8×9)=108という結果になるのです。

ただし、この単語はだいぶ後世に生まれたものであるため、インドがルーツではなく、後付けの理屈であると思われます。そもそも「4989」自体、日本語表記しなければ成り立たない発想です。

仏教的「四苦八苦」の意味

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生まれ、老い、病にかかり、死ぬという悲しさ。愛する者と離れ、嫌いな者と出会い、求めても得られず、心身が思い通りにならない辛さがともなう。

仏教の最終目標は涅槃静寂、これら四苦八苦を繰り返す輪廻からの脱却です。何事にも乱されることなく、心身ともに穏やかに保ち続けること。それこそが完成された幸福の形なのです。

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