鉄棒ぬらぬらとは葛飾北斎!画狂老人卍などの先取りすぎるペンネームと作品たち

Array

tweetの中にもありましたが、「鉄棒ぬらぬら」というペンネ―ムにセンスを感じるといった文面もあり、現代においてはユニークでユーモアがあると捉えられる様です。興味を持つという意味では、ペンネームには、キャッチコピーとしての役割もあるのではないでしょうか。

鉄棒ぬらぬらの代表作は?

KaoruYamaoka / Pixabay

まくら絵師としてのペンネームで描いた作品は、現在18点ほどしか見つかっていないとされていますが、それでも印象的な作品が多い事に変わりはありません。北斎には娘の「お栄」がいましたが、実は「お栄」もまくら絵を描いていたとされています。それほどまでに熱い思いを込めた代表的な作品をいくつかご紹介しましょう。

鉄棒ぬらぬらの渾身の一作「蛸と海女」

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、「蛸と海女」は蛸の触手に絡まれてあられもない姿をしている女性を描いた作品です。絵の中にはセリフも描かれており、タコが執拗に女性をもてあそんでいる様にも読み取れます。

鉄棒ぬらぬら(葛飾北斎)の書いたセリフにも注目

vandonov / Pixabay

現代のエロ漫画の様なあり得ない描写の作品ですが、びっしりと書かれたセリフにも注目していくと漫画作品とも通じる部分を感じずにはいられません。セリフの中で大きなタコが海女を常に狙っていた事が読み取れますし、「吸って吸って吸い尽くす」という表現はタコならではのエロティシズムを表現しているのではないでしょうか。

多くの芸術家に模倣される

Somraya / Pixabay

「蛸と海女」は多くの芸術家に衝撃を与えた様で、様々な芸術家達が模倣したとも言われています。模倣した作品以外にもパロディ画像や映画作品にも使われ有名になっており、最近では春画ブームを受けてスニーカーのデザインにまでなってしまいました。

春画を描いていた有名絵師たち

Morenaclara62 / Pixabay

ポルノ作品でもある春画はたくさんの有名な絵師たちがこぞって描いた事でも知られています。「鉄棒ぬらぬら」の他にはどのような有名な絵師たちが書いていたのかご紹介しましょう。一度は聞いた事のある名前で、驚かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

歌川国芳

国芳は「猫」の絵を数多く描いている浮世絵師です。北斎と同じく江戸後期に活躍した人物で、「広重」や「国貞」と同じ歌川派として活躍していました。他にも宮本武蔵がクジラと戦う姿を描いた作品を書いており、NHKの番組「びじゅチューン」では歌にもなっています。

喜多川歌麿

美人画と言えば歌麿と言われるほど、代表作品の多くに美人画があげられる人物です。「ポッペンを吹く娘」などは様々なアイテムにデザインとして使われています。日本だけではなく世界レベルで有名なデザインとしてご存知の方も多いのではないでしょうか。

歌川国貞

国貞は歌川派の絵師として、女性の絵や風景の絵を中心に活躍していました。女性の立ち姿や艶やかな着物姿などの作品を多く手掛けていますが、滝沢馬琴による小説「南総里見八犬伝」をパロディにした春画作品も描いています。

鳥居清長

八頭身の女性の姿を絵にしている鳥居清長も世界レベルの人気の高い絵師です。北斎よりも早い時代に絵師として活躍していた人物ですが、晩年は絵本や看板の絵付けなどを仕事にして生活していたとされています。

鉄棒ぬらぬら先生の筆が止まらない!そのほかの代表作

fendermama10 / Pixabay

女性や歌舞伎を描いた作品は、当時少しでも売れるようにと工夫を凝らしていたとされています。「鉄棒ぬらぬら」としての作品にも数々の面白い工夫が加えられており、性的な思考や性癖云々ではなく、浮世絵に込めたユーモラスな部分を表現しているのではないでしょうか。

鉄棒ぬらぬら作品①『萬福和合神』の表紙絵

作品を良く見てみると可笑しな事に気づきます。まず顔がきちんと描かれていません。のっぺらぼうでも描いたのかと考える方もいますが、実は男性の着物を着ているのも女性の着物を着ているのも、男性器と女性器なのです。思わず引いてしまうか笑ってしまうかは、見る人にもよりますが、描かれている男性器と女性器は仲良く肩を組み合っています。

鉄棒ぬらぬら作品②『富久寿楚宇(ふくじゅそう)』内

「冨久寿楚宇」という作品集において様々な「鉄棒ぬらぬら」作品が紹介されています。女性と男性が裸で絡み合うシーンでは性器の部分は大きく描かれており、体位や表情などよりもまず目がいってしまう部分です。技量もさることながらインパクトを与える絵を発表していたのだという事が分かるでしょう。

鉄棒ぬらぬら(葛飾北斎)が漫画・ゲームにも登場

StartupStockPhotos / Pixabay

「鉄棒ぬらぬら」というペンネームは漫画やゲームにも使われている事をご存知でしょうか。漫画作品では、浮世を題材としたギャグマンガ「磯部磯兵衛物語」に登場してしますし、先にも少し触れたFate/GrandOrderというスマートフォンゲームでも活用されています。興味を持たれた方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

漫画「磯部磯兵衛物語〜浮世はつらいよ〜」

磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~ 1 (ジャンプコミックス)

Amazonで見る

ジャンプコミックスとして集英社から発売している「磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~」は主人公の磯部磯兵衛が江戸の町で巻き起こすくだらなくも面白い日常を描いています。作品の中で世界的な浮世絵師として登場するのが「鉄棒ぬらぬら」という人物で、磯兵衛はその人物の大ファンという設定です。

ゲーム「FGO」

Fate/Grand Order ぬーどるストッパーフィギュア ~フォーリナー/葛飾北斎~ 全1種

Amazonで見る

FGOは「Fate/GranOrder」というスマートフォン専用ゲームです。FGO内では葛飾北斎という人物は可愛らしい女の子の姿で登場します。話の中でキャラクターが発言する事で話題になりましたが、「鉄棒ぬらぬら」はFGOの中ではお栄とアビーというキャラクターが立ち上げたサークルです。

鉄棒ぬらぬら以外のペンネームを紹介!!

Skitterphoto / Pixabay

使っていたペンネームは30以上と言われていますが、以前ペンネームに使っていた言葉の組み合わせだったりする場合がありますので、細かい組み合わせも含めると相当数の屋号を使っていたのではないかと推測されています。名前を自分の弟子に売って新しい名前で絵を描いていたという事も言われており、面白い人物である事が分かるでしょう。

葛飾北斎のペンネーム一覧

19歳で勝川春章という画家に弟子入りした当初は「勝川春朗」という名前で描いていましたが、変り者とされる春朗は、春章が亡くなると門下生たちとの不仲が原因で破門されてしまい、「宗理」という名前を使う様になります。宗理には「北斎」をつけたり付けなかったりした時期もあり、その後は「辰政」に北斎をつけた名前で活動していました。

  • 春朗
  • 群馬亭
  • 北斎
  • 宗理
  • 可候
  • 辰斎
  • 辰政
  • 百琳
  • 雷斗
  • 戴斗
  • 不染居
  • 錦袋舎
  • 為一
  • 画狂人
  • 九々蜃
  • 雷辰
  • 画狂老人
  • 天狗堂熱鉄
  • 鏡裏庵梅年
  • 月痴老人
  • 是和斎
  • 三浦屋八右衛門
  • 百姓八右衛門
  • 土持仁三郎
  • 魚仏
  • 穿山甲

主に使われていた名前

rawpixel / Pixabay

「勝川春朗」は勝川派にいた時の名前で、破門されて以降は使う事が出来なくなってしまい、「宗理」を好んで使っていましたが、次には「北斎辰政」を好んで使う様になります。その後「葛飾北斎」という名前を経て「戴斗(たいと)」「為一(いいつ)」という名前も使っていました。最後には「画狂老人卍」として亡くなっています。

春画の豆知識

qimono / Pixabay

春画の豆知識も少しご紹介します。アート作品とも評される春画は、今や男女問わず人気の高い作品である事は間違えようのない事実です。捉え方は様々ですが、世界的にも注目されている芸術作品ですので、知識を深めておく事は話題づくりにもなります。ルーツや当時どのような扱いで描かれていたのかなどチェックしてみましょう。

春画のルーツは中国からの体位の解説図

Pexels / Pixabay

ルーツは実は中国の「春宮画」ではないかと言われていますが、医学書に描かれていた体位などがきっかけとなった説が有力です。体位が描かれている医学書の使い道としては、性の教科書の様な意味合いが強かったのではないでしょうか。嫁入り道具に忍ばせるという事もあった様ですので、性の教育は当時からはじまっていたと考えられます。

春画は呉服屋とタイアップして宣伝もかねて書かれていた

FranckinJapan / Pixabay

春画は呉服屋とのタイアップ企画で描かれている作品も多かったと言ったら大半の方が驚くのではないでしょうか。宣伝は多くの人の目に触れる様なモノでなければ意味がありませんが、それ程当時の人々にとって娯楽的な要素もあり、宣伝効果は抜群だったと考えられます。

お笑い的な要素もあった

Alexas_Fotos / Pixabay

多くの作品を見ていると、性的な描写も見たままを描くのではなく、かなりデフォルメされて描かれている事が多い事にお気付き頂けるのではないでしょうか。デフォルメされた男性器や女性器は多くの場合「笑い絵」と呼ばれるユニークな作品として描かれていました。江戸時代にはだまし絵も流行っていたので、影響がないとも言い切れないでしょう。

抜群のネーミングセンス!鉄棒ぬらぬら先生!!

rawpixel / Pixabay

「鉄棒ぬらぬら」という屋号、ペンネームについてご紹介しました。江戸だけではなく世界レベルで人気のある画家の葛飾北斎には、時代を先取りするような抜群のネーミングセンスを持っていた事が分かっていただけたのではないでしょうか。気になった方はぜひ「鉄棒ぬらぬら」先生の作品をチェックしてみて下さい。

地獄絵図に関する記事はこちら

九相図に関する記事はこちら